死にスキルが活きるとき!
「再生能力しか取り柄のないお前なんぞ、戦いのジャマだ」
「役立たずが! てめぇは前から気に食わなかったんだ!」
「ともかくお前なんていらない! 顔も見たくないわ!」
オカダはつまらなそうな顔で頭をかいている。
「取り柄なら他にもあるんだけどな……。やっぱりこうなったか……はあ」
カミヤが言う。
「ねぇオカダ? 最後に役に立ってみる? ほら、そいつらを殺しなさいよ。そうすれば許してあげるかもしれないわ?」
オカダがため息をつき、首を振る。
「俺に一人でやれって? この足で? ムリだろ。戦うのは好きだけど、無理やりじゃつまんねーんだ。エヌジーだよ!」
「そう? じゃあ、あんたなんかいらない! 今すぐ――自害しなさい!」
カミヤの目が光ったかのように見えた。
その瞬間、俺は視線を外す。
うっ!?
脳が揺らされるような感覚。
電に撃たれたように、全身がしびれる。
いかん!
俺は床を蹴りつけるようにして痛みを味わう。
痛みがわずかに理性を呼び覚ます。
だが足りない。押し流される!
ああ、今すぐ彼女を視界に入れたい!
その目を覗き込み――声を聴き――足元にひれ伏したい!
……ダメだ!
耐えろ! 忍べ!
「おおおっ!」
俺は槍を自分の足に振り下ろす。
強く――ためらいなく!
石突きが足の指を砕く。
激痛が走る。
「ぐうっ! はあはあ……!」
理性を総動員して、荒々しい欲求に抗う。
これはカミヤが発したスキルだ。
これまでとは違い、能動的に発したもの。
俺に向けられたわけではない。
その余波だけでこれだ……。
だがオカダは立っている。
ちぎれた足を床に叩きつけたのか、床が血で汚れている。
「いつか……こうなると思ってたんだよカミヤさん。使い捨てにされるのはエヌジーだ!」
「え? なに言ってるの。私の話聞いてた?」
「話ならずっと聞いてたぜー? そこのレンちゃんは自分を燃やしてまで彼氏を守ろうとしてた。ハルちゃんは死んだやつのために怒ってくれた。ゼンゾウは敬意を払えって言ったよな。自分がやべーときに敵の心配してる場合かっての。とんでもない馬鹿――いや、おもしれー連中だよ!」
カミヤが言う。
「え。ちょっと待って! なんの話よ? 勝手なこと言わないで!」
オカダはとっくに目を覚まして機会をうかがっていた。
場合によっては俺たちを背後から襲う準備もできていた。
だがそうしなかった……?
オカダは続ける。
「ダチってのは楽しくツルむもんだろ? カミヤさんたちのノリにゃついてけねーわ!」
「なによ! 私の言うことが聞けないって言うの!?」
「聞けないね! 俺の取り柄は再生能力だけじゃねえ。普段は使い道のないスキルだけどな!」
カミヤが金切声を上げる。
「うるさいわ! ひれ伏して許しを請いなさいよ!」
再び、スキルが発せられる。
オカダはそれを受け、顔をしかめる。
ひざを折り――
いや――足を持ち上げて、切断面を床に叩きつけた。
床にびしゃりと血が広がる。
おお、見てるだけで痛そうだ!
「この時のために用意してたんだ! 俺が身につけていたのは耐性スキル……魅了耐性だよ!」
耐性スキル!
それで操られずにすんでいるのか!
カミヤが頭をかきむしりながら言う。
「ああもうイライラするわ! お前たち、こいつらを殺すのよ!」
全員が一斉に動き出す。
戦闘再開だ!
活動報告にてキャラクター人気投票やっています!
期限は明日まで!




