隠された情報が明らかに……!?
御庭は路上で捕まえた吸血鬼ミナミと女吸血鬼カミヤの情報をトクメツに渡した。
引き換えに「ダンジョン狩り」についての情報を得た。
ミナミから聞くべきことはすでに聞いた。
と言ってもたいした情報はない。
ミナミはカミヤの言いつけを破って携帯電話を持ち歩いていた。
客にクスリを高額で売りつけたり、陰でいろいろやっていたらしい。
オカダが言うには吸血鬼の血液は高値で売るものではないという。
怪しまれない程度の金は取るが、あくまでも吸血鬼を増やすための手段。
金儲けの道具ではないのだ。
俺は御庭に聞く。
「で、ダンジョン狩りの情報はどうだったんだ?」
「特異殲滅課の話では、悪性ダンジョンを狩り集める連中がいるらしいんだ」
トウコが目を輝かせて言う。
「吸血鬼がダンジョン狩りなんスね!」
「だから悪性ダンジョンが減っていたんでしょうかー?」
公儀隠密が把握していたダンジョンが消えたことがあった。
自然に消滅するタイミングではない。
「うん。僕らがマークしていたダンジョンが消えたのはそのせいだろう」
悪性ダンジョンが減るのはいいがカミヤたちの行動を考えると――
「――収穫か! ダンジョンに栄養を与えてボスの魔石を手に入れる! そのためにダンジョンを狩っていたんだな!」
御庭がうなずく。
「うん。ダンジョンを狩って魔石を集める。それをどう使うかはわからない。オカダ君もミナミ君も知らなかったし、特異殲滅課でもその情報は掴んでいないと言っていた。その言葉に嘘はないと思う」
「ふむ。ウソはない、か。それは御庭の能力でわかったんだよな?」
「そうだよ。僕は人の嘘がわかる。僕の能力の一部だよ」
御庭の異能か……。
「そういえば、そろそろ御庭の異能を教えてくれ。後回しはナシだぞ。大事な場面で仲間の能力がわからないのは危険だろ?」
御庭の異能は感知系の能力だ。
だが万能ではない。
その条件を知らないと、咄嗟の状況で頼れなくなる。
「うん。たしかにそうだね! ……あ、オカダ君とコガ君は席を外してもらえるかな?」
「おう? わかったぜ、ボス!」
「は、はい。では……」
オカダが振り返って言う。
「あ、ゼンゾウ。今度飲みに行こうぜ!」
オカダから妙な含みは感じられない。
ただの飲みの誘いのようだ。
「ああ……そうだな。そのうち行こう」
二人が退席する。
さすがに異能を新人に知らせたくないのか?
というより……二人に異能クイズを出したいだけかもしれない。
「さて、僕の異能を話す前に……最後にクロウ君たちの予想を聞かせてくれるかな?」
「素直に教えてくれないのかよ!」
「もうちょっともったいぶりたかったんだけど、そうもいかないよね」
ナギさんが大きくため息をつく。
「はあ。まったく、この人は……」
トウコが手を上げる。
「はいはいっ! イケメン力と経済力っス!」
「トウコ君……一つにしてくれるかな」
「それ異能じゃねーし!」
リンが言う。
「御庭さんは気を使える人ですよね。細かいところに気が付くというか……」
「リン君、それも異能じゃないよ……」
ナギさんが言う。
「弱いのに現場に出ようとする命知らずです」
「ナギ君、ひどくないかな!?」
御庭が魅了されてナギさんを襲っても、ナギさんは問題にしなかった。
ある種の信頼感とも言える。
それはつまり、御庭の異能はナギさんを傷つけられないということだ。
精神感応や洗脳、 読心能力ではない。
観察することでウソがわかる能力なら八十点。
観察力、だけだと曖昧過ぎて正解ではないという。
吸血鬼戦では相手の能力を見抜いてもいた。
なんだろうな?
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