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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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VIPルームのクリアリング!

 俺は店に戻る。

 パッと見た限り、出る前と変化はなさそうだ。



 リンが手を振っている。


「おかえりなさーい!」

「戻ったぞー。様子はどうだ?」


 トウコが白い歯を見せて笑う。


「暇なんでVIPルームの中も確認しといたっス!」


 自律分身が補足する。


「ちゃんと慎重に調べた。危険はなかったぞ」と自律分身。


 まあ、問題ないと思っていた。

 さんざん騒いでも出てこなかったのだから敵がいる可能性は低い。


「部屋の中はどうなってたんだ?」と俺。


「誰もいなかったっス!」

「豪華なお部屋で、ダンジョンの入口もありましたー!」


「おっ? それは直接見ておきたいな」

「じゃあご案内しますー」


 俺たちはVIPルームのドアを開け、中をのぞき込む。

 室内には誰もいない。モンスターも湧いていないようだ。


 豪華な内装で飾られているのだが、どこかおどろおどろしい。

 ロウソクの炎で影が踊っている。



 俺とリンはVIPルームに入る。

 リンが部屋の奥を指さす。


「暗くて見えにくいですが、あそこのスーツケースが入り口です!」


 部屋の奥、豪華な内装に似合わないスーツケースがある。

 開いた状態だ。

 その中には黒いもやが渦巻いている。

 ダンジョンの入口、転送門だ。


「安っぽいスーツケースだな。この部屋には似合わない」

「もしかしたら外から持ってきたものかもしれませんねー」


 スーツケースは箱だ。

 ダンジョンの器にできる。


 冷蔵庫ダンジョンのように持ち運べるダンジョンってことか?


「悪性ダンジョンでも移動できるのか……?」

「どうなんでしょう? うーん。でも、悪性ダンジョン領域があるから……」


「だよな? 領域の外にダンジョンの入口を出すなんてムリだろ?」


 このスーツケースを閉めたらどうなるんだ?


 中に吸血鬼や人間がいるはずだ。

 管理者権限でダンジョンの転送門を移動させる場合、中に人がいるとできない。


 同じルールだとしたら、今の状態では移動できないはずだ。


「動かせないんじゃないでしょうか……」

「でも試すわけにはいかないな。転送門に触れてしまいそうだ」


「あぶないですね! やめましょう!」


「試すにしても、中に入るにしても、御庭たちが来てからだな。いったん戻ろう」

「はい」


「一応、転送門は見張っておこう。中から吸血鬼が出てくるかもしれない」


 判断分身を配置して、見張りを命じる。

 敵が現れたら手を叩いて知らせる人力警報器である。



 VIPルームから戻り、俺は疑問を口にする。


「あとはモンスターだが……姿が見えないな?」


 今やこの店は悪性ダンジョン領域内だ。

 当然、モンスターが湧くはず。


 トウコが言う。


「オオカミみたいなモンスターが出るけど、たいしたことないっス!」


 リンが部屋の隅を指さす。


「あ、ちょうど出ましたよ! オオカミさんです!」

「ほう……大型犬みたいだな」


 現れたのは灰色の毛並みの四足獣(しそくじゅう)だ。

 大型犬ほどのサイズ。


 今目の前にいる獣は動物の狼に似ている。

 見たことはないが……実際のオオカミに近いのではなかろうか。

 明らかな違いは目が赤く輝いていることだ。


 大きいとはいえ、草原ダンジョンのツノシカよりは小柄だ。

 ショッピングセンターの黒い獣は大きく裂けた口を持ったバケモノだった。

 それほどの威圧感はない。



「じゃあちょっと様子見で……分身の術!」


 俺はオオカミの前に分身を出す。

 すぐに食いついてきた!


「グルルァッ!」


 オオカミが分身に飛びかかる。

 分身の腕に鋭い牙が食い込んで引き倒される。


 一撃で分身が塵になるほどの攻撃力はない。

 もちろん、生身で食らったら大ケガだけど。


 攻撃についてはだいたい分かった。



「――じゃあ、耐久力はどうかな!」


 オオカミは分身に噛みついている。

 スキだらけだ。


 素早く踏み込み、オオカミに刀を振り下ろす。

 口を離して逃れようとするが、こちらが速い!


 刀がオオカミを深く切り裂く。


「ギャィィ……!」


 あっさりと塵に変わるオオカミ。

 耐久力もそれなりだ。


「ふーん。たしかに、たいしたことないな」

「そーっスよね! おかげで弾丸も増えるっス!」


 トウコが手の上に弾丸を並べている。

 待っている間に狩ったようだな。


「湧く速度はどうなんだ?」

「ゆっくりだな。一匹ずつしか湧かないから対処は簡単だ」と自律分身。


「ほう」と俺。


 そう言いながら魔石を回収する。

 悪性ダンジョン領域では魔石はすぐに消えてしまうからな。



 オカダはまだ気絶したまま転がっている。

 やはり足は生えていない。


 切り離した足首は床に転がったままだ。

 まだ塵になって消えないんだな。


 これはオカダの一部――所有物だからかな?

 持ち主が認識している品物は消えない。体の一部もそうなのだろう。


 これ、くっつけたら繋がるんだろうか……。

 とりあえず、オカダの手の届かない場所によけておこう。

 触りたくないので刀の峰で壁のあたりに寄せておく。



 外へ続くドアが開く。

 入ってきたのはエドガワ君だ。


 後ろにいるのは御庭たちだ!

 今度こそ来たな!

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― 新着の感想 ―
[一言] 足が自動で合体しに飛ばないように消した方がよさそう…
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