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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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槍は刀より強し!? 銃はそれよりも強し!

 俺たちは(なん)なく三匹のワニを仕留めた。

 そのままワニを狩りながら進んでいく。



 ワニはマグナム弾なら二発あれば倒せる。

 【ピアスショット】などのスキルを使えば一発だ。


 俺の【水刃】も、いい角度で決まれば一発で倒せる。

 だが大抵は二発だ。


 一発で倒せなければ槍で追撃。

 これなら接近戦に持ち込まれる前に倒せる。


 リンの【火魔法】は少しワニと相性が悪い。

 命中させても、水たまりに逃げこまれると倒しきれなくなる。

 炎は相手を焼くことでダメージを与える。

 当てたら即死という性質ではない。



 トウコが俺の槍を指差す。


「今日は槍なんスね、店長」

「そうだ。もう食われるのはコリゴリなんでな。それに刀だと戦いにくいんだ」


「どうして戦いにくいんですか?」

「ゴブリンみたいに人型なら刀でいいんだ。だけど、ワニは姿勢が低いだろ? だから斬りにくい」


 トウコがうんうんとうなずいている。


「わかるっス! 格ゲーのちっこいキャラみたいっスね!」

「そうそう。上段攻撃が当たらない感じだ」


 伝わるかな?


 格闘ゲームはたいてい人間が戦うわけだが、たまに犬や鳥のような変則的なキャラクターがいる。

 特殊な当たり判定になって戦いにくいのだ。



「よくわかりませんが……上から振り下ろして斬るんじゃダメなんでしょうか?」

「うーん。ワニの姿勢が低すぎるんだよなぁ……」


 やっぱり伝わらなかった!


 もちろんゲームと違って、現実には当たり判定なんてない。

 当てにくいだけである。

 ワニは地面を這うような低い姿勢なので、刀で斬りにくいのだ。



「下段攻撃っス! しゅしゅしゅっ!」


 トウコがしゃがんでパンチを連打している。

 ワニの姿勢の低さだと、しゃがみパンチすら有効打にはならない。


 しゃがみ弱キック(小足)なら……いや、体勢的に威力が出ない。

 蹴りで倒すのは俺には無理である。



 トウコが言っているようなゲーム的な発想もちょっと違う。

 刀で斬る場合のフォームの問題だ。

 力が伝わりにくくなる。とにかく的が低すぎると威力が出ないって話である。


「下段斬りか。ダメではないけど力が入りにくいし……難しいんだよ。片手で刀を振り下ろすなら、こういうフォームになる」


 俺は右手に刀を持って、刀を振り下ろす。

 腕を前に伸ばして、前につんのめるような感じ。


「ちょっと頼りないっスね」


 短い忍者刀で地を這う姿勢のワニを斬ろうとすると、かなりバランスが崩れる。


 当てられはするが、威力は出ないのだ。

 【ファストスラッシュ】などを使えばマシにはなるが、一撃必殺ではない。


「逆手に構えるともっと近づかなきゃいけないし、下から振り上げても威力が出ない」


 ゴブリンなら首や脇の急所を狙う。

 角鹿なら胴体。


 斬りやすい位置や部位があるのだ。



 剣術においても狙うのは高い位置が普通だ。

 上半身を狙う。

 足を狙うのは難しいし、スキも大きい。


 ついでに俺の武器は忍者刀なので、本来の日本刀よりも刀身が短い。

 リーチや腕の位置のせいで、足元は狙いにくくなる。



 剣道でも下段構えはあまり使われない。

 上段か中段に構えて、面、腕、胴を狙う。やはり足は狙わない。

 足を斬っている間に頭や胴を斬られて負けるからだ。


 モンスターが相手なら、なおさら危険だ。

 ヒットポイントやステータスのせいで、斬っても倒せないことがある。

 先に当てても反撃を受けてしまう。


「じゃあじゃあ! 突き! 突きならどうっスか?」

「一撃では倒せないんじゃないか? そうなると反撃が怖い」


 ワニは素早い。そして皮が硬い。

 頭部はとりわけ皮が分厚くなっていて、刃が通らない場合がある。


 腰を入れた突きを打ち込んだ場合、倒しきれなければ相手の口に突っ込んでいくことになる。


 相打ちになどなりたくない。

 楽に、無傷で勝ちたい。



「ガブっとされちゃうんスね!」

「たしかに、ワニさんはお口を大きく開けているので、怖いですよねー」


「だろ? 攻めにくいんだよ」


 たいていの場合、ワニは近づくと大口を開けて威嚇してくる。

 これが結構、威圧感(プレッシャー)があるんだ。



「じゃあ、横とか後ろからズバッとやればいいっス!」

「すれ違いざまに斬れればいいんだけど、ワニはすぐに振り向いてくるからな」


 直線的な動きをする鹿などにはすれ違い斬りが有効だ。

 角鹿はワニより大柄だから胴体を斬りやすい。


 その点、ワニは常に正面を向けてくる。

 振り向くのも速い。

 ガードを下げないボクサーと戦うみたいな感覚で、打ち込みにくいんだよな。


「困りましたねー」


「そういうときに、リンが【ポージング】で隙を作ってくれるとありがたい!」

「リン姉のポーズは目にありがたいっス!」


 そうじゃないだろ!

 それもありがたいが!


「そ、そうですか? えへへ……」


 リンは照れたようにはにかむ。



「んー。いつもみたいに避けてから斬ったらどうっスか?」

「ワニの動きは読みにくいし、素早いからな。もし避けそこなったら、そのまま引き倒されてやられるかもしれない」


 俺に耐久力はない。

 一発が命取りだ。


 すべてかわせばいいのだが……相手が素早すぎる。


 角鹿なら動きが直線的なので、避けながら斬れる。

 コウモリなら向かってくるコースを予測して斬ればいい。

 ゴブリンはどうとでも料理できる。


「皮の硬さも厄介だな。普段は刀の切れ味を使って斬ってるんだ。腕力や勢いだけじゃない。ワニの場合、革に弾かれるからいつもとは勝手が違う」


「それで槍なんですねー」

「槍なら振り下ろす力が使えるから、低い位置の相手でも斬りやすい。叩き切るって感じになるな。もちろん突いてもいいが」


 突きなら、けん制しながら近寄らせずに攻撃できる。


「スキルは乗らないんスよね?」

「ああ。でも距離を取って戦えるのは単純に強いぞ」


 【片手剣】は乗らない。

 【打撃武器】は一部有効。



「そうですねー。魔法も遠くから戦えます!」


 トウコが両手に持ったマグナム銃をクロスさせる。


「となると、やっぱ銃が最強っス!」


 銃でも相手の姿勢は影響する。

 小さな目標や素早い相手には当てにくい。


 しかし最大のアドバンテージはリーチ。

 遠距離から攻撃できるうえ、威力も高い。

 皮の厚みなどものともせずにぶち抜く。


 強すぎるわ!



 俺は前方を指差す。


「お、またワニが来た! たのむぞ最強!」

「おねがいね、トウコちゃん!」


「うえぇ!? またこのフリっスか!?」


 まかせたぞ!

剣道の場合、足を斬るのは防具がないから危険とか、ルールや美学の観点もあると思います!

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― 新着の感想 ―
[一言] ワニワニ王国で長柄使って戦うなら長巻とか刀に分類されないのかねぇ… 薙刀はカテゴリ的にはポールウェポンかな
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