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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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実戦! ゴブリン試し斬り!

 【水刃】は攻撃用の術だ。


 水の刃が現れて切ったり突いたりできる。

 この動作はイメージで決まる。


 現れる刃の形もイメージ通りになる。

 刀でも槍でもかまわない。ここは比較的自由だ。


 しかし刃物に限る。

 鈍器をイメージしてもスキル自体が発動しない。

 あくまでも水の刃を出す術なのだ。


 まさに出すだけ。

 作った刃を操れるわけではない。

 出現させた後は動かず、水に戻る。




 そして準備時間。

 発動までに一秒かかる。

 ちょっと出が遅い。



 次に持続時間。

 発動してから一秒間、刃の形を保っている。

 コストを払い続けることで維持もできる。これは後述。



 クールダウン時間(クールタイム)がある。

 再使用するまで三秒。連発はできない。



 消費魔力(コスト)はそれなり。

 【分身の術】より重い。



 次に距離。

 水に触れていなくても発動できる。

 自分の近くに水があればいい。距離は一メートルほど。


 水から敵までの距離は武器の形次第だ。

 突き出すように刃を作れば、二メートルほどは届く。



 強さだが……これは評価が難しい。

 まず攻撃用途で考えれば【操水】より使いやすい。


 操作が簡単だ。細かくイメージしなくてもいい。

 単純に火力――いや水力(威力)が出るスキルだ。



 水の刃はそれなりに硬いが金属には劣る。

 武器で受けたり払ったりすると水の刃は崩れて水に戻る。


 水の量の影響もある。

 水たまりのように量が少ないところから発生させた刃は弱くなる。


 水の入ったペットボトルを内側から貫ける。

 これは【操水】ではできなかったことだ。


 【水刃】の刃は手に持つこともできる。

 一秒で水に戻ってしまうが、コストを支払い続ければ維持できることが分かった。


 維持する場合のコストは安い。

 体感では半分ほどだ。


 ただ、もともとコストが重いので刃を維持し続けるのはコスパが悪い。


 結局、水を武器にするより刀で戦ったほうがいい。

 武器がなくて水がある状況でなら使えるかな……という程度。

 あくまで一時しのぎだ。


 しかし不意打ちや奇策には使えそうである。

 忍者らしい使い方ができそうだ!



「さて、だいたいわかった。次は実戦! 試すならスライムよりゴブリンだよな!」



 クローゼットダンジョンに移動する。

 毎度おなじみ、ゴブリン試し斬りだ!



 俺は第四階層――地底湖エリアにやってきた。


「ここなら水はいくらでもある! 試し放題だ!」


 ドーム状の洞窟。中央には深い湖。

 壁沿いに細い通路がある。


 通路が水面に近い場所がいいな。


 一部が水没した通路。

 足場が飛び石になっている場所を選んでゴブリンを待つ。



「キキッ!」


 と思ったら先にコウモリが来た!

 さすが忍者絶対殺すマン!


 飛んでいるコウモリに対して、水面から生やす刃は届かない。


 刀や棒手裏剣を使って倒してもいいが――

 ここは【水忍法】を試したい!


 ちゃんと考えてある!

 俺は手のひらにペットボトルから水を注ぎ――【水刃】を発動!


「――くらえ! 水手裏剣の術!」


 棒状ではなく、平べったい十字手裏剣をイメージ!

 水が刃に――手裏剣状に変わる。


 それを投げる!


「キィィ」


 命中!

 コウモリが塵に変わる。


 水手裏剣が水しぶきに変わって、キラキラと空中を舞う。

 壁や天井で輝いている水晶の光を反射して、なかなか綺麗だ。



「よし! うまくいった!」


 刃に変えて投げても問題ない。

 手を離れても一秒ほどは刃の形状を維持する。

 それだけあれば敵に届く。


 殺傷力もコウモリ相手なら充分!

 いつもの棒手裏剣やクナイでも倒せるが、水から飛び道具が作れるのは便利!


 水はタダ!

 魔力を使うから労力はタダじゃないけど、道具が減らないのはいい。



 お、いいところにゴブリンが来た!


 狭い通路を一列になってやってくる。

 四匹だ。


 こちらに気づいて騒いでいる。


「ゴブッ!」

「ウギギッ!」


 ゴブリンが飛び石を跳び越えて打ちかかってくる!

 その一撃をなんなく躱しながら用意していた術を発動――


 イメージは槍!


「貫け、【水刃】!」


 水の槍がゴブリンの足元からせり出す。

 穂先が胸を貫いて背中まで伸びる。


「ウギ……!」


 絶命。ゴブリンが塵に変わる。



「アギャ―ッ!」


 二匹目と三匹目が飛びかかってくる。

 俺は背後へ跳んで距離を取る。


 【水刃】はまだクールダウン中で使えない。


 そこで【操水】!

 こちらは【水刃】より遠くから使える。


「――【操水】!」


 足元の水を操作!

 ゴブリンの足を掴むようなイメージ!


 腕のように伸びた水がゴブリンの足を掴み――

 いや、掴めない!


 水を操れても硬くなるわけじゃない。

 水の腕がゴブリンの足にぶつかり水しぶきとなって砕ける。


「アギャッ!?」


 しかしゴブリンは水のカタマリに足を取られて転倒。


 やわらかくとも水には重さがある!

 動きを邪魔するには充分!



 さらにこぼれた水を操作する。

 転倒したゴブリンめがけて水が床を這っていく。

 するすると、まるでスライムのように。


 そのまま立ち上がりかけていたゴブリンの口元へ!


「ゴブッ!? ……ゲホっ!」


 一抱えほどの水がゴブリンの口と鼻を覆う。


 これは俺が操れる最大量――およそ二十リットル!

 ゴブリンの頭部を包み込むには充分!


「ガボッ! ガボガボ!?」


 ゴブリンが手で水を払おうとする。

 少量の水が取り除かれるが……するすると元に戻る。


 まとわりついた水は払いのけられない!


 ゴブリンは顔を真っ赤にして喉をかきむしっている。

 息絶えるまでには時間がかかりそうだ。


 このまま続ければ窒息死させられるだろう。

 陸上で溺死だ。


 しかし、魔力の消費が重すぎる。

 大量の水を長時間操るのはかなりキツイ!


 俺は刀でゴブリンにとどめを刺す。

 ついでに残るゴブリンも始末しておく。



 魔石を回収して息をつく。


「ふう……魔力消費がキツイ! しかし窒息攻撃は強そうだ!」


 【操水】の使い方はこう!

 これぞ忍法だよね!


 定番にして最強の窒息攻撃!

 対策しづらく、防御も困難!


 物理的な破壊力など必要ない。

 水そのものが凶器なのだ!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] スキルレベルが低い内から高度なことをやろうとしているから消費が激しくなっていると予想。 その分だけ熟練度の上がり具合も良くなりそうな予感はしなくもないかも? [一言] つまり伸び代しか…
[一言] イメージをしっかり固めればより鋭く切れ味のいい刃が作れそうだねぇ…これは 手裏剣も棒型クナイ型色々使えそう
[一言] 高精度で操作可能ならペットボトルを投げる! 水刃でペットボトルを破って操水で鼻や喉を覆って窒息攻撃!! 水溶性毒薬なら尚のこと効果的!!!
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