表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

889/1494

人間は考える葦である。ゾンビは考えないがヨシ!

 トウコがすっと手を出してくる。


「で、店長。おみやげのワニ肉はどこっスか?」

「ないわ! 土産はこれな」


 ほい、とトウコに葦の束を渡す。


「なんスかコレ!? 草っスか?」

「対岸に生えてたものだ。このあたりに生えている草とは違うから一応持ってきた」


 トウコがげんなりとした顔で言う。


「こんなん要らないっス!」

「まあ、そう言うな。一応鑑定してくれ、リン」


 たいした素材じゃないと思うけど一応ね。

 リンはトウコから草を受け取ると空中に向けて話しかける。


「はーい。システムさん。どうですかー?」


 タコウィンナー姿の【サポートシステム】が現れて答える。


<名称:ヨシ。カテゴリ:素材>



「へえ。カテゴリは素材か」

「名前しかわかんないっスね!」


 葦はもともとアシと読んでいたらしい。

 でも()しでは縁起が悪いので()しに呼び変えたのだとか。


「俺はアシ派なんだけどな。ちなみに名言の、人間は考える(あし)である、で覚えたんだ」


 フランスの有名な哲学者、パスカルの言葉である。


 トウコは興味なさそうに言う。


「どっちでもヨシっス!」

「人間は自然の中ではか弱いけど、考えるから尊いって意味なんだが……。トウコは何も考えてなさそうでうらやましいよ!」


 トウコがゆるい笑みを浮かべる。


「へへ! そっスかー?」

「褒めてないんだが、まあヨシ!」


 こんな草一つにだって意味があると思いたい。


 たとえ、使い道がなかったならそれでもいい。

 役に立たない素材だと知ることに意味があるのだ。



 スキルの使い方だってそうだ。

 いろいろと試して、考えていきたい。


 試行錯誤の中でこそ技術も知識も磨かれるのだ!



 俺は荷物を担ぎなおす。

 自律分身が持っていた槍や素材も俺が持つ。


「んじゃ今日は帰ろうか」


「そうっスね!」

「帰ったら検証ですね!」


 リンが小さくガッツポーズを作る。

 俺とトウコがそれに反応して首を向ける。


 リンが申し訳なさそうな顔で言う。


「あ、ごめんなさい。わざとじゃないんですー」

「いや、いいよ。でも戦闘中に誤爆しないように気を付けてくれ」


「じゃあ練習っス! 連続でセクシーポーズしながら歩くとかっ!」

「うん。いいね。そうしよう!」


「えっ? ほんとにするんですか?」

「何事も練習だからな、うん」


 しかたないね! 練習だからね!




 拠点に帰り着いた。


「ポージングの効果は切れてたんですよね?」

「ちゃんとできてたぞ。不自然に意識をひっぱられることはなかった」


 リンは少し困った様子で言う。


「そ、そうですか? それならよかったですー」

「うへへ。堪能(たんのー)したっス!」


 トウコはヨダレをたらさんばかりの緩んだ表情である。

 俺とトウコはスキルの注目効果とは関係なく、ずっとリンのポーズを眺めていた。


 道中ずっとリンが「効いてますか?」と訊ねてきたのが面白い。



「んじゃ、ちょっと休憩したら検証を始めるぞ!」

「はーい!」


「じゃー、若いモンにまかせてあたしは寝るっス!」


「お前が最年少だろ! まあ、おやすみ!」

「トウコちゃん。おやすみなさーい」


 俺たちは笑顔で見送る。


「今夜はいい夢が見られそうっス! うへへー」


 トウコはへらへらしながら転送門へと消えていった。



 忍法研究会はじまる!

ご意見ご感想お気軽に! 「いいね」も励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 練習という名の視◯プレイ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ