水とはなにか!? 【スキル検証】【操水】
さまざまな液体を並べた机を前に、俺は宣言する。
「さて、どれが操れるか試していくぞ!」
「はい!」
一部はすでに一人で検証したんだけどリンともう一度確認していく!
「まずはおさらい。【操水】は名前の通り、水を操るスキル。ゆえに水がないと使えない」
「はい。お水を出すスキルではないんですねー」
「水を自在に動かせる。だけど空中には浮かせられない。念動力と違って水を移動させるだけだ」
「うむ。水を生み出すことはできない。水を自在に動かせるスキルだ。だけど空中には浮かせられない。念動力と違って水を移動させるだけだ」
「うーん。魔法みたいなものなら、浮かせてもいいと思うんですけど……ダメですか?」
「ヘビのように、にょろっと持ち上げることができる程度だな」
スキルは認識や浮かべるイメージで効果が多少変わる。
危険な状況や気分が高まっていると本来以上の力が出ることもある。
いわゆる火事場の馬鹿力だ。
でも俺はそういう上振れには期待しない。
平常の状態で扱える能力を基準に考えるのだ。
できたりできなかったりする不確かな力には頼れない。
「イメージを変えていろいろ試したけどムリだった。【水魔法】ならできるのかな?」
「できそうな気がしますねー」
俺もできそうな気がする。
忍法でもできそうな気はするけど……!
「魔法と忍法の違いなのか、俺の想像力不足か……」
「ゼンジさんのせいじゃないと思います! 簡易モードと詳細モードの違い……かも?」
フォローをありがとう!
俺や忍法が悪いのではなく、リンの想像力がすごすぎる説もあるけど!
「ともあれ【操水】で水は浮かない。でもこれは、【分身の術】と同じと思えば納得できる」
「分身さんと同じ……ですか?」
リンがこてりと首をかしげる。かわいい。
「分身は歩けるけど飛べないだろ?」
「あっ! そう言われると似てますねー! わかりやすいです!」
リンは納得顔でうなずいている。
俺はテーブルの上を手で示す。
「じゃあ実演するぞ! まずこの水道水。当然操れる!」
「はい!」
コップの水が【操水】の力で上に持ちあがる。
「次、牛乳!」
「操れないはずですね?」
「正解! これは牛の体液だからな!」
コップの中の牛乳はピクリとも動かない。
体液は操れない!
「では次にコーヒー! これはどう思う?」
「体液ではありませんし、操れるんでしょうか?」
「操れない! うすいコーヒーでも濃いコーヒーでもダメだ!」
「あれ……なんででしょう?」
「わからん。カフェオレもダメだ」
牛乳もコーヒーも単品でも操れないが混ぜてもダメ。
これはあたりまえ。
「これはオレンジジュースですか?」
「そうだ。これは操れない!」
リンが隣のコップを指差す。
「こちらはリンゴジュースですね?」
「これも操れない。たぶん、果汁だからじゃないかと思うが……」
「体液と同じルールでしょうか。植物の汁だからなのかなー?」
「果汁もダメなんだと思う。いわゆるジュースだな」
なんとなく理解できる。
生物に含まれる液体は水とみなされない。
「果汁や樹液が操れたらトレントみたいな樹木系モンスターを瞬殺できるんだけどな!」
「残念ですねー」
リンはトレント戦に参加していないが、話は聞かせている。
「ちなみにオレンジジュースは果汁百パーセントの品で、リンゴジュースは濃縮還元だ。どっちにしろ操れない」
「さすが細かいですね!」
「お水で薄めたらどうですか?」
「かなり薄めれば操れる」
ジュースを薄めたというより、ほぼ水である!
こうして地道にルールをつきとめていく!
ご意見ご感想お気軽に! 「いいね」も励みになります!




