怪鳥対策は万全に!
第八エリアで巨大な赤い鳥と遭遇した俺たち。
その日の探索は切り上げた。
無策に突っこんではケガをするからな。
無理はいけない。
ここはちゃんと準備を整えるのだ!
後日――
傷んだ防具を修理して、盾の試作品をいくつか作った。
盾は後でリンに選んでもらおう。
迷彩陣羽織に防炎処理を施す。
これはファンタジーな効果ではなく、燃えにくい素材を足してクラフトする。
前に作った陣羽織も防炎素材で作ったし、俺も忍具作成君も慣れたものだ。
防刃機能はつけない。
重くなるし、下に防具を着る前提だからだ。
これで赤い鳥の火球が防げることを期待する!
……でも、魔法の火を防げるかは怪しいんだよな。
この辺りはリンの火魔法で試験しよう!
これで装備はいいだろう。
さて、鳥対策を考えよう!
赤い巨大鳥はボスコウモリほどのサイズ感だった。
鮮やかな赤い羽根が美しい、大型の猛禽類だ。
ネットで調べた限り、似ているのはヘビクイワシだろうか。
秘書鳥なんて呼ばれている、美しい鳥だ。
足が長く、鋭い爪を持つ。
この足でヘビなどを狩っているらしい。
もちろん似ているだけで別物。
ヘビクイワシの羽は赤くない。もちろん火も吹かない。
現実の鳥としては大柄だが、せいぜい一メートルを超える程度。
モンスターの赤い鳥は人間並みに背が高い。
翼を広げるともっと大きく見える。
分身を爪でつかんだまま飛んでいた。
いくら大柄だからって、普通なら人間やワニを掴んで飛ぶのは難しいんじゃないかと思う。
たぶんステータスかスキルの補正のおかげだな。
ボスコウモリもそうだったし。
「にしても、どう戦おうか……」
ボスコウモリのときみたいにワイヤーを使うか?
でも、あのときとは違って巨石のようなワイヤーを張れる地形がないんだよなあ。
これは困った。
アカシアの木を探して使うか?
ワイヤーを張っておびき寄せればいいだろう。
コウモリはエコーロケーションで障害物を察知していたが、鳥はどうなんだ?
猛禽類は目がいいと言うが……試してみないとわからないな。
ボスコウモリで練習しておくか。
もう湧いている頃だ。
どうせなら【水忍法】の新スキルを取っておこう。
候補は【水噴射】か【濃霧】。あるいは【水壁】だ。
攻撃を考えるなら【水噴射】になる。
名前の通りなら、水を噴き出すスキルのはずだ。
ウォーターカッターや放水銃のような効果が期待できる。
とはいえスキルレベルが低いと微妙なことが多いから期待しすぎないでおく。
防御を考えるなら【水壁】だ。
赤い鳥は口から火の弾を吐いてくる。
リンのファイアボールと似たスキルだ。
火魔法なのかモンスターらしくブレスのようなスキルなのか。
どちらにせよリンの【防火】や【消化】で消すことができた。
俺の【水忍法】でも消せるはず。
【火魔法】で燃やしたモンスターが水場に逃げ込んで火を消すのも見た。
スキルを使わなくても水で消火できることは確認済だ。
からめ手で行くなら【濃霧】も選択肢に入る。
霧は炎を弱めるだろうし、姿を隠してワイヤーなどの罠にかけるのもいいだろう。
【隠密】して【暗殺】という手もあるな。
この場合はソロプレイ向きになってくる。
ボスを単独で暗殺する?
うーん。一撃で殺せるイメージが湧かない。
そもそも飛んでるから不意打ちで背後からってわけにいかないんだよな。
地上にいるときを狙えばどうにかなるかな?
ん……?
そういえば、地上にいるときなんてあるのか?
ずっと飛んでたし、俺たちと戦ったあとすぐ、どこかに飛び去ってしまった。
なので、歩いている姿は見ていないんだよね。
【操水】を三レベルに上げるために取っておく案もあったが、レベルを上げなきゃいけなくなるからやめておく。
いずれは上げたいが、今はいろいろ試したい!
さて、どうしようか?
攻撃の【水噴射】。防御の【水壁】。幻惑の【濃霧】。
どれも気になるぜ!
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