バオバブはスムージーで!
「よし! 魔力回復丸ができたぞ!」
「おーっ! って、一個だけっスか?」
トウコは丸薬をつつきながら、物足りなそうな顔だ。
「材料があればもっと作れるぞ。じゃあトウコが実と種を分けてくれ」
「うえぇー? しゃあないっスねー!」
リンは料理中なので忙しい。
俺は刀で実を割ってトウコに渡す。
「ほれ」
「地味地味な作業っス!」
トウコは手作業で粉っぽい実をほぐしていく。
空を仰ぎ見ても鳥の姿はない。今のところ平和だ。
種から魔力回復丸を三個。
実から飢渇丸を十個作った。
リンがコップを手にやってくる。
「できましたー。バオバブとハチミツのスムージーです!」
「おお! うまそうだな!」
「やたーっ! ちょうど喉が渇いてたっス!」
コップを受け取り、中身を見る。
入っているのはとろみのついた液体だ。
「お水にパウダーを解いてハチミツで味付けしましたー」
「あれ? 一杯だけっスか?」
リンが差し出したコップは一つだけだ。
「うん。ハチミツが足りなくてー。帰ったらたくさん作ろうね!」
「帰りにたくさん実を持っていくっス!」
今収穫しても荷物になる。
実を取るのは帰りがいいだろう。
「じゃあ回し飲みだな。先にもらうぞ」
「どうぞー」
コップを傾け、口にどろりとした液体を流し込む。
さわやかな香りと酸味。
柑橘系のスムージーのような味だ。のど越しもいい。
ハチミツの甘みがちょうどいい。
「んー。うまい! 元気が出てくる味だな!」
俺の手からひったくるようにしてトウコがコップをあおる。
「あたしもあたしもっ! うまーっ!」
「おい、全部飲むなよ!?」
「ちゃんと残してるっス! はい、リン姉!」
リンがトウコからコップを受け取る。
かなり少なくなっているけど!
「ありがとー! うん。おいしいねー」
「あっ! もう一杯あるじゃないっスか! もーらいっ!」
トウコは床に置かれているコップを指差す。
「こっちは葉から作ったスムージーなんだけど――」
「うえーっ! 草の味っス!」
トウコが嫌そうな顔でコップから口を離す。
「――トウコちゃんの口には合わないかなって言おうと思ったんだけど……」
「早く言ってほしいっス!」
トウコが突き出したコップを受け取り、リンが一口飲む。
「ほうれん草みたいでおいしいですよー」
「バオバブの葉か。俺も一口もらおう。……へえ」
前向きなコメントをしたかったが、うまくいかない。
青くさい味というか……。
まずくはないが、うまくもない。
ほうれん草スムージーという感じ。
リンが笑顔で同意を求めてくる。
「ヘルシーでおいしいですよね!」
「うん。まあ、健康に良さそうな味だな」
トウコが空を指差す。
「あっ! 鳥っス! 来たっスよー!」
巨大な赤い鳥がこちらに向かって近づいてくる!
「戦闘準備! ここで迎え撃つぞ!」
「リョーカイっス!」
「はーい!」
誤字報告ありがとうございます!




