表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

918/1491

大コウモリ先生はいつだって好敵手!

 第五階層の大扉前――


 今回は【水忍法】の新技をメインにして大コウモリと戦う!


 【水噴射】の練習は充分にこなした!

 後は強敵に通用するのかを試すだけ!



 いつもと同じ戦術なら勝てることはわかっている。

 今回は【水忍法】の腕試しだ。


 まずは準備だ。

 ソロプレイでは万全を期す!


 まあ、単独(ソロ)といっても自律分身は出すのだが。


 俺は各種丸薬を飲み下していく。

 遅効体力回復丸、遅効薬草丸、遅効魔力回復丸である。


 アイテムはケチらず使っていく!



 俺は自律分身に声をかける。


「よし、魔力は満タン。体調も万全! 気合い入れていくぜ!」

「おう! こっちの装備もばっちりだ!」と自律分身。


 自律分身にはコウモリ対策装備を持たせている。

 ワイヤー分銅や丸ノコギリの替え刃(ディスクブレード)紙吹雪玉(チャフ)などなど。


 当然、各種ポーションも持ってもらう。

 これでバックアップ体制もオーケー!


 万一、俺が事故ったら自律分身がいつもの戦術で戦う。

 それでも勝てるはずだ。



 大扉を抜けてボス部屋を進む。


 洞窟には唸るような不気味な音が反響して、獣の唸り声のように響いている。

 これは滝が流れ落ちる轟音だ。


 水しぶきが霧となって漂い、視界を妨げている。


 この滝から流れた水は流れの早い浅い川になっている。

 つまり水は豊富にある!



 滝の上で黒い影が動く。

 翼を羽ばたかせ、巨大コウモリが耳障りな声を上げる。


「キイイィィィィィ!」

「来たな! 今日は練習台になってもらう!」


 そう言いながら術を練る!


 コウモリが滑空の体勢に入る。

 あっという間に距離を詰め、俺へと突っこんでくる!


 武器すら抜かずに立っている俺は格好のカモに見えるだろう!

 俺は手を向け――


「【水噴射】!」


 【操水】で棒状に絞った水がほとばしる!

 コウモリは身をひねって躱そうとする。


 だがこの距離では避けられない!

 避けさせない!


 水圧の反動を抑えながら腕を向け、水流を動かす。

 さながら巨大な剣を振っているかのようだ。


 水流が巨大コウモリの体をかすめる。

 羽のあたりで水が弾け、コウモリがバランスを崩す。


「ギィィィ!」


 地面に向けて墜落していくコウモリ。

 しかし、大きく羽ばたくと体勢を立て直してしまった。


 そのまま地面ギリギリを滑空して空中へと戻っていく。


 一撃で撃ち落とさせてはくれないらしい!

 いいね! それでこそボス!

 それでこそライバルだぜ!



 再びコウモリが滑空してくる。

 広げた翼はまるで俺の命を刈り取ろうとする刃のようだ。


 赤い鳥もデカいが、やはりコウモリのほうが大きい!

 プレッシャーが半端ないね!


 ひりひりとした緊張感に思わず笑みがこぼれる。



 俺は再び術の集中に入る。

 次も【水噴射】を狙う!


 だが同じ手は通じないようだ。

 コウモリは用心深く、俺の頭上を旋回している。


 近寄らずに俺の背後を取ろうとしているのだ。


 俺は巨石を背にして機をうかがう。

 この位置なら水路も近い。

 絶好の迎撃ポジションだ。



 巨石の反対側にコウモリが消える。

 次に姿を現したら、水をぶちかます!


 耳をすませる。

 だが羽ばたく音は聞こえない。

 静かに滑空しているのか……?


 そろそろ来るはずだ。


 俺は巨石から身を乗り出し、腕を構える。

 ……いない?



「キイイイイィィィィィィィ……――」


 耳障りな叫び声。

 その音は人間の可聴域を外れていき――


「――まずいぞ! 咆哮だ!」と自律分身が叫ぶ。


 コウモリの咆哮は五感を狂わせ、平衡感覚を失わせる。


 前に食らってひどい目を見た。

 ゆえに、もう食らうつもりはない!


 これまでは咆哮を放つ前に激辛目つぶし玉などで対処してきた。

 今回は【水忍法】で対処する!

 そのためにこの場所――水路の近くに陣取っているのだ!

 

「わかっている! もう術の仕込みは終えているぜ!」


 大きく息を吸って【操水】を発動!


 近くの水路から最大量の水を集める。

 そして自分の体にまとわせる!


 水の壁。いや、水のスーツ!

 コウモリの咆哮は耳で聞くと効果を発揮する。


 三半規管に働きかけて感覚を狂わせる。

 特別な周波数を使っているのだろう。


 料理人ゾンビの恐怖の咆哮を、トウコは鼓膜を破ることで防いだ。

 リンは炎の壁で音を狂わせ、威力を下げた。俺の分身の壁でも効果はあった。


 要は、まともに音を聞かなければいいのだ!


 水中では音の伝わり方も変わる。

 人間の耳では聞こえない高周波だとしても防げる!


 完全に防げなくても、効果は落ちる!



「……ィィィ!」


 咆哮が止んだようだ。

 だが聞こえないだけかもしれないので水の膜は残したまま待つ。


 魔力消費は激しいが……事前に飲んでおいた丸薬のおかげもあって、まだ耐えられる!


 コウモリが巨石の陰から飛び出してくる。

 いまだっ!


「【水噴射】!」


 今度は【操水】で棒状に絞らない放水だ。

 水しぶきをハネさせながら噴水のような濁流が手から放たれる!


「ギィッ!」


 コウモリの胴体に命中した!

 小気味いい水音が弾ける!


 はねた水滴が空中に舞い、水晶の光を反射してキラキラと輝く。



 コウモリの姿勢がぐらりと揺らぐ。

 奴は態勢を立て直そうと羽を動かしている!


「まだだっ! 落ちろっ!」


 反動を抑え込みながらコウモリを照準し続ける。

 水流は執拗(しつよう)に空中のコウモリを捉え続ける。


「キィ……キィィ!」


 たまらずにコウモリは地面に落ち、まるで激突するように着地する。

 だがこれくらいでは倒せない!


 コウモリはもう、両の羽を脚のように使って立ち上がっている。


 地上に降りた今がチャンス!


 水流をものともせず、コウモリが猛進してくる!

 まだだ。もう少し引きつけて……。


 巨体をゆすり、一直線に向かってくる!

 よし!


「くらえ! 水刃噴射の術!」


 当て続けていた水流に【水刃】を乗せて撃ち出す!

 鋭い刃がコウモリの胸を貫く。ばっと血の華が咲く。


「ギィィ!」


 だが突進は止まらない。

 もはや致命傷のはずだが、コウモリは足を止めない!


 最後に俺に体当たりをしかけるつもりだ!


 ならば――

 俺はわずかに立ち位置を変える。


 大きく避ける必要はない。

 わざと飛び散らせた水滴が、コウモリの エコーロケーション(反響定位)を狂わせているからだ。


 すれ違うようにコウモリが走り去る。

 そのまま巨石に激突。


 ずずん、と地に倒れ込んだコウモリが塵へ変わる。


「よしっ! 【水忍法】だけでも戦える!」


 大コウモリに通用するならバッチリだろう!

 これなら鳥だって倒せるはずだ!

ご意見ご感想お気軽に! 「いいね」も励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 水の多い場所でなら勝算は十分かな?たぶん それにしても戦闘中ににやにやするとかクロウくん実はバトルジャンキーだったり…?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ