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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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アカシアの花の素揚げとワニ肉のサイコロステーキ!

 第七エリアを一回りしてきた自律分身の経験を読み解く。

 活動時間が短いので情報量は少ない。



 第七エリアは少し緑のあるサバンナのような場所だ。

 第四エリアと違うのは乾燥した場所ばかりではない点。


 ときおり水場がある。

 水は濁っている。

 石が浮かんでいるように見えるが、よく見ればワニの背中だったりする。


 ワニがいると知らなければ気づかずに水場に足を踏み入れてしまうかもな。

 でも俺たちはずっとワニを探しているので、見つけるのは慣れている。



 一つの水場に数匹……五、六匹はいるだろう。

 近づいてよく見れば、もっといるかもしれない。


 だが今は近づかないでおこう。

 二人で群れと戦うのは危険すぎる。



 スライムもそこかしこに潜んでいる。

 草むらや砂地から飛びかかってくる。


 こちらはワニよりも見つけるのが難しい。

 リンの索敵も分身のオトリもないからだ。


 怪しい場所では、槍で地面を突きながら進む。

 これで草地のスライムはなんとかなる。

 砂地の上は避けて歩く。



 角兎や角鹿も見かけた。

 ウサギは普段と変わらない姿だ。


 シカは姿は似ているが、小ぶりである。


 動物の鹿にはいろんな種類がいる。

 でもここの鹿は森林エリアと同じ種類みたいだ。


 違うのはサイズだけ。

 子鹿とも違う。大人の鹿だがサイズが小さいのだ。


 この辺りは鹿にとってエサが少ないんだろうか?



 試しにトウコが攻撃を仕かけると簡単に倒せた。

 小さい分だけヒットポイントが少ないのかもしれないな。


 素材が欲しいのでショットガンで弱らせて槍でとどめを刺す。

 これを調べればモンスターの名前がわかるだろう。



 ワニは水場で見かけた以外にはいないようだ。

 生息地が決まっているのかもしれない。


 寄ってくる鹿はいなくなったし、ウサギは隠れてしまった。

 スライムを狩ってもいいが、いったん戻ることにしよう。



 ――記憶のフィードバックが終わる。



「ふうむ。強力なモンスターは出ないみたいだな」

「あとでワニの群れを蹴散らしたいっス! でも先にごはんっス!」


 アカシアの木の陰で俺たちは車座になっている。

 草場にランチョンマットを敷いた簡易的な食卓に料理が並んでいる。


「ワニさんのお肉を塩コショウで味付けしたものと、アカシアの花の素揚(すあ)げです! どうぞー」


「いただきます!」

「いただきーっ!」


 我先にと箸を伸ばす俺とトウコを見てリンが小さく笑う。


「ふふ。いただきまーす」



「うまーっ! ワニ肉食べ放題っス! 最高っスね!」


 トウコは肉から行くスタイル!

 ならば俺は花からだ!


 アカシアの天ぷらは以前にも食べた。

 黄色いふわふわした花が、カラッと揚がっている。



 トゲのある枝から花だけを摘み取って、油で揚げる。

 手間のかかる作業だが、リンは【食材加工】の力も借りてサクサクと処理していた。

 手際のいい料理は見ていて楽しい。


「前より花が大きいな」

「それに新鮮です! 帰りにもっと探しましょうねー!」


 アカシアの花はレア素材だ。

 すべての木に花が咲いているわけではない。

 一部の木の、一部の枝にだけ咲いている。


 季節とか開花時期はどうなってるんだろうね?

 ダンジョンだし気にしても仕方がないか。



「この油は持ってきたのか?」

「ワニさんの脂身から取ったんですー」


 ラードや牛脂みたいなものだろうか。

 肉の油から食用油を作ったってことだな。


 脂身などの捨ててしまう部位を熱して濾すことで油を作れるはずだ。

 時間がかかりそうな作業だが……。


「ふむ。大変だったんじゃないか?」


 リンが小さく首を振る。


「いえいえー。【食材】スキルでラクしちゃいましたー」


 【食材加工】などで時短したのか。

 便利なスキルである。



「今回は衣がないんスねー」

「小麦粉や天ぷら粉がなかったからー」


 さすがのリンも奥地を攻略するときは最低限の調味料しか持ってこない。



 箸で黄色い花の素揚げを持ち上げる。

 揚げ物の香ばしい匂いが鼻孔をくすぐる!


「味は――うん。うまい! 少し甘くて……油の味もいいな!」

「ワニさんの油は風味がいいですねー!」


 口の中でサクサクとはじける食感。

 ほんのりと蜜のような甘さが口の中に広がって、鼻から抜ける。

 わずかな苦みも悪くない。


 そこへ油がまろやかなコクを付け足している。


 絶妙!

 すぐに口の中から消えてしまう!


「ほら、トウコも食ってみろよ。うまいぞ」

「サクサクしてていいっスね! でもやっぱ肉っ! 主役は肉っスよ!」


 子供舌め!


 だが肉がうまいのは当然!

 あまり待たせてはいけない!

 冷めないうちにいただこう!


 ひとくち大にカットされたワニ肉からはホカホカと湯気が立っている。

 箸でつまむと肉汁があふれてくる。


 焼き具合もいいね!

 リンの火加減はいつでも完璧だ!


 料理と火魔法の相性はこれ以上ない組み合わせである。


「少し汗をかいたから塩気がたまらんね!」

「足りなければ使ってくださいねー」


 リンは笑顔で調味料の小瓶を手で示す。


「いや、ちょうどいいよ」


 トウコが空になった皿をリンのほうへ突き出す。


「リン姉、おかわりーっ!」

「はーい」


「もう食ったのかよ。はやいな!」

「店長が木登りしてる間、あたしは走り回ってたんで、腹ペコっス!」


「一人でやったみたいに言うな! 自律分身も一緒に戦ってただろ!」


 つまり俺も狩りには参加してたよ!


 木登りしての偵察も仕事だし!

 クラフトもしたし!


「そーっスね! 店長もたくたん食べたらいいっス!」

「足りなければもっと焼きますので、言ってくださいねー」


 おかわりしちゃおうかな!

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― 新着の感想 ―
[一言] アカシアの花って天ぷら以外にも梅酒みたいに漬け込んで酒のネタにも使えるのか… 採れる時期も限られるレア食材がそこらに自生してるとかほんとおいしいダンジョンだのぅ
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