【操水】レベル二! できることが増えていく!?
俺たちは草原ダンジョンの露天風呂に移動した。
風呂につかるわけではない。
「まずは操れる分量を見ていくぞ!」
「はーい」
風呂の水に狙いをつけて――
【操水】!
「おっ! 当たり前だがさっきよりたくさん動かせるぞ!」
「さっきよりずっと多いっス!」
盛り上がった水はトウコの背丈くらいある。
人間一人分くらいのサイズ感だが……。
その水の塊を操作して風呂の外へと移動させる。
「むむ……重い。魔力を食うぞこれ……」
「私の【火魔法】も火を強くすると疲れちゃいます。おんなじですね!」
操れる水量が増えた分、消費魔力も増えている。
ゴリゴリ減ってく感じ……!
肉体的な疲労とは違うが、汗がふき出してくる。
「五十リットルは超えてるよな?」
「ポリタンクに入れてみますか?」
リンがポリタンクを持ってくる。
「ナイス準備だ! 助かる!」
「はいっ! 私はゼンジさんの助手ですから!」
リンは嬉しそうに笑う。
「おっ! さっきより水の勢いもいいっスね!」
「操作する速度も上がったようだな! ジェット水流とまではいかないが……かなり水圧が上がった感じだ」
蛇口から流れる程度の速さだったものが、ホースの先をつまんだときのように勢いがつく。
流量や水圧が増えたのだろう。
後でスピードを意識して試してみよう。
まずは分量から!
大量の水を操ってポリタンクに入れるのは難しい。
集中しないと!
「ふう……」
三つのポリタンクが満タンになる。
「すごいです! 六十リットル以上ですね! まだいけますか?」
「もう少しいけそうだが、疲れるからこれくらいにしておこう……ちょっと休憩だ!」
魔力を切って息を整える。
これ以上やると魔力酔いが起きそうだ。
「コスパが悪いんスかね?」
トウコの問いに【瞑想】しながら答える。
「そうだな。戦闘中に乱発するのはキツい。ま、最大量を操る必要はないだろう」
戦闘中なら小さく鋭く使う。
コストパフォーマンスについても、節約して使えばいい。
大技を連発するのではなく、休みながら少しずつ使う。
【瞑想】や魔力回復丸を使えばいい。
「次はスピードを意識して操作してみるぞ」
俺はサッカーボール大の水球を形成する。
崩れないように形を整える。
リンがしゃがみ込んで指でつつく。
「なんだか、かわいいですねー。スライムさんみたいです!」
さっきまでは重力に負けて形が崩れてしまっていた。
スキルレベルを上げたおかげでしっかりと形を保っている。
圧力――水圧が強くなったとでも言おうか。
水球を操作して地面を這わせる。
「うむ。さっきより動きも速くなったし小回りも効く!」
トウコの足の下をくぐって背後へ。
そのまま足元をぐるぐると回る。
「おー! けっこう素早いっス!」
「高性能ラジコンを操作している気分だ。難しいぞ!」
さっきまでは到底できなかった動き!
スキルレベルを上げたおかげで操作しやすくなったのだ。
思った通りに動く。
「伸びろっ!」
俺は水球に圧力をかけて伸びあがらせる。
まるでジャンプするようにアーチを描いて飛ぶ。
「わあ、飛びましたよ!」
「ジャンプくらいはできるようだな」
空中に浮かせることはできないが、勢いよく跳び上がることはできる。
地面を這うだけでなく、尺取虫のように動かすこともできる。
「もっと勢いをつけて……ジャンプ!」
しゅばっ水流が走る。
ただ流れている水と、ホースの先をつまんだときみたいな違い。
殺傷力はないが、水流技ができたわけだ。
「おー! もっと勢いがあれば水ビームっス!」
「マシになったがジェット水流とまではいかないな。でももっとスキルレベルを上げたらできそうだ!」
リンが嬉しそうに言う。
「【水噴射】のかわりになりそうですね!」
「ああ。やはり【操水】を上げれば他のスキルを取らなくて済みそうだぞ!」
今はまだ威力が低いが【水噴射】に近い動きができたと思う。
この調子なら【操水】で【水刃】の代用もできるかもしれん!




