パーティーピーポー合流!?
地下への階段を降りていく――
扉の前にごつい男が立っている。
男が制止するように手をあげる。
例の門番風の声だ。
「あー、今日は貸し切りだ。招待客しか入れない」
門番は怪訝そうな顔で俺を見ている。
当たり前だが俺は女装などしていない。
男がいるとマズいかな?
「友達に呼ばれてるんだけど……」
「ここでパーティーしてるんスよね? あたしたちはパーティーピーポーっス!」
なんじゃそりゃ!
リンは困ったような笑みを浮かべている。
門番さんも困ってるよ!
「あー……」
男がなにか言いかけたところで、ドアを開いて愛想のいい男が出てくる。
「おう、来たね! ハルちゃんの友達?」
案内役の声だ。
俺は笑顔を作って短く答える。
どういう話になっているのかわからないからな。
「はい」
案内役が片方の眉をあげる。
「あれ? 男友達もいるんだ?」
俺はとぼけて答える。
「男はダメなんですか?」
「んー。まあいいやオーケーオーケー! 入っちゃってー!」
案内役は迷うそぶりを見せる。
だが問題ないらしい。
男性客がいないわけじゃないしな。
案内役が手招きし、門番に目配せする。
「入って入って。ほら、ぼさっとしてないでお通しして。スマイルだよスマイル!」
「は、はい。いらっしゃっせー」
門番風の男がぎこちない笑顔で俺たちを通してくれる。
店内に入ると、そこは豪華なクラブのような華やかな空間だ。
ハルコさんが立ち上がって手を振っている。
「あっ! ゼンゾウさん、レンちゃん、トウコちゃん。こっちですよー!」
俺はハルコさんに手を振り返す。
ハルコさんの隣には見知らぬ美少女がいる。
あれがエっちゃんか……。
俺たちの偽名はショッピングセンターのときと同じだ。
この呼び名は事前に話し合っておいたものだ。
トウコはどうせボロが出るので偽名を使わない。
ちなみにエドガワ君の偽名はタマガワ君の予定だった。
なぜか女装してエっちゃんになっている。
どうしてこうなった。
二人のアドリブ……というかハルコさんの悪ノリだろうな。
オトリ役が女性のほうが釣れると考えたのかな。
ハルコさんはいつもより化粧が濃い……というより顔が整っている。
かなりの美人だ。これはかなり盛っているな!
その隣でうつむいている美少女はエドガワ君だろう。
俺たちを見てほっとしたような表情を浮かべている。
「お待たせしたっス!」
「ごめんねー。道に迷っちゃって……」
トウコとリンの言葉にハルコさんが答える。
「こっちこそですぅ! 待ち合わせ中に誘ってもらっちゃってぇ……でも、すごくいいお店ですよねぇ?」
俺は言う。
「すごいお店だけど……高そうだな」
俺の言葉に案内役が答える。
「今日は俺のおごりだ。ハルちゃんのお友達なら大歓迎だよ!」
「やたーっ! あざーっス!」
「あ、ありがとうございますー」
俺も含めて追加の三人もタダでいいのか……。
ずいぶん太っ腹だ。
しかしそんなうまい話があるわけない!
ますます怪しい。
ハルコさんが盛り上げるように言う。
「ねっ! すごくいい人でしょぉ? ヤバくないですかぁ!?」
「お店もきれーで激やばっス! エっちゃんも楽しんでるっスか?」
トウコがニヤニヤしながらエドガワ君に振る。
エっちゃんをいじるなって!
「……」
エドガワ君がコクコクと無言でうなずく。
見た目は完全に女の子だ。
エドガワ君らしきテイストはあるが、女子にしか見えない。
もともと線が細いので、デコって美少女にしても違和感はない。
俺たちも席に着く。
案内役がハルコさんに向かって言う。
「じゃ、とりあえず自己紹介してくれるかな? おっと、俺はオカダ。よろしくー!」
「どうもオカダさん。俺はゼンゾウと言います」
案内役がリンを指さす。
「そっちの美人さんはなんて言うのー?」
「ええと……レンです。よろしくお願いしまーす」
ハルコさんが言う。
「レンさんはゼンゾウさんの彼女なんですよぉー! 手を出したらダメですからねぇ!」
「へえ、そうなんだ?」
リンがうれしそうに答える。
「その……はい!」
ハルコさんのフォローは絶妙だな。
リンは演技がうまくない。
関係を説明してくれたおかげでやりやすくなった。
案内役がトウコを見る。
「じゃ、そっちのかわいい子は?」
トウコが笑顔で親指を立てる。
「こっちのカワイイあたしはトウコちゃんっス! いぇーい!」
「トウコちゃんは未成年だからお酒はダメですよぉ」
トウコが口をとがらせる。
「ちぇー! パーティーなんだからオーケーオーケーっス!」
「ダメダメだろ! ジュースにしとけ!」
案内役が俺に言う。
「お兄さんはトウコちゃんの兄妹かなにか?」
「言わば穴兄妹っス!」
「そんな関係じゃねーわ!」
案内役が笑う。
「君たち、いいノリしてるねー! はははー!」
ノリで未成年に酒を提供するな!
そんな店があってたまるか!
「ともかく、トウコは酒を飲むなよ!」
「もちろん冗談っス! ジュースでおねっス!」
案内役が手を叩いてスタッフを呼ぶ。
「オーケー。ノンアルもあるからさ。この子たちにもドリンク持ってきてー!」
俺たちの前にグラスが置かれる。
小さなグラスに入った赤い液体――例のハイブラッドだ。
「じゃ、とりあえず乾杯しよっか!」
「……ああ」
俺は戸惑いながらもグラスに手を伸ばす。
さて、どうしたものか――
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