ワニ革で何つくろう!? 【クラフト】
草原ダンジョン。
俺はボスワニがドロップした皮を前に腕を組んでいる。
サポートシステムの鑑定結果は『丈夫なワニの皮』だった。
これとは別に、最初に倒した巨大ワニの尻尾もある。
尻尾の食べられる部分が無くなった残り、つまりこれも皮である。
しかしこちらは『丈夫な』という修飾がつかないただの『ワニの皮』だ。
巨大ワニの皮とはいえ、性能は今回のドロップ品より落ちるらしい。
食材のついでに手に入ったものだからかな?
まずは、『丈夫なワニの皮』の使い道を考えよう!
こちらのほうが尻尾の皮に比べて分厚い。
これはたぶん背中部分の皮だろう。特徴であるゴツゴツしたでっぱりがある。
このでっぱりは、背鱗板というものだ。
骨が入っていて硬い。
見た目にも美しいし面白い素材だ。
俺は皮の表面を手で撫でる。
ごつごつした手触りが頼もしい。
「うーむ。これは、素材を活かしたい!」
でも、防具にするとすこしゴツくなるんだよなぁ……。
でっぱりがある分、すこしかさばる。
動きを妨げる部位には使いにくい。
それでも金属に比べれば軽いしやわらかい。
加工は【忍具作成】にイメージを伝えればよきに計らってくれる。
ワニ革の特徴である背鱗板を活かしたものがいい。
背骨を守る装甲……。
よし!
作るものが決まった!
脊椎プロテクターを作るぞ!
これはバイク用のプロテクターとして見かける品物だ。
使うのは俺である。
リン用には盾を作りたいが、これは皮素材ではなく金属素材で作るつもりだ。
トウコは銃があるから装備品はほとんどいらない。
早速、始める!
メイン素材は『丈夫なワニの皮』。
サブとして『ワニの皮』とクモの糸。
クモ素材は俺のダンジョン産だ。
忍具である糸に加工して【忍具収納】に入れて持ち込んである。
さて、イメージを膨らまそう。
背骨に沿ってぴったり体にフィットするように、背中の素材を使う。
ゴツゴツした背鱗板で背中を守るのだ。
密着すると暑くなるから、背中に接する部分はメッシュ加工としたい。
首から背中、腰の一部を守る。
ついでに胸当ても作ろう。片面だとバランスが悪い。
肩部分は動きを阻害するからいらない。
ベストやリュックサックのように装着する。
さらにベルトでサイズを調整できるようにしておけば着脱もスムーズだ。
よし、こんなものかな。
「さーて! 出番だ、忍具作成君!」
さらに特殊効果の強度強化を付与!
術が発動して、イメージ通りの品物ができあがる!
いや! 想像以上!
さすが相棒! できるね!
さっそく着てみよう!
「これなら重ね着もできるな。色も黒系だし、違和感もない! シンプルに防御力アップだ!」
動き心地は……うん、悪くない!
俺はその場でバク宙したりアクロバットな動きを試していく。
刀を振っても干渉しない。
背中に鞘を背負うと多少、プロテクターと干渉する。
だけど俺の鞘はコウモリ革の変移抜刀鞘である。
木や鉄で補強しているとはいえメイン素材はコウモリ革なので柔軟だ。
おさまりのいい位置に背負えば邪魔にはならない。
左右でも下からでも抜けるよう作ってあるが、さすがにちょっと引っかかりはある。
練習すればスムーズにできるはず!
飛んだり跳ねたり刀を抜いたり……。
地面を転がったり、後ろに倒れて受け身を取ってみたり。
草の上に寝転がった俺は気配を感じて視線を上げる。
「……なにやってんスか、店長?」
「わあ! 新しい装備を作ったんですね!」
トウコがジト目で見下ろしている。
リンは目を輝かせて俺を見ている。
俺は涼しい顔をして立ち上がる。
「……うむ。装備のチェックをしていところだ」
別に変なところを見られたわけじゃないし!
新装備にテンションが上がってピョンピョンしたんじゃないし!
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