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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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いくべきか、いかざるべきか……?

 店内の音声が届く。

 案内役の声だ。


「待たせたね! ハルちゃん、エっちゃん!」


 ハルコさんはハル、と名乗っているようだ。


「どうでしたかぁ?」

「オッケーオッケー! 特別にVIP(ブイアイピー)の枠をあけさせたよー」


 ハルコさんが明るい声を出す。


「すごーい! さすがオカダさんですぅ!」


 オカダというのが案内役の名前か。

 オカダが言う。


「ははは。ハルちゃんみたいなかわいい子のためならノープロブレムだよ!」



 リンが言う。


「ゼンジさん。ハルコさんはどうして危ないとわかっているのにVIPルームに行こうとするんでしょうか?」

「調査のためだけど……ちょっと急ぎすぎているよな」


 トウコが言う。


「うまくダマせているから調子(ちょーし)に乗ってるんスよ!」

「トウコちゃん……言い方」


「だって、ハルコさんは目立ちたがり屋っス!」

「うーん。確かにそういうところあるよな。最近の仕事は地味だって言ってたし……」


 ハルコさんはもともとツイスタ(SNS)のヘビーユーザーだ。

 ブランド物に身を包んだ写真をアップしたりして、それなりの人を集めている。


 ちょっとしたインフルエンサーのような人である。


 出会ったときは命の危険がある状況だったから、そう見えなかっただけだ。


 異能を活かして活躍できる状況になれば、調子に乗っても不思議はない。

 実際ここまでうまくやれている。


 しかし、ハルコさんはVIPルームが悪性ダンジョンになっていることを知らない。



 イヤホンの向こうで、ごそごそと動く音。

 俺の端末にメッセージが届く。


「おっ! エドガワ君からだ」

「エっちゃんはなんて言ってるんスか?」


 俺は文面を読み上げる。


「どうしますか? このままでいいでしょうか――だってさ」


 エドガワ君は不安に思っているようだ。



 リンが心配した顔で言う。


「このままじゃ危ないですよね?」

「そうだな……」



 俺は考える。

 このまま調査を続けるのは危険だ。


 悪性ダンジョン領域があることがわかっている。

 吸血鬼かもしれない店員が約十人。


 吸血鬼は簡単に倒せる相手ではない。

 だから強行突破する策は取れない。



 なら、二人を店から出す?


 待ち合わせていた友人が到着したことにして……。

 ハルコさんたちに出てきてもらう?


 二人一緒に店を出れるか?

 案内役は二人を逃すまいとするだろう。

 どちらかが残されるか、案内役もついてきてしまうかもしれないな。


 ならどうする……。

 やはり俺たちが行くしかない。



 俺は言う。


「ハルコさんに合流しよう。リン、メッセージを送ってくれ」

「はいっ!」


 リンが携帯電話を操作する。

 俺もエドガワ君に返事を送る。



 イヤホンからハルコさんの端末の通知音。

 エドガワ君の端末らしきバイブ音も聞こえる。


「あっ! 友達ですぅ! 楽しくてお返事忘れちゃってましたぁ!」

「オッケー! すぐ来れるんなら友達も呼んじゃっていいよ」


 トウコが言う。


「あれっ? 簡単にオーケー出たっスね!」

「たしかにVIP(ブイアイピー)の枠、ゆるゆるだな! 飛び込みでも入れるじゃねーか!」


「でも、よかったですねー。断られちゃったら大変でしたー」



 ハルコさんからリンに電話がかかってくる。


「あ、レン(偽名)ちゃん? もう近くまで来てますよねぇ? 場所は――」

「はい! わかりましたー」



 俺は御庭にメッセージを送って状況を簡単に説明する。

 返事はすぐには来なかった。

 ふむ。取り込み中か。


「あ、イヤホンは取ったほうがいいよな?」

「ゼンジさんもトウコちゃんも見えちゃってますねー」


「リン姉は大丈夫っスね。髪で隠れて見えないっス!」

「じゃあリンはイヤホンを残して、俺たちは取ろう」


「リョーカイっス!」

「はーい」



 店の前へ移動しながらハカセに通信する。


「ハカセ。これから店に入る。なにかあれば連絡くれ」

「あいよー」


 俺たちは店へ続く階段を降りていく。

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― 新着の感想 ―
[一言] ガサ入れ開始! K察と違って公儀隠密は派手に名乗って動くな!とか言えないのが残念
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