ついでにクラフト! 草原ダンジョン装備!
リンは新装備を興味深そうに眺めると、にこにこして言う。
「似合ってますね!」
「おう、ありがとう」
トウコがぐっと親指を立て、歯を見せて笑う。
「ヒーロースーツっぽくてナイスっス! ワニライダーっスね!」
「バイク用のプロテクターのイメージで作ってるからな」
「なら事故っても安心っス!」
「いや、事故ったらダメだろ!」
安全運転で!
じゃなくて安全第一でダンジョン攻略しなきゃね!
「色はいつも通りですねー」
【忍具作成】で作るとき材料やイメージで色は変えられる。
だけど洞窟でも使うからこのままでいいと判断した。
「うん。草原だと黒は目立つけど、洞窟でも使うから。それに素材の味を活かしたかったんだ」
「いいと思います! ワニさんみたいでカッコいいですねー」
「川に隠れてたら岩に見えるかもっス!」
「擬態か。できそうだけど、あんまりやりたくないな」
濁った川でじっとしていれば、ゴツゴツした革は岩のようにも見える。
少しはカモフラージュできる。
とはいえ少し不安だ。
ワニがいたら襲われるし、ちょっと無防備に感じる。
【水潜み】――いわゆる水遁の術を取得したら考えたい。
ま、これはまだまだ先だろう。取るかどうかもあやしいスキルだし。
「素材を集めたら二人の分も作るつもりだが、希望あるか?」
リンが胸の前てポンと手を叩く。
「私はゼンジさんが作ってくれるものならなんでもうれしいです!」
「ふーむ。リン用には防具だろうな。前に立つなら最低限の防御力は欲し――」
トウコが食い気味に言う。
「――最低限の布面積でおねっス!」
うむ。
俺は心の中でうなずく。
言われなくてもわかっているぞ!
「トウコはなにがいい?」
トウコは頭のあたりで指を上に向けて立てる。
ツノ?
「あたしはダンディな帽子がいいっス! ワニワニしたやつ!」
ダンディでワニワニした帽子?
たぶん、牙か爪がついたハットかな?
「よし、考えておこう!」
防御性能はさておき、ファッションアイテムとしてはカッコいいかもね。
草原ダンジョンで戦うとき、基本的には動きやすい私服である。
黒い忍び装束は逆に目立ってしまう。
三人だと【隠密】を使う機会は少ない。
リンはぴたっとしたヨガウェアのことが多い。
トウコはミリタリー調の服だ。
くノ一装束を着ることもある。
ダンジョン間の装備移動が面倒なので、普段は気楽な格好である。
サバンナは日差しがあって暑い。
「この装備、草原だと目立つかな?」
「このあたりだと目立っちゃうかもしれませんね」
拠点周辺はみずみずしい草が茂る草原だ。
黒系は目立つ。
「敵に見つかっても倒せばオーケーっス!」
「まあな。それに隠れたいなら布でもかぶればいい」
ふむ。
迷彩の布……擬態……。
「よし。ついでに迷彩装備を作ろう!」
「おー。カモフラージュっスね!」
「たのしみです!」
思いついたときがクラフトのタイミングだよね!
作るのは迷彩陣羽織だ。
装備の上に重ね着する。
適当な布とクモ糸を素材にしてちゃちゃっと作る。
防御性能は最低限でいい。
軽量化と暑さ対策のためメッシュ加工にして……。
穴に葉や草を差し込めばギリースーツとしても使える。
色は二種類。
緑系と枯草系の迷彩パターン。
これを三人分作成!
よし完成!
日差しが強い場所があるので、暑さ対策にもいいぞ!




