毒とはなにか!? 【スキル検証】【操水】
「あ、固体の毒はどうなんでしょう?」
「む……。水に溶けていない状態か! それはイケそうな気がする!」
水に溶かすのではなく、乗せる感じ。
「できそうですよねー! パン粉水や泥水と同じです!」
「ちょっと小粒の毒を作ってみよう。水に浮くイメージで――」
丸薬を作成する!
作りたいのは水に浮かぶ錠剤だ。
十錠ほどで、お菓子のラムネくらい!
さっき作った毒液を原料にして麻痺毒を作る!
「――毒術!」
完成!
白いラムネ風の錠剤が出来上がった。
「ちょっとおいしそうな見た目ですねー」
お菓子をイメージして作ったせいだな。
しかしこれは……。
俺は眉をひそめる。
「あー。これは良くないな。間違って食べたら困る。使い終わったら処分しよう!」
「あ、そうですね!」
トウコがつまみ食いして悶絶する姿がありありと目に浮かぶ!
毒の管理はしっかりしないと!
さて、試していこう!
「ではまず【操水】! 普通の水を操る! そこに毒錠剤を乗せる!」
操った水に毒錠剤を浮かべる。
すぐには水に溶けず、ぷかぷかと浮かんでいる。
まだ水は俺のコントロール下にある。
操作は途切れていない。
「できましたねー!」
少し操りにくくなったが実用範囲内!
「固体の毒はすぐには溶けない。だから水が毒にならない。操れる! これで毒を敵にぶちこめるぞ!」
口元へ直接、水を操って流し込む!
食材目当てではない敵なら毒を使ってもいい。
そう、ゴブリンならね!
あとで試そう! そうしよう!
まずはここでできる検証をする。
「このまま、粉薬も試そう!」
「はい!」
操った水に粉薬を入れる。
「ふーむ。粉薬は錠剤よりも抵抗が強いな。水に混ざりやすいからか? 泥水はもっと操りやすいんだけど、砂粒はかなりの数になるよな……」
「お水が毒を嫌がるんでしょうか?」
「嫌がる? んー。禁止度が高いって感じかな。ありそうな気はする。外の世界がスキルやポーションを禁止しているみたいな……」
【操水】は毒という概念を操れない。
体液や植物も同じように禁止されている?
「忍具収納さんに忍具しか入らないのと似てますよね?」
「縛りだな。つまり忍具という概念だけ許可しているってことになるか」
【忍具作成】や【忍具収納】はその名の通り忍具という概念だけを扱う。
【操水】は水という概念を操る。
そしてそれ以外は担当外だ。
「概念……カテゴリみたいなくくりですよね」
「ふむ。そう言えるかもな」
リンが空中にシステムさんを可視化させる。
そして先ほどの毒粒を入れたコップを示して言う。
「システムさん。これはなんですか?」
「お、鑑定か! カテゴリがわかるな!」
タコウィンナーが答える。
<名称:麻痺毒。カテゴリ:毒物>
リンがポンと手を叩く。
「あ、やっぱり! 毒は毒物なんですねー!」
「素材じゃなく毒物扱いか!」
クモの毒腺やキノコは素材である。
加工するとカテゴリが毒物に変わる。
これが原因!
カテゴリが違うから操れない!
忍具収納に毒や薬が入れられないのも同じ理由!
毒や薬、水は忍具じゃない!
水玉のような忍具に加工すれば水を含んでも忍具カテゴリになる
てことは――
「じゃあポーションはどうだ? カテゴリは素材じゃなかったよな?」
「たしか回復だったと思います。システムさん。どうかな?」
リンがポーション瓶を取り出す。
これは草原ダンジョン産の品だ。たまに花蜜スライムがドロップする。
<名称:治癒薬。カテゴリ:回復>
「やっぱり回復か。このカテゴリのものも【操水】では操れないのかな?」
「水薬ですが水ではありませんよね」
「ガソリンとか灯油も操れなかった。これは水と言うより油な気がするし、そもそも生物由来だから無理だな」
「あ、そうですね。大昔のプランクトンさんが変化したものだって聞いたことがあります!」
プランクトンの死骸が地中で長い年月をかけて変化したものが石油。
と言うのが有力な説だ。
そして石油を精製したものがガソリンや灯油である。
つまりこれらは植物由来である。汁ではない気がするが。
どっちにしろ水ではないだろう。
石油製品は操れない。
ついでに人体に有害なので毒と判断してもいいかもしれない!
誤字報告ありがとうございます!




