表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

797/1494

ダンジョンの移動! その条件とは?

「リン、転送門を移動するための条件をおぼえてるか?」

「はい! 人間が入れそうな大きさで、自分だけの箱ですねー!」


「そうだ。だから管理者権限を持ってるヤツがいれば、ダンジョンを動かせる」

「好きな場所に出せたら便利なんスけどねー」


「まあな。どこにでも出せるわけじゃないし、今ここでできるわけじゃない」

「そうですねー」



 自分だけの箱――自分だけが開け閉めする密閉空間のことだ。


 この制限が少し難しい。

 いろんな制約がある。


 まず、サイズ。

 マッチ箱のように小さいものではダメ。


 人間が(はい)れそうなサイズ感が必要だ。

 実際に入れる必要はない。


 タンスや机の引き出しのように、平べったいものでもいい。

 通り抜けられる幅があればいいとでもいうか……。



 自分のアパートでいろいろと試してみた。

 扉がついて開け閉めする閉じた空間であれば、だいたいうまくいった。

 冷蔵庫だろうがタンスだろうが問題ない。


 ここまでは普通の条件だ。

 俺の部屋、俺の持ち物に対しては成功する。


 だけど人の部屋となると話が変わってくる。

 リンの部屋で試したところダンジョンは移動できなかった。


 リンの許可があってもダメ。

 そこでタンスの一部を借りてみた。


 いわば間借りした状態だ。

 その引き出しはリンも開けないようにする。


 そうして数日。

 何度か試したところ転送門の移動に成功した。


 部屋の所有権だとか、実際に住んでいるかは関係ない。

 自分以外が開け閉めしない箱であればいいのだ。


 他人の目に()れない密閉空間。

 これが転送門を移動させるための条件だ。



「――というわけで、俺のダンジョンを街中や店内に出すことはできない」

「不便っスね!」


「だけど店の関係者が、店内に設置することは可能だろう」

「個人用のロッカーとかでしょうか?」


「鍵付きのロッカーとか、消火器ボックスならダンジョンの器として使えるな」



 トウコがひらめいた顔で言う。


「あっ! わかったっス! あの店クラブダンジョンなんスよ!」

「クラブダンジョン……? なんだそりゃ?」


 ぜんぜんわからんが。


「つまり! 店のドアがダンジョンの入口なんスよ!」

「で、ダンジョンがクラブ風になってるって? んなアホな!」


 豪華な内装があって、食べ物や飲み物が出てくるのか?

 都合いいダンジョンだ。モンスターもいないのかよ!?

 んなわけない!


「ええと……ダンジョンに普通の人は入れませんよねー?」

「そうだな。まあ、発想は面白かったけどな。店がダンジョンなら客を連れ込めないぞ」


「それに……音声が届いているから、やっぱりお店はダンジョンじゃありませんねー」

「これまでの失踪事件では通信がとぎれていたからな」


 被害者は悪性ダンジョンか、ダンジョン領域に入ったと考えられる。

 ダンジョンに機械を持ち込んでも使えない。当然、電波も途絶える。



 トウコが残念そうに言う。


「いいセンいってると思ったんスけどねー」

「いや、ぜんぜん」


 俺はやれやれと首を振る。


 トウコが手をあげる。

 まだなんかあるのか……。


「じゃあじゃあ! ダンジョンに客を連れ込む方法を思いついたっス!」

「ふむ。一応言ってみろ」


 どうせ微妙な答えだろ?


「殺してからダンジョンに入れちゃえばいいっス!」

「うわぁ……。トウコ、発想が怖いぞ!?」


 言い方どころじゃないよ!?


「生きている人はダンジョンに入れないから……ええと、生きていない状態にしてから……」


 リンが言い淀む。


「つまりダンジョンの中で事件が起きてるわけじゃなく、証拠隠滅に使ったパターンか」

「そうそう! これぞ完全犯罪っス!」


 俺はうなずく。


「ううむ……これはいいセンいってるかもしれん! この方法なら死体も凶器も出ない」

「アリっスよね! これが事件の全貌っス!」


 リンが驚く。


「えっ!? ということはハルコさんたち殺されちゃうんですかー!?」

「いや、そうはならないだろ。前の失踪事件では店ごと通信が途絶(とだ)えている。悪性ダンジョンが関係するはずだ」


「んー! ややこしーっス!」

「まあ、ともかく普通のダンジョンに人を連れ込むのは現実的じゃない」


 実際にやろうとした奴もいる。

 リンのストーカーだ。


 リンを連れ去ってダンジョンで暮らす……と言っていた。

 リンがダンジョン保持者だったから可能だが、ストーカーはそれを知らなかったからな。


 普通なら計画は破綻している。

 誘拐までしてダンジョンに連れていけないと知ったら、どんな行動に出るか。

 考えたくもない。



 リンが言う。


「やっぱり管理者権限ってすごいですねー」

「チートっス!」

「使い方次第ではとんでもないよな……」


 ダンジョンを移動させる権限。

 ちょっと強力すぎる。


 そもそもダンジョンという存在が規格外なのだ。

 悪用しようと思えばいくらでも考えられる。


 大容量の収納のような使い方もできるから、密輸も大量輸送も思いのままである。

 地味になるが倉庫業や廃棄物処理に使ってもいい。


 ま、そんなことで小銭を稼ぐつもりはないけどな。



 さて、脱線してしまった。

 さほど長い時間が経ったわけじゃない。


 ハルコさんたちの音声もずっと聞いていたが、大きな変化はなかった――

 ――そこへ、ガラスの割れる音が飛び込んでくる。


「あれっ!? なにかあったみたいっス!」


 どうやら、あちらで動きがあったようだ!

祝! 二周年!

せっかくだから年末年始に向けて、なにか企画を考えよう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] え、もう2年?早いもんだなぁ…(年寄り感覚
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ