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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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撫で斬りはスラスラで!

 転送門から異形の吸血鬼が現れ、女性を襲おうとしている。

 まず動いた一体が小柄な女性に飛びかかる。


「シャァァ!」

「ひぃッ!」


 女性は逃れようとして転倒。

 立ち上がろうとするが、腰が砕けてしまっている。


 よし。そのまま動くなよ――!


 狙いを定めて――


「――入れ替えの術!」


 幻の壁とワイヤーごしに、瞬時に位置が替わる。


 俺は女性のいた場所へ。

 そう、すぐ目の前に醜い吸血鬼が迫っている位置だ!


 だが準備はできている!

 俺は術をかける前に振りかぶっていた刀を横薙ぎに振る!


「うりゃあっ!」

「ウゲァッ!」


 顔面に【フルスイング】をぶち当て、飛びかかってきた吸血鬼を空中で打ち返す!


 ごろごろと転がった吸血鬼が壁にぶち当たる。


 しかし追い打ちをかける余裕はない。


 次の二匹が迫っている!


「血ィィ!」

「アタシのォ!」


 急に現れた俺に対し、警戒する様子はない。

 それどころか顔に浮かべているのは醜い喜び――あるいは食欲だ!



 するどい爪の一撃。

 それをかいくぐり、(わき)下に刀を通す。


 流れるようにすれ違い、背後へ。

 回り込みながらさらに背中へ一撃。


 吸血鬼は悲鳴を上げ、前のめりに倒れる。


「ウゥっ!」



 倒れる吸血鬼が邪魔になってもう一体は向かってこれない。

 もちろん俺は計算して動いている。


 吸血鬼は大きく回り込むように動く。

 その隙に俺はバックステップで距離を取る。



 イラついたように突っ込んでくる吸血鬼。


「ウァァッ!」

「おっと!」


 俺は刀の切っ先を向ける。

 これは牽制。


 相手は足を止め、牙をむいて唸る。


「シャァァ!」


 さすがに刀に突っ込んでくるほど頭は悪くないようだ。

 だが、足を止めた場所が悪かったな!


「いまだ――撃てっ!」


 俺は壁の向こうへ合図する。

 吸血鬼が立っているのは致命的な場所(キリングフロア)だ。


 味方の射線の通る位置へ誘導したのだ。



 間髪入れずに幻の壁の向こうからトウコの声がこたえる。


「ピアスショットっ!」


 銃声。そして閃光。

 光の尾を引いた弾道が吸血鬼の脳天を撃ち抜く。


 声もなく吸血鬼が塵になって消える。

 俺は魔石を空中でキャッチし、次の敵に向き直る。



 最初に壁にぶち当てた吸血鬼が立ち上がった。

 床に転がしたほうもまだ生きている。


「ウゥゥ!」

「アァ……!」



 御庭が叫んでいる。


「クロウ君! 次が来るよ!」


 俺は目の端で転送門を確認する。

 ざわざわと、黒い水面が揺らめいている。


 そこから――さらに三体の吸血鬼が現れる。



「ちぃっ! キリないな!」


 今度は俺の立ち位置が悪い。

 このままでは囲まれてしまう。


 さらに、ここにいては味方の射撃をさえぎってしまう。

 戻らねば!



 俺は幻で隠れたドアへ向けて走る。

 なりふり構わぬ全力疾走!


 そこへ吸血鬼が立ちふさがる。

 掴みかかろうと腕を伸ばしてくる。


「ウアァ!」

「ふっ――!」


 俺は息を吐き、姿勢を低くする。

 だが勢いは緩めない!


 足を先に投げ出すようにして――()()()()


 床に体を(こす)りつけるようにして(すべ)る!

 いわゆるスライディング!


 ただ滑っているだけではない!

 下肢に【反発の術】をかけ、床との抵抗を減らす!


 その状態で刀を相手に向け、刃を立てる。

 すれ違いざまに撫でるように斬り裂く!


 反発スライディング斬り(スラッシュ)だ!



「ギャァアっ!」


 血しぶきを上げる吸血鬼をあとに残し、俺は幻の壁へと滑っていく。



 リンがあっと声を上げる。


「ゼンジさん! 前っ!」

「このまま突っ込む!」


 目の前に壁が迫る――!

 幻だとわかっていても迫力があるな!


 そしてワイヤー!

 足元には張られていないとわかっていても怖い!


 破壊不能、移動不能の停止したワイヤーに接触すればバラバラ死体のできあがりだ。


 俺はさらに姿勢を低く、背中を床に擦り付けるようにして滑っていく。


 ――通過!


 視界が開け、皆のいる部屋に戻る。

 術を解いて減速。


 バリケードにぶつかるギリギリのところでぴたりと止まる。



 トウコが興奮しながらバリケードから顔を出す。


「おおーっ! 店長、かっけーっス!」


 うまくいった!

 だが、戦いはまだ始まったばかりだ!


 後続が来る!

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[一言] ワイヤー地帯に誘い込み!殺し間にようこそ…
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