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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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ポーズの重要性!

 リンとトウコが帰って来た。

 草原ダンジョンで食事をとり、ボスコウモリ戦について話したところだ。


 心配させないように【水噴射】の暴発はマイルドに伝えた。


「――というわけで【水噴射】は鳥にも使えると思う!」

「わあ! すごいですねー! よかったら、見せてもらえますか?」


 リンが期待のまなざしを向けてくる。


「いいぞ。こんな感じだ! 水噴射!」


 俺は手をかざし、斜め上に水を噴射する。


「おー! 店長にしてはめずらしく派手っスね! 水鉄砲(てっぽー)っス!」

「むしろ水大砲(たいほう)だな!」


 ロマンあふれる大技だ!


「じゃあ今日から店長が水くみ係っス! やりぃ!」

「やりぃ! じゃないわ! この水はすぐ消えるんだよ!」


 前もそんなこと言ってたよな!?

 トウコが口を尖らす。


「うえぇ? なんでっスか?」

「知らんわ! 魔法みたいなもんだ! 用が済んだら消えるんだろ!」


「私の火も魔力を切ると消えちゃいますから、おんなじですね!」


 なぜか嬉しそうなリン。


「魔法の火は消えるけど、周囲は燃え続けるよな?」

「はい。燃え始めたものはそのままなんですー」


 魔法の火にあぶられた可燃物は、そのまま燃え続ける。


「飲んだ水が消えたら、どうなるんスか?」

「喉は潤わないぞ。あくまでも一時的に水を出すスキルなんだ」


「あ、水ビームはできたんスか?」

「いや、無理だな。細く絞ろうとすると制御がきかなくなるんだよ。ちょっとやってみるが――」


 俺は右腕を上げ、左手で支える。

 そして水を噴射!


 勢いよく水が流れ出る。この水はただドバドバと出るだけだ。

 そこに【操水】で力をかけていく。

 まとまるように、形を整えるように……。


「すごいですね! きれいにまとまりましたー!」

「こうすることで水が棒状になって、遠くまで飛ばせるようになる。でも細くするのは難しくてな」


「そこはイメージっス!」

「やってみたわ! これが無理なくできる限度だ。反動が強いから狙いをつけるのも難しいし」


 【水噴射】は反動がデカい。

 噴き出す水の分だけ、腕に反作用(逆向きの力)がかかる。


 これは【操水】で絞ることとは関係ない。

 絞ろうが絞るまいが反作用はある。


「反動っスか? 構え方が悪いんじゃないっスかね?」

「構え方? 俺の構えは銃のアイソセレススタンスに近い感じだけど――」


 トウコがしたり顔でうなずく。


「たしかに店長はアイソがないっス!」

愛想(あいそ)レスじゃねーよ!」


 リンが首をかしげる。


「あいそせれす、ってなんですか?」

二等辺(にとうへん)三角形のことだ。両手を前に突き出して体の前あたりで合わせると腕が三角形を作るだろ?」


 別にどう構えても術は放てる。

 武器を持たず、走らないなら、この構えが反動を制御しやすい。


 トウコが額のあたりで手を重ね、前に手を突き出す。


「つまり魔光線(まこーせん)の構えっスね!」

「いや、ちょっと違う! ていうか、有名な戦闘民族の必殺技で例えてもリンには伝わらないぞ!」


「どっちにしろ伝わってないっス!」


 銃にしろ漫画にしろ、リンは詳しくないからね!

 たぶん、たいていの人には伝わらない!



「なんとなくはわかりましたー。撃ちやすいポーズがあるんですね!」

「まあ、そうだな。構造的な強さというか……。でもリンの魔法には反動がなさそうだし、気にしなくていいと思うぞ」


「そうですねー。魔法に押し返される感じはありません」

「あたしの銃には反動あるっス! マグナムは片手だとムズいっ!」


「だから両手で構えろって!」

「そーっスね! 構えは大事っス!」


「おう。素直でいいじゃないか」

「というわけで店長! ポーズを変えてみるっス! 腰のあたりで手を合わせて――」


 トウコが妙なポーズを取る。

 俺はトウコのポーズをマネする。


「ふむ。こうか?」


 腰のあたりで両手を合わせ――


「力をためて前に突き出すっス! ハメハメ()ーっ!」

「波ーっ! ってオイ!」


 マンガ技じゃねーか!

 でもなんとなく撃ちやすい気がする!


 トウコが額に二本の指を当てて叫ぶ。


魔貫通殺法(まかんつーさっぽー)っ! これで貫通水ビームっス!」

「できそうだけど、やんねーよ!」


 指先からの【水噴射】は試していない。

 成功すればすごい勢いで水が放てそうだ。


 噴き出す水を指先に集中!

 すると反作用も指先に一点集中する! 指が折れる!



 トウコが今度はリンの近くに駆け寄る。


「リン姉の魔法ポーズも変えてみるっス!」

「えっ? う、うん」


 トウコは満面の笑みである。断りにくい。

 ロックオンされたリンは困ったような返事を返す。


「じゃあじゃあ! まずは両手を体の横につけてワキをしめるっス!」

「う、うん……こうかな?」


 空手の正拳突きをする前のポーズのように見えなくもない。


 ふむ?

 くだらないポーズをさせるのかとおもったら、案外まともなポーズなのか?


「違うっス! もっと背筋を伸ばして!」

「う、うん!」


 リンが姿勢を正す。

 両手を引いて脇をしめ、背筋を伸ばす。


 姿勢がすっと伸び――胸が突き出され……。


「ここでシュバっと手を突き出すっス! ごいっしょにっ!」

「こ、こうかな?」


 トウコがシュバっと正拳突きのように手を突き出す。

 リンが後に続く。


 くだらないポーズをさせるのかと思ったがこれは……。

 いい!

 実に素晴らしいポーズ! いや、ムーブメント!


「いいっスね! 続いて逆の手っス!」

「えいっ!」


 右、左。二人は連続して左右の手を突き出す。

 ううむ……!

 止めるタイミングを失ってしまったな!

 仕方がないので様子を見よう!


「飛んでる鳥を狙う感じで、上に向けて放つっス!」

「えーいっ!」


 左右だけでなく、上下の動きも加わる。

 鳥の前に俺が撃墜されそうな威力!


 トウコがやり切った顔で親指を立てる。


「どうっスか店長? リン姉の新魔法ポーズはっ!」

「ああ、最高だな!」


 俺も親指を立てる。


「そ、そうですかー。えへへ」


 リンがうれしそうにはにかむ。


 うむ。

 リンのポーズは全員を幸せにする。


 ぼいんぼいん……じゃなくて、ウィンウィンの関係だな!

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― 新着の感想 ―
[一言] 上に向けて撃つポーズは◯ンダムのラストシューティング? 手刀を振り下ろす形で火を放てば炎の斬撃もできそうだな… あと意外に◯めはめ波は収束にはいいかもしれない
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