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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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魅了 VS 停止!

 俺は新たな分身を放つ。

 条件は――敵に近づいて攻撃すること!


 判断分身は意識を持たない。

 自分でモノを考えない。


 ただ条件に従って行動するだけ。

 つまり【魅了】にはかからない!



 分身に槍を拾わせる。

 斬られて短くなっているが、まだ使える。


 分身は槍を構え、剣士へ突撃をしかける!


 剣士はその攻撃を避けらない。

 まだ立ち上がってもいないのだ。


「くうっ……!」


 剣士は腕で槍を受ける。

 苦し紛れの防御だろう。


 穂先が腕に突き刺さる。

 分身は体重をかけ、さらに槍を押し込んでいく。


「調子に……乗るな!」


 剣士の腕から血液がほとばしる。

 鋭い刃物に変じた血液が分身の胸を貫く。


 そのダメージで分身が消える。



 俺は言う。


「まだまだ! 行け、分身!」


 二体目、三体目の分身が突っ込んでいく。


 もう俺は近づかない。

 剣士はもう、さっきまでのような洗練された動きはできない。


 だからこそ危険なのだ。

 行動が読めない。

 近づけばなりふり構わず反撃してくるだろう。


 奥の手を隠しているかもしれない。

 ここは慎重にいく!

 このまま続ければ、あと少しで削り勝つ!



 俺は分身を差し向けながら周囲を確認する。


 ナギさんがカミヤに攻撃をしかける。

 手を振っただけに見えるが、空を裂いてなにかが伸びていく。

 先端に重りのついたワイヤーだ。


 しかしカミヤは避けようともしない。


「ムダだってば。しつこい女は嫌われるわよ?」


 ワイヤーはダメージを与えていない。

 素通りしたのだ。


 どういうことだ?

 また透過能力……?


 吸血鬼はすり抜ける能力が得意なのか?

 いや……柄シャツの透過移動や赤い剣とはまた違う。


 御庭が言う。


「ナギ君! 霧だ! 体を霧に変化させている!」

「……はい」


 (きり)


 言われてみればカミヤの姿は(かす)んで見える。

 豊満なボディラインが揺らめき、輪郭がぼんやりとにじんでいるのだ。


 ……おっと!


 また見惚れそうになっていた。

 くそ……油断するとすぐに意識を持っていかれる!



 カミヤが御庭に言う。


「ねえ、我慢なんてやめて、私と来なさいよ」

「……くっ!」


 御庭は苦しげな声を上げる。

 足に突き立てたナイフをえぐり、魅了に耐えている。


「我慢は体に毒なのよ? ほらほら、はやく」


 カミヤの目が赤く輝く。


「や、やめてくれないかな。僕は強引なのはちょっと……」


 御庭は軽い口調で言うが、余裕はなさそうだ。



 直接向けられたわけではない俺ですら、耐えるのは難しい。


 う……!

 ダメだ……目をそらせ!


 俺は意志を振り絞って目を閉じる。

 額に刀の峰を叩きつけ、なんとか意識を保つ。


 くそ……! 抗うだけで精いっぱいだ!

 分身の操作もおぼつかない。


 判断分身は半自動で剣士への攻撃を続けているが……攻めきれない。

 剣士はダメージから立ち直りつつある。



 なおもカミヤは続ける。


「さあ、そんな女は殺してしまいなさい! 私と永遠に続く夜を楽しむのよ!」

「うう……!」


 御庭は目を閉じて傷口をえぐっている。

 激しい出血からして、かなり深い傷だ。


 御庭の手が止まる。


 ぼんやりした表情で顔を上げると、震える腕で銃を持ち上げる。

 銃口はナギさんへ向けられている。


 マズい……操られている!



 ナギさんは御庭に背を向け、カミヤと向かい合っている。

 御庭の異変には気づいているだろう。


 だがナギさんは振り返りもせず言う。


「御庭さんを操っても意味はありませんよ」

「ううっ……ナギ君……!」


 御庭が引き金を引く。

 軽快な発砲音――


 弾倉が空になるまでそれは続いた。

 弾丸がナギさんの背中へと襲いかかる。



 カミヤが勝ち誇ったような笑い声をあげる。


「あははっ! ねえ、どんな気持ち? 自分の男に撃たれた気分は!」


 ナギさんは表情も変えずに言う。


「別にどうとも」


 弾丸が床に転がる軽やかな音。


 ナギさんの背中には傷一つない。

 弾丸はナギさんを傷つけず、空中で停止していたのだ。



 すっと、ナギさんがカミヤへ手を伸ばす。


「な、なによっ!?」


 カミヤはひるんだ様子で後ろに下がる。

 だが遅い。


 ナギさんの腕がカミヤの胸を突き抜け――すり抜ける。


「……触れませんね」


 ナギさんは眉をひそめている。

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― 新着の感想 ―
[一言] 霧とコウモリに変化するのは吸血鬼のお約束! となると対処法も同じ…?
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