表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

817/1497

ありあわせの材料で準備しよう!

 トウコがじれたように言う。


「店長、のんびり話してていいんスか?」

「と言ってもな。敵が来るのを待つしかない。今のうちにできる準備をしておけ。弾丸を造るとかさ」


「んー。そうするっス!」

「俺も自律分身用の武器を作っておこう! ――忍具作成!」


 材料はそこら辺のイスと魔石だ。


 作ったのは木の槍である。

 室内で使うので長さは控えめ。

 長さ二メートルの手槍(てやり)である。


「おお、いいじゃないか! 吸血鬼には木の杭だよな!」と自律分身。


「心臓を突き差せば敵は死ぬっス!」

「吸血鬼じゃなくても胸を貫けば死ぬけどな!」と俺。


 リンが自信なさげに言う。


「あの……。十字架(じゅうじか)を作ったら効くんでしょうか?」


 リンはオカルトやゲームには疎い。

 さすがに吸血鬼の弱点は知っていたらしい。


 有名な弱点だ。

 日光、銀、ニンニク……そして十字架。


 試す価値はある。


「どうだろうな? 一応、それっぽくしてみるか!」


 【忍具作成】を再度発動。


 槍の先端に横木を付け足す。

 これで穂先が十文字(クロス)になった。


 木材なので、十文字槍の特徴である突くときに斬る効果は期待できない。

 だが先端をとがらせているので横殴りにしたとき突き刺せる。


「これで十文字(じゅうもんじ)手槍……いや、十字架(じゅうじか)手槍だ!」


「おーっ! 強そうっス!」

「ありがとうございます! 吸血鬼さんに効くといいですねー」


 御庭が目を輝かせる。


「おお! さすがクロウ君! 僕にもなにか――」

「御庭さんは前に出てはダメです」


 ナギさんに叱られて御庭は肩を落とす。


「うん。だよね……」

「ナギさんの言う通りだ。御庭はおとなしくバリケードに隠れて指示してくれ」


 ナギさんが即席のバリケードを作っている。

 テーブルを倒して並べただけだが、異能で停止させれば無敵の盾になる。


 御庭が言う。


「クロウ君の隊は自由に戦ってほしい。僕らはここから銃撃する」


「じゃあリンとトウコも隠れて攻撃してくれ」

「はーい」

「リョーカイっス!」


 こちらの準備は整った!

 いつでも来い!



 ――と身構えてみたが……来ない。


 吸血鬼が出て来ない。

 時折ザコモンスターが湧くだけ。

 あっさりとトウコの弾丸に変わった。


「うーん。遅いな……」


「私たちがいるから、出てきにくいんでしょうかー?」

「ヒマっス! 早くかかってこーい!」


 御庭が言う。


「無策に突っこんでくるほど相手も甘くはない。こちらはこちらで準備しておこう」

「ここにワイヤーを張ります。気を付けてください」


 ナギさんが唯一の出入り口であるVIPルームのドアにワイヤーを仕込む。


 異能で停止させたワイヤーだ。

 触れればすっぱりと切れる凶器である。


 首、胸、腰あたりの高さをカバーしている。

 スキマはあるが充分だろう。


 ナギさんはワイヤーの端を持ってバリケードの陰に戻る。

 異能を発揮するためには触れ続ける必要があるようだ。



 ハルコさんが言う。


「入口に幻をかけますかぁ?」

「いいね。ワイヤーも見えなくなるしな」


 こちらからは見えるが、あちらからは見えない壁。

 マジックミラー壁で入口を覆う。



 できるかぎりの準備はした。

 はやく来い!


 じっと転送門を眺める。

 ――動いた!


 転送門がゆらぐ。

 中から何者かが現れる。


 来た――!



 俺は相手に聞こえないように小声で言う。


「来たぞ。構えろ! ……まだ撃つな!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 昔戦場であった首切りワイヤーを思い出すなぁ… あれはおっかない
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ