水の刃はスイジンで! 【水忍法】【水刃】
【操水】は一度に二十リットルほどの水を操れた。
水を移動させるだけじゃなく、熱や硬さも変えられそうだ。
イメージがかなり難しいのが難点だな。
練習次第でもう少しできそうな手ごたえがある。
攻撃には使いにくいが便利そうである!
というわけで……。
次に取るのは攻撃に使えるスキル――【水刃】だ!
さっそく取得する!
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【上級忍術】
【水忍法】
【水刃】
レベル1:水の刃を発生させる。
レベル2:さらに強度を増す。
レベル2への必要ポイント:8
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次段階の説明が出たけど……強度?
威力や切れ味ではなく強度。
ふむ……わからん!
とりあえず使ってみるか!
俺は風呂の水に手をかざし――
「――【水刃】っ!」
魔力が減った感覚!
術が発動した手ごたえだ!
そして、やや間を置いて効果が表れる。
おおっ!
水面から、勢いよく水の刃が突き出された!
その姿はまるで日本刀のようだ。
うすく透き通っている。反対側が見えそうなほどだ。
【操水】で操った水と違って固形だな。
つまり氷なのか?
俺は手を伸ばして触れようとする。
あ、ダメだ。
【水刃】の形が崩れて、水に戻ってしまった。
持続時間は短いらしい。
「もういっちょ! ――お、再使用には時間がかかるタイプだな!」
再使用可能時間が設定されている。
時間を数える……およそ三秒!
再度【水刃】を発動!
水面に刃がせり上がる!
突き出た刃はそのまま動きを止めている。
俺は刃に触れて確認する。
手触りはひんやりとしている。
水温そのまま。氷のように冷たくはない。
固まっているのに水のままとは不思議だなあ!
あ、崩れた。
やはり一秒程度で水に戻ってしまう。
【水刃】は水を固めて短い時間、刃を作る術というわけだ!
とくにイメージせずに発動させたら、刀のような形になっていた。
いつも使っている忍者刀に似ている。
「ではカタチを変えてみる! 出ろ、水の槍!」
水面から一本の槍が突き出す。
これはいつも使っている十文字槍に似ている。
よし! 形状はイメージできる!
ならば贅沢なイメージで発動!
十本の槍を同時に突き出す!
「【水刃】槍衾!」
……む、手ごたえが微妙!
水面から現れたのは三本の槍。
形も少し崩れている。
イメージ不足か? 仕様の限界か?
だが三本は出た!
【水刃】は単発攻撃じゃない!
一度に複数の刃を発生させられる!
「今度は刀! 三本の斬撃!」
振り下ろすような刃をイメージ!
水面から現れた刀が半円の軌道を描いて現れる。
よし! 軌道もイメージできる!
続いて射出!
「飛び出せ! 水の矢!」
水面から矢のような細い刃が突き出し……止まる。
ん……?
「飛ばせないのか。あ、【操水】と同じで空中はムリなんだ!」
微妙!
しかし納得である。
この術は飛び道具にはならない。
そういうのは【水噴射】かな?
「では次に複雑な動きを……!」
刀を水面に突き出し、それを振り下ろすイメージ。
水の刃が現れ――そのまま動かない。
んー?
何度か試してみるが結果は同じ。
水が刃に変わる。その時に勢いもつけられる。
だが作るだけ。操作はできない。
つまり一動作。
刃を作って斬るなり突くなりできる。
作った刃は操作できないのだ。
そういうものか?
ちょっと微妙なんじゃないの?
漫画の水使いはどうしていたっけ。
氷の槍みたいな技はその場に留まる気がするな。
ホーミング性能のある氷の矢を放つ場合もあるが……少ないかな?
水そのものを刃にする場合も瞬間的な攻撃が多いよな?
【水刃】は刃を作って設置……発生と同時に攻撃する。
そういう術なんだろう。
ちょっと不便だが悪くない。
操作できなくても使いどころは――
ん?
いや待て!
操作できないだって?
あるよな!
水を操作できる術!
【水刃】を【操水】すれば――
魔力を練り、イメージを作る。
刃を生み出し、それを動かす!
「【水刃】! 【操水】! 刀よ走れ!」
水面に現れた刀身が水面を切り裂いていく。
まるでサメの背ビレのようだ!
「できた! 名付けて【操水刃の術】!」
つい調子に乗って名前を付けてしまった!
後悔はしていない!




