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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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情報の価値は値千金!

 吸血鬼はスキルを選ばない場合、自動で肉体強化系のスキルを得る。

 オカダは自分で選択していたので毛色が違うスキルを持っている。


「そういえばオカダ。言われてスキルに気づいたような話をしていたが、誰かに教わったのか?」

「ああ。タツオってやつがいて、スキルを取ると強くなるって教えてくれたんだ」


「誰だ? あのとき居たやつか?」

「ほら、ガタイのデカいヤツいただろ?」


「ああ、壁をぶっ壊したやつか! パワースマッシュとか言ってたな」

「そうそう! それよ!」


「力こそパワーっスね!」

「わかるかトーコちゃん! 突き詰めた力はすべてを解決するってタツオも言ってたぜ」


 わかるけどわからん!

 俺は小技派である。



 壁を砕いたのは【パワースマッシュ】だ。

 たしかに障害を力で乗りこえていた。


 あれは打撃系のスキルだろう。

 拳で殴る技だから俺の【打撃武器】は違うかな?


 【打撃武器】も似た技があるかもしれない。

 【強打】とか。

 まだ未取得なんだけど、ちょっと気になる。


 技が多ければクールダウン時間があってもローテーションできる。


 そろそろ技を増やしたいんだよなー。

 【回避】しきれない局面が増えてきた。


 知性のある人間や吸血鬼との戦いはダンジョンのモンスターとは違う。

 こちらの回避を考慮して攻撃してくる。

 手先の動きや武器のリーチを体全体でかわすのは難しい。


 スキルを使えば対応できるが限界があるってこと。

 思えば俺は回避に頼っているので刀で防ぐことには慣れていない。


 受けより避け。打ち合うチャンバラはしない主義なのだ。

 武器が痛むし、力負けするし。


 速さこそスピード!

 速さで打開する!


 しかし相手のスピードが同等か自分以上だとキツい。

 それはパワー重視でも同じことだが……。


 力や速さに溺れてはいかん。

 といって基礎を疎かにもできない。

 じっくりと力を養うのだ。



 そこで俺が求めるのは汎用力である!

 器用貧乏も極めれば器用富豪となる!


 どんな状況でも対応できる多彩な小技!

 そして便利な術!


 スキルポイントの貯金も貯まってきたし、そろそろ忍法を取ろう!



 おっと脱線!


 話を戻そう。


「オカダ。他の吸血鬼もスキルを取ってるのか?」


 剣士や柄シャツはスキルを使っていた。

 路上で戦った奴は肉体強化がメインだった。


「スキルについては知らないヤツも居たんじゃねーかな? いちいち教えてくれるわけじゃねーし」


 コガさんが言う。


「その……なんで教えてあげないんですか?」

「仲間が強くなると取り分が減るって考えるやつもいるんだよ」


「ケチっスね!」

「一緒に頑張ったほうがいいですよねー」


 俺もそう思う。


 情報を出し惜しみするより、共有したほうがいい。

 そのほうがお互いに利があるし、高め合える。



 しかし、カミヤは配下の吸血鬼を便利な道具くらいに思っていたのだろう。

 育てたり教えたりしてこなかった。


 そんなことをしなくても【魅了】で言うことをきかせられる。

 育てなくても新しい吸血鬼は増えていく。


 うーむ。ろくでもない!


 そのせいか吸血鬼たちは仲間意識が薄い。

 連携や協力してこないのはありがたいが……。



 俺は御庭に尋ねる。


「そういえばカミヤはその後どうなったんだ?」


 御庭は少し困ったような顔を作る。

 そういう顔をしてもイケメンは絵になるね。


「ハカセが追ってたんだけど、人波に紛れて姿を消してしまった。そのあとハカセがムキになって探したんだけど……見つからなかった」


「へえ? 通信の履歴からも追えなかったのか?」

「そーっスよ! スーパーハカーなら一発っス!」


「それが……カミヤは端末を持っていなかったんだ」

「ケータイを持ってないなんてありえますかぁ!?」


 ハルコさんが目をむいて驚く。

 現代人が携帯電話を持たずに生活するなんて考えられない。


 オカダが言う。


「それがあるんだよハルちゃん!」

「えぇ? なんでですかぁ?」


「カミヤがケータイを使うなって言いだしてさ。見張られてるとか言ってたな」

「ん? ならどうやって連絡を取り合うんだ?」


 オカダが言う。


「持ってないわけじゃなくて、持ち歩いていないだけだ」

「あ、家にはあるのか。さすがに携帯を持たずに暮らしてるわけじゃないのな」


 御庭が言う。


「オカダ君の携帯電話も調べさせてもらった。そこからカミヤが使っていた番号も辿れたけど……その線で調べても所在はわかっていない」

「ふむ……」


 警戒していたってことかな。



 俺は御庭を見る。


「カミヤはネットや通信が見張られていると思っていたわけだ。それって俺たちのことを警戒してたのか?」

「僕ら公儀隠密の存在を知っていたかはわからない。だけど検閲システムを使っているのは僕らだけじゃない」


「たとえばトクメツだな?」

「特異殲滅課もそうだね。そうそう。彼らと情報交換していろいろわかったよ。ダンジョン狩りのこととかね!」


「お? さすが、ザ・ネゴシエーター(交渉人)! よく教えてくれたな」


 トクメツの連中は好戦的で話が通じにくそうな印象だった。

 脳筋集団って感じ。


 トレントのダンジョンのときは俺たちをダンジョン狩りと決めつけて襲ってきた。

 誤解は解けたわけだが……。


「こちらはカミヤの情報を出したし、捕まえた吸血鬼を引き渡した」

「あ、最初に捕まえたやつか」


 車で跳ね飛ばして捕まえたやつ。


 トウコが言う。


「うぇ? せっかく捕まえたのに渡しちゃっていいんスか?」


「彼は僕らに協力する意思がなかったし、たいした情報も持っていなかった。ずっと拘束しているわけにもいかないし、特異殲滅課に恩が売れるなら問題ないさ」


「ミナミか……。俺も説得してみたけど話きかねーからな」

「そういえば、アイツは電話持ってたよな。その線は辿ってみたか?」


「もちろん調べたよ。彼から薬を買っていた客……吸血鬼になりかけた人間を見つけて保護できた。それから吸血鬼も数匹、()()したよ」


「さらりとすごいこと言ったな。俺たち抜きで吸血鬼を倒したのか?」


 御庭がうなずく。


「毎回クロウ君を呼ぶわけにもいかないから、別チームで対処したんだ。油断しているところを一匹ずつ狙えば倒すのは簡単だよ」

「そりゃ頼もしいな」


 俺たち以外にも公儀隠密のメンバーはいる。

 毎回俺が戦わなくたっていい。


 御庭が続ける。


「これは前の事件で情報が得られたおかげだよ! クロウ君たちが調べてくれたから居場所をつかめたんだ」


 最初から吸血鬼のしわざだとわかっていたわけじゃない。

 俺たちは最初、連続噛みつき事件と赤い薬を追っていた。


 吸血鬼が集まるパーティー会場や悪性ダンジョンの場所がわからないから苦労したんだ。


 吸血鬼は強いが一匹なら倒せる。

 情報を握っていれば先手を打てるのだ。


 今回の事件で得た情報で助けられた命がある。

 未然に防げた悪事がある。

 そう思えば、戦った甲斐があるというものだ!

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― 新着の感想 ―
[一言] そういや忍者らしく忍んで見えない所からブスリとか汚い技がないようなw 弱点看破とか急所を刺して即死とか…
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