表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

932/1491

鳥の巣はお宝で!

「たぁまぁごっ! たぁまぁごっ! さぁ、リン姉もご一緒に!」

「あっ、うん。た、ま、ごー」


 やらんでよろしい!

 俺は樹上で内心ツッコむ。


 リンとトウコの期待の眼差しを受けながら、枝を切ったり試行錯誤して、木の上を目指す。

 木の天辺に近づいてきた。


 下でトウコが叫んでいる。


「どうっスか店長ぉー!」


 下からでは巣の底や側面は見えるが、巣の中は見えない。

 トゲに気をつけて、なんとか木の上に上半身を出す。


「やはり鳥の巣があるぞ! もうちょいで届く!」


 小枝や草を寄せ集めて作られた巣だ。

 もう目の前に見えている。

 巣の中も見えた!


「タマゴはありますかー?」

「あるっ! 大きいぞ!」


 巣の中にはタマゴが一つ。

 ニワトリの卵に比べるとずっと大きい。


 野球のボール……いや、ソフトボールくらいか?

 卵は楕円形なので比較はしにくいが……。

 なんとか片手で持てそうなサイズだ。


 だがギリギリ手が届かない!



 今は枝の間から上半身を出していて、なんとか通れる程度のスキマしかない。

 跳び上がることはできない。

 天辺の枝の上に着地するのは無理そうだし、トゲがひっかかりそうだ。



 不安定な枝の上に分身は出せない。

 空中や水上、足場の悪い場所には出せないのだ。

 もし出せても、重さで枝がたわむだろう。


 分銅で引っ掛けてみるか?

 いや……卵が割れては元も子もない。


 【操水】を使えば……。

 いや、もっと簡単にできる術があった!


 地味に便利な術!


「――【引き寄せの術】! よし。取れたぞ!」

「ナイスっス!」

「さすがです。ゼンジさん!」


 俺は慎重に卵を腰袋に入れ、木を降りる。



「おつかれさまですー。あ、葉っぱがついてます!」


 そう言うとリンは俺の服についた葉を指でつまみ取る。


「店長! はやくタマゴっ!」

「ほら、これだ。ダチョウの卵みたいな感じか?」


 デカいらしい、というくらいのふわっとした情報しか知らないが。

 それよりは小さいのかな?


「モンスターも卵を産むんでしょうかー?」

「それは俺も気になっているんだ。これまで子供のモンスターなんて見たことないだろ?」


「子供ゴブリンとか子供ゾンビとか、見たことないっス!」

「ゴブリンはさておき、ゾンビは見たくないな……」


「シカさんも小さくてもバンビ(子鹿)ではないですよねー」

「だからこの卵は不思議な存在だと思うんだよ!」


 わかるだろ?

 と言う顔で俺はトウコとリンを見る。


 リンはよくわからないといった表情。

 トウコがいい笑顔で親指を立てる。


「つまり、すごくおいしいんスね!」

「ちがうわ! ファンタジーのお約束だよ! わかれよ!?」


 トウコがひらめいた顔で言う。


「卵のオヤクソク……あっ! マヨネーズを作るんスね!」

「違うわ! 孵化(ふか)! インプリンティング(刷り込み)! テイム(調教)だよ!」


「あー! ドラゴンとかフェンリルとか仲間にするやつ!」

「ふ化というと……卵を温めるんですか? 鳥さんははじめて見たものを親だと思うんですよね?」


「そうそう。だいたいあってる。ファンタジーのお約束として、モンスターを育てるとなついて仲間になるんだよ」

「でもそんな都合いいことあるんスかね?」


 トウコは訝しむような顔だ。

 俺もうなずく。


「そこよ! 俺たちのダンジョンは渋いから、こういうお約束は通じない気がするんだよな……」


 ボスの討伐報酬でもらえるスキルは強力だけど、チート級ではない。

 環境が一変するようなスキルは手に入らない。


 ダンジョンを攻略していれば誰でももらえる。

 平等な機会があるのだ。



 トウコがよだれを拭いながら言う。


「んじゃ、食べちゃっていいっスか? すごくおいしそうっス!」

「生のままで美味しそうに感じるのか? てことは【捕食】対象の可能性もあるのか。ふーむ」


 ボスワニの尻尾肉を食べたときは【身体強化・体力】が身についた。

 【捕食】でスキルをゲットできる可能性もある。


 身につくとしたら【飛行】とか【キック】。あるいは【防火】だろうか?


 そっちの線も捨てがたいなあ……。

 悩むぜ!

サイズの目安。

野球のボール:72mm。ソフトボール:91mm。

ダチョウの卵:160mm。現存する生物で最大の卵らしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] きっと飛行の能力がつくようになる! なりません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ