水とはなにか!? その2 【スキル検証】【操水】
果汁、樹液、草の汁……。
植物由来の液体も【操水】の対象外だ。
これは水じゃないってことだ。
「ちなみに豆乳もダメ。これマメな!」
「お豆もダメなんですねー。あ、マメって……あはは!」
遅れてウケた!
リンの笑いのツボはちょっとズレてるね!
「植物由来の飲み物もダメ。試してないがココナッツウォーターとか野菜汁とかも操れないはずだ」
「人参ジュースやスムージーもだめなんですねー」
「まあ、ここまでくると【操水】で操ろうと思わないから、気にしてもしょうがないな!」
ピンチになっても人参ジュースで戦ったりしない。
素直に刀を抜くね!
俺はペットボトルを手に取ってリンに見せる。
しゅわしゅわと発泡している。
「さて次! これは気体が溶け込んだ水。炭酸水だ」
「操れそうですね?」
俺はうなきながら炭酸水を操ってみせる。
「ああ、これは問題ない! ちょっとハネるけどな」
「炭酸水はお水ですよねー。納得です!」
「炭酸は二酸化炭素水だからな。酸素水とか水素水とかもオーケーなのかな?」
「どうなんでしょう。酸素水なんて飲んだことありません。おいしいんでしょうか?」
味は今関係ないが……。
「水素水とかも流行ったみたいだけど、俺は飲んだことないな」
これは用意していない。
まあ、簡単に手に入らないものは操れなくても構わないだろう。
「さて、炭酸水は操れる。だけどサイダーやコーラは操れない!」
「あれ? ジュースだからダメなんでしょうか?」
果汁百パーセントでないとジュースとは名乗れない。
日本の規格ではそう決まっている。
「ちなみにこのサイダーやコーラには果汁が入っていないはずなんだが……」
「ここに果糖ブドウ糖液糖と書いてありますね。これがだめなんでしょうか?」
ペットボトルの原材料を見せてくれる。
「うーむ。植物由来だからか? マジで? 細かすぎるだろ【操水】!」
「厳密なんですねー」
ちょっと扱いにくいんですけど!
【風忍法】ならどうなっちゃうの!?
まあ、空気じゃない気体を操る機会は少ないかな?
おっと脱線。
いずれ……いずれ【風忍法】も試したいがスキルポイントが足りないから当分先になるだろう。
【水忍法】だけでも試したいスキルがありすぎる!
「で、次が問題児なんだ。砂糖を溶かした水なんだけど……どうなると思う?」
これは事前に調べたので俺は答えを知っている。
「砂糖水ですね? 甘いけれどジュースではないですよね……操れる、かなあ?」
「これは操れない。なぜなら砂糖の原料は植物の汁だからだ!」
「あーっ! そうでした! サトウキビから作るんですよね?」
「そうそう。植物由来だからダメなんだ」
テンサイなど別の素材の場合もあるが、植物には違いない。
いったん精製してから溶かしてもダメである!
厳しい!
「ちなみに塩水は操れる! これシオな!」
「そうなんですねー!」
あ、ウケない!
純粋につまらなかったか!?
リンのツボがわからん!
さて、次!
俺は濁った液体を示す。
「これ、なにか浮いてますね」
これはパン粉を入れた水である。
晩御飯の揚げ物で使った余りを再利用している。
本来は捨てるものなのでエコである!
「浮いてるのはパン粉だ。これはどうなると思う?」
「パンは小麦ですよね。だから操れないと思います!」
「さすがリン! ちゃんとこれまでの流れをわかってるな。でも不正解だ!」
「えっ?」
リンがきょとんとした顔で驚く。
俺も試したとき変な声が出た。
はぁ? ってなるよな。
「操れるが、操りにくくなる! 理由は俺にもわからん!」
「混ざってないからですか?」
混ざる……?
パンは水に溶けない。
水の中に浮いているだけで、水溶液とは言えないな。
「ん? ああ、溶けてないってことか?」
「はい。えーと、パンは水に溶けていなくて、水が操られているから、パンも動いちゃうんじゃないでしょうか?」
ちょっとわかった気がする!
「おお! そういうことなら、薄い泥水なら操れるぞ! これは同じ理由か!?」
「水と砂ですね! これは操りにくくなるんですね?」
「そうそう! 濃い泥水は操れない。泥は土がほとんどだからな」
操っているのは水であり、そこに混ざっている砂はついでに動いている。
電気が通りにくくなるみたいに、魔力が通りにくくなる。
ノイズや抵抗が増す感じで操作が鈍く、重くなる。
スキルレベルを上げる前より、今のほうが魔力の通りがいい気がする。
つまり力業で動かせる。
もっとスキルレベルを上げれば、操りにくい液体を操れるようになりそうだ!
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