誤解されやすい能力!?
「御庭の異能がわかってきたぞ。吸血鬼と戦ったときも、初見では相手の能力を見抜けなかった。情報を得ていくことで判断できるようになるんだな?」
「うん。僕は常に情報を更新しながら、正しいか判断している」
ふむ。常にということは、今もだよな。
今だけじゃなく、もっと前から――
御庭が言う。
「――初めてクロウ君と会ったときもそうだ。会話して、信頼できると判断させてもらった」
「お? いま俺の思考――表情を読んだのか?」
あえて表情を隠してはいない。だが大きく表情を動かしてもいないはずだ。
こんな些細な情報から判断できるのか……。
「うん。不安な表情を浮かべたり、気持ち悪そうにする人もいる。クロウ君はそうではなくて――興味に近い感情だったんじゃないかな?」
「そうだが、言い当てられるとちょっと気持ち悪いぞ」
御庭は明るく笑う。
「ははは。そういって冗談めかしてくれると助かるよ」
「じゃあじゃあ! あたしが考えていることはわかるっスか!?」
トウコはニヤニヤと含み笑いしている。
「異能がなくてもくだらないことだとはわかるぞ!」
御庭は少し困った顔で言う。
「きっとトウコ君はエッチなことを考えている、と言わせたいんだろうね」
「おおーっ! 正解っス! 今あたしの頭の中では店長と社長が――」
「やめろ! 腐った情報を俺たちの頭に入れるな!」
御庭が笑う。
「ははは。テレパシーを持っていなくてよかったよ」
御庭の異能は他人に対して発動しない。
だから他人の心や精神は読み取れない。
しかし御庭は心の動き――表情を読み取る。
「たまに見透かされている気がしていたが、そういうことか」
御庭は少し困った顔をする。
「うん。こういう能力を嫌う人もいる。だから受け入れてくれる準備が整うのを待つんだ」
「ただもったいぶっていたわけじゃないんだな」
これまでにも御庭は精神感応や読心能力ではないとくり返していた。
頭の中を読まれるだけでも怖いが、書き込まれるとしたら?
記憶や印象を操作されているとしたら?
どうしても洗脳や魅了を警戒してしまう。
精神に働きかける能力は恐ろしい。
最近、濃い目の【魅了】を食らったばかりだし、印象の悪い能力だ。
俺が御庭に対して感じている感情は本物なのか?
実は、いいように操作されていたりしてな。
いや。
御庭に対してそんな心配はしていない。
御庭はこれまで誠実に俺たちと向き合ってきた。
俺たちを害する行動を取ったことはないし、する意味もないだろう。
だから俺は御庭を疑わない!
仲間を疑っても仕方がないからな!
御庭が満足げにうなずく。
「どうやらクロウ君はわかってくれたみたいだね!」
「だから心を……表情を読むんじゃねえ!」
これはショボい能力なんかじゃない!
思ったよりずっと便利な能力だ!
それにまだ御庭の異能の一部、ひとつの使い方を聞いただけだ。
もっと聞いてみよう!




