【銃創造】の新段階!?
「さて、宝箱を開封しよう。リン、開けてくれ」
「はーい」
リンが宝箱を開ける。
中身は――
「お肉――じゃないっス!」
「ああーっ! 皮だけですよ! 身がついていません!」
二人とも落胆を隠せない。
「いや……いいだろ革でも! 頑丈そうだし、すぐ素材に使えそうな感じに加工されているし」
皮というより革。
生の状態が皮。
鞣し加工されたものが革である。
「もうワニさんのお肉、少ししかないから……残念ですねー」
「また狩ればいいさ。次は捕獲して【解体】を狙おう」
「捕まえるのはムズかしいっスねぇ。あー、お肉食べられると思ったのになー!」
「もっと準備が必要だったな。でも【水忍法】と【モデル】の実戦訓練は悪くなかった。課題もいろいろ見つかったし……」
柵やワイヤー。落とし穴。もっと大量の粘着玉。
そういう準備がないとワニの捕獲は難しい。
「あ! さっきのでレベルが上がったっス!」
「おめでとう、トウコちゃん!」
「おお。これで二十二か?」
「そーっス! 上げるスキルは【銃創造】にするっス!」
もう決まっているのか。
さすがトウコは即断即決!
「いいんじゃないか?」
「スキルレベルが五になるのねー?」
「これであたしもスキルマスターっス!」
「つまりスキル調整を解禁できるわけだな!」
スキルレベルが最大の五になるとスキル調整が解禁される。
それを優先しての【銃創造】上げ!
もちろん銃を出す能力こそトウコの基本!
「んじゃスキルレベルアッープ!」
「お、さっそくか。新しい銃が出せそうか?」
「えーと、二つあるっス! まずは大口径マグナムッ!」
トウコの手が光り、大きな銃が生み出される。
いつも使っているのは三五七マグナム銃である。
わざわざ大口径というならこれは――
「――四四マグナムか?」
「そーっス! 最強の上! 超最強の銃っス! そしてもうひとぉつ!」
逆の手が光る。
現れたのはオートマチックマグナム!
有名なやつ!
「デザートイーグルっス!」
「おお、いいじゃないか!」
「かっこいいね、トウコちゃん!」
「これでマグナム弾を連発できるっス!」
トウコが両手にマグナム銃をクロスさせて構える。
恰好はついているが……。
「反動が強くて両手撃ちはムリじゃないか?」
「そこは根性でなんとかするっス!」
「根性でどうにかなってたまるか! 練習かスキルだろ!」
「じゃあ【安定化】を四に上げるっス! ポチッと!」
トウコがためらいなく空中に指を振り下ろす。
「おいっ! 決断速すぎるわ!」
「でもこれで両手マグナムに一歩近づいたッス!」
「じゃあちょっと撃ってみろ! 反動に気をつけろよ!」
トウコが両手にマグナム銃を構えて同時に引き金を引く。
派手な銃声が連続し、両手の銃が跳ね上がる。
「おもっ! やっぱり反動強いっス!」
「そりゃそうだろ! 両手で撃ってみろ」
「そっスね!」
トウコは両手で44マグナムを構えて射撃する。
銃口は跳ね上がるが、きちんと制御できている。
つづいてオートマチックマグナム。
こちらも同様だ。
「両手ならいけるっス! さらにスキル調整! 発動を強化っス!」
「素早く出せるようになるのか?」
「これでリロードなし! 銃を出しては撃つ作戦っス!」
「いやトウコそれはやめとけ――」
俺の言葉を聞く前にトウコはしゅばっと手を上げる。
「出ろっス! 第三の銃! ――ううっ!」
その手に三丁目のマグナム銃が現れる。
トウコがよろめく。俺はその肩を支える。
「だから止めようとしたのに……魔力が持たないだろ!」
「あー。まわるー。世界が回るっス!」
「魔力切れですね! トウコちゃん、無理しちゃだめだよー」
銃創造はコストが重い。
しかも最大レベルを三連発なんて無理だろ!
でも拳銃なら――コストの低い銃なら連続で出しながら戦うこともできるだろう。




