というわけで俺の忍法も見てくれ!
【モデル】のレベルを上げた価値はあった!
効果はばつぐんだ!
「うぅー! リン姉! たまらんっス!」
「トウコ! 落ち着こうな!」
俺はトウコの襟首をつかんで止める。
「と、トウコちゃん大丈夫?」
「大丈夫じゃないっス! つよつよスキルじゃないっスかー!」
「たぶん、俺たちには特別効くんだろうな。抵抗する気がないし……」
自分から引き寄せられてる感がある。
本来は注目を集めるスキルのはずだ。
恋心や性欲をかきたてるスキルではないはず。
「リンの気持ちの変化で、これだけの効果が出るのか?」
「気持ちだけじゃなくて【魅力】をオンにしたんです!」
「ああ、そっちか! そういえば普段はオフにしてるんだったな」
「はい。心に働きかける力はダメかと思って……でもゼンジさんが遠慮はいらないって言ってくれたので迷いが晴れました!」
「カミヤの件で印象悪いからなぁ。でもリンが使う分には問題ないと思うぞ」
「あたしたちは最初っからリン姉にベタぼれなんで!」
「ふふ。そう……そうですか?」
「うん。スキルなんかなくても、もともと好きなんだ。だから遠慮はいらない」
もう何度でも言っちゃうよ!
こういうのは減るもんじゃない!
むしろ言えば言うほど増えるのだ!
リンは真っ赤に火照った顔に手で風を送っている。
「あ……あはは……顔があついですー。ゼンジさんも魔法を使いましたねー!」
「あたしも体があついっス! 温めてくれていいんスよ、店長!」
トウコが指をワキワキしながら俺に向かってくる。
俺はその頭を手で押さえ、ヨダレゾンビの侵攻を止める。
「なぜそこで矛先を俺に向ける! まず頭を冷やせ!」
俺もだが!
いったん落ち着こう!
そういうわけでコーヒーを淹れた。
一服して心を落ち着かせる。
「ふう……。いや、【モデル】はとんでもなかったな!」
「あたしわかったっス! たぶんヘイトを取るスキルなんスよ!」
リンがギクッとした顔になる。
「えっ? ヘイトって……嫌われちゃうってことですか!?」
「違うって! ゲーム用語で、敵に狙われやすくなるパラメータのことだよ。憎悪や敵対心を煽って、敵を引きつけるんだ」
「よくあるのは【挑発】っスね! かかってこいー! みたいな技っス!」
トウコが腕を曲げて力こぶを見せつけるようなポーズをとる。
さらにでんぐり返ったり飛び回ったりし始める。
「うらうらー! ひゃっはー! よゆーっス!」
最後にどや顔で親指をぐっと立てる。
「やりきるのかよ……」
リンがうなずく。
「これが挑発のポーズなんですね!」
「いや! そうだけど違う!」
信じるな!
リンが不思議そうな顔で親指を立てている。
「えっ? このポーズで敵さんの注意を引けるんじゃないんですかー?」
「ゲームのマネしたけど意味はないっス!」
超人気格闘ゲームの伝説の技をマネしているのだ。
だがポーズに特別な効果はない!
自分が不利になるだけの技である!
「ややこしいタイミングで意味のないことをするな!」
「へへっ! やらずにはいられないっス!」
「よくわかりませんが……【ポージング】はモンスターさんにも効くんでしょうかー?」
「それはぜひ試そう!」
「はい!」
「あ、その前に俺もスキルを取ったんだ! ちょっと見てくれよ!」
モンスター相手に試しに行く前に俺のスキルも二人に見せておきたい!
トウコが目を輝かせる。
「おっ!? ついに忍法っスか!?」
「おうよ! 【水忍法】と【風忍法】を取ったぞ!」
「うえぇ? まさかのイケメン枠を二重取りっスか!?」
「悪いか!」
「二つ取ってもイケメンになるわけじゃないっス!」
「そういうつもりで取ったんじゃないわ!」
リンが不思議そうに言う。
「あれ? 魔法と違って両方とも取れたんですか?」
「ふふ。よくぞ聞いてくれた! 【検証者】を使った裏技で同時に取得したんだ!」
リンが小さな拍手を送ってくれる。
「わあ! すごいですねー!」
「こういう場合はズルくても良いんだ!」
トウコが親指を立てる。
「さすが店長っス! さすが忍者汚いっ!」
「ホメ言葉と受け取っておこう!」




