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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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たとえ炎に焼かれても……!?

 ワイヤーで指を飛ばした男が叫ぶ。


「いてぇー! 痛えよカミヤさん! な、なにがあるんですか!?」


 ――この男はカミヤの仲間だろうが……能力の影響下にあるだろう。

 ――痛みがあっても、言われるがままに動いている?


 ――深く術に落ちると抵抗できないんだろうか?

 ――いや、抵抗せず受け入れているのか!?


 ――思えば俺もそうだった。

 ――抵抗しようなどとは考えず、ただ吸血鬼(おんな)を求めていた。


 ――操られている自覚すらない。

 ――これは……思ったより強力な能力だ!



 カミヤが言う。


「自分で考えられないの? ドアはダメなのよ。通れないなら、ほかにやりようがあるでしょう?」

「ああ……壁。そうですね。ブチ破れば通れるんですね! ウォォ!」


 男の体が変異し、大きく膨れあがる。

 トウコが銃を向け、発砲。


「そこをどけっス! うらあっ!」

「ッ――!」


「あらあらぁ? 誰かいるみたいよ? ほら、はやくなんとかしてよ」

「ああ、すぐになんとかするよ。カミヤさん――パワー……スマッシュ!」


 突き出された拳がドア枠……壁にぶち当たる。

 スキルの力を得た拳が壁を打ち砕き、吹き飛んだ破片が室内に降り注ぐ!


「うあっ――!」


 破片に巻き込まれ、トウコが倒れる。

 粉々に砕けた壁材がもうもうと埃が舞わせている。


 トウコの姿が見えなくなる――


 埃の立ち込める中、男は壁をぶち抜いた勢いで、ドアのあった場所へ――


「……あ?」


 男は間抜けな声を残し、バラバラになって床に散らばる。


 ワイヤーに切り裂かれたのだ。

 壁を壊してもワイヤーは消えない!


 ワイヤーはドアにひっかけているのではなく、ナギさんの異能で()()()()()しているのだ。



 カミヤは死んだ仲間に対して平然と言う。


「あらあら。ばかねえ。死んじゃった?」


 ――あのとき(本体)は魅了と混乱で状況を把握できていなかった。

 ――死んだのはトウコではない。

 ――当然だ。死んでたまるか!


 がれきの下敷きになったトウコがピクリと動く。

 直接殴られたわけではない。ワイヤーに触れたわけでもない。


 生きている。だが起き上がってこない。

 もしかして気絶したのか?


 ――だがすぐに目を覚ますはず。

 ――できれば【魅了】も解けていればいいが……



 本体()は焦りの表情を浮かべ、混乱している。

 まるで状況を把握できていない。



 そこへ、尻もちをついていたリンが起き上がる。


 その目に映ったのは――

 ――血だらけのがれきと、そこに埋もれたトウコの足だ。


「トウコちゃん! な、なんてことを――」


 リンの顔が恐怖にこわばる。

 頭を抱え、いやいやと首を振る。


 そして両手を突き出して、叫ぶ。


「――ああっ! もうやめてぇー!」


 リンが炎を放つ。

 敵が燃える。苦悶(くもん)の声を上げて叫ぶ。


 炎は敵のみならず、店内を丸ごと熱していく。

 過剰な火力がリンの腕を炙り、服が燃え上がる。


 (自律)は叫ぶ。


「リン……! 力を抑えろ! 腕が……!」

「あああっ!」


 ダメだ……声が届いていない!


 さらに炎が荒れ狂う。


 本体はリンの近くに座り込んで動かない。

 だが不思議と本体の周りは炎が少ない。

 リンが制御しているのか……。


 それでも周辺は火の海だ。


 御庭とナギさんも炎に巻かれている。

 しかし、身じろぎひとつしない。


 いや、動きがなさすぎる。

 痛みに体をよじったり、逃げようとする動きがない。

 ぴたりと動きを止めている――


 ――停止している。


 よく見れば、服も燃えていない。

 炎の中に居ながら、火傷一つ負っていないようだ。


 これもナギさんの異能だろう。

 無傷だ。



 (自律)は背後に下がって難を逃れる。

 それでも汗が噴き出るほどの熱。


 それに息苦しくなってきた……。

 地下にある店だ。酸素が減ってきているのかもしれない。


「ああっ……はぁはぁ……!」


 リンの腕がだらりと下がり、炎の噴出が止まる。

 その腕は赤々とした火傷に包まれていてむごたらしい。


 肩で大きく息をしていて苦しそうだ。


 うつろな目で、本体に近づいていく。

 そして本体の頭を抱えるようにして、なにかを耳元に語りかける。


 そのまま本体を抱くように座り込み、動かなくなる。

 極度の疲労か、魔力の枯渇か……。


 なんとかしてやりたいが、どうすることもできない。


 くそ……ポーションがあれば!

 治癒薬(赤色ポーション)でも魔力回復薬(青色ポーション)でもいい……。


 手元に状態異常回復薬(リカバリーポーション)があれば!



 煙の立ち込めるVIPルームから声が聞こえる。

 ぞっとするような声――


「ああ、さいあく! 服が焦げたわ!」


 くそ……やれてない!


 声の様子からして大したダメージはなさそうだ。


 リンの全力の魔法だぞ!?

 まさか、あれだけの火力に耐えるとは……!

自律分身パートが長い! もうちょっとだけ続くんじゃ!

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[一言] ほんとかー?ほんとにもうちょっとかー?
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