卵を鑑定してみよう! その結果……?
脱線して反省会を始めた俺たち。
話を卵に戻そう!
「で、卵の件だよ。いちおう孵化を試してみようぜ! ダメだったら食べればいいし」
必ず孵化するとも限らない。
温めたら孵る有精卵かもわからないし、テイムできるかも不明だ。
これまで子供のモンスターはどのダンジョンでも見ていない。
単純に考えるなら、子供は存在しないはずだ。
卵から孵ったらいきなり大人になって襲ってくるかもしれない。
「ダメだったら? 育ててから食べるんスか?」
「怖いこと言うな! クラスで育てた豚さんを食べたいと思う人は手をあげてー、みたいな!」
多数決の結果を無視して食肉工場に送られるルートしかない食育授業。
そして給食に出る。
そんなニュースがあった。
鬼か!
「トウコちゃん。みんなで育てた子ど……小鳥さんを食べるわけないよー!」
子供って言おうとした! 言おうとした!
なんかリンの発想も怖い。
「育てるなら時間をかけて面倒を見ないといけないな。昼は俺が見るとして……どのくらいの温度で温めればいいんだ?」
鳥じゃあるまいし、ずっと上に座っているわけにはいかない。
そもそも人間の体温で温まるのか?
「なんならあたしが、リン姉の胸の中で温まりたいっス!」
リンはスルーして続ける。
「ぬるめのお風呂に入れたり、火のそばに置けばいいんでしょうか?」
「ゆで卵にならないように注意っス!」
「悲しい結末だな、それ……。あ、リン。先に鑑定してみてくれ」
「はーい。食品鑑定では食べられます。物品鑑定では――」
<名称:火鳥の卵。カテゴリ:食材>
「へー。鳥公は火鳥って言うんスね!」
む……!
鑑定できてしまったか!
「カテゴリは食材なんですね。あれーっ?」
リンは不思議そうな声をあげる。
トウコはきょとんとした顔だ。
「どうしたんスか?」
「【物品鑑定】は生き物には効かないんだよ! つまりこの卵は生きていない! モノなんだ!」
「あーっ! そういうことっスか!?」
「だから温めてもかえらないの……」
「もしかするとこの卵は俺のダンジョンの宝箱みたいな、設置されたお宝なのかもしれないな」
モノだとしても卵ではある。
一応、試してもいいが孵化する可能性は低そうだな……。
トウコがケロッとした顔で言う。
「なーんだ! じゃあ食べていいっスね!」
「切り替えはやっ!」
「そうですねー。さっそく帰って食べましょう!」
「おお……。そうだな」
二人は食べる気満々であった。
食いしん坊がすぎる!




