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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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シンプルに強い一撃……!?

 吸血鬼が体をばねのようにしならせて立ち上がる。

 軽やかな身のこなしだ。


「いてェじゃねえか! もう許さねぇからなオイ!」

「最初からそのつもりだろ?」


 吸血鬼の爪がぎちぎちと音を立て、さらに伸びていく。


「半殺しじゃなく、全殺しにしてやるよ! おらっ!」


 最初の攻撃から殺す気だったと思うが……。

 振り下ろされる手刀。

 言葉通りの俺を真っ二つに切り裂くコース。


 だが怒りに任せた攻撃は読みやすい。

 半身をずらして攻撃をかわす。


 そして逆手に握っていた刀を振り上げる。

 吸血鬼が寝ている間に収納から取り出しておいたのだ。


「うぎゃああっ!」


 吸血鬼の手首を切り裂き、激しく血しぶきが噴き出す。

 手首を押さえてうずくまる吸血鬼。


 俺はさらに追撃。相手のスキを見逃すほどやさしくはない。

 刀を両手に持ち替えて、上から斬りつける。


 肩口から胸にざっくりと刀傷が刻まれ、血が噴き出す。

 浅い。

 思いのほか体が硬いのだ。


 しかし傷口がもりあがり、ふさがっていく。

 男が胸を押さえる。

 手の傷はもうふさがっている。


 突然現れた刀を目にして男が言う。


「ぐ……お前……異能者か!?」

「お前は異常者だけどな!」


 胸の傷もふさがったらしく、もう血は流れていない。

 やはりタフだ。


 吸血鬼が地を蹴る。

 両手を広げて突っ込んでくる。


 俺は大きく横に跳んでかわす。

 それだけじゃ足りない。かわしきれない。


 床に手をついて側転。

 突進をかわす。


 バネを利かせて跳びあがり、そのまま壁に着地。

 間髪いれずに壁を蹴って跳ぶ。


 大きく刀を振りかぶる――


「うりゃあっ!」

「ちっ!」


 吸血鬼が腕を上げて防御体勢を取る。

 鋭い爪が刀の峰を受け止める。


 吸血鬼が力を込め、俺を押し返そうとする。


 だが、渾身の一撃に乗せた【フルスイング】のノックバック効果は、ガードした腕を押し返す。

 吸血鬼は後ろに吹き飛びながらも、踏ん張って後退を止める。


 む、持ちこたえられたか!



「こんなもんかぁ! くだらねー能力だな! 結局頼れるのは単純な力! パワーなんだよ!」


 男が笑う。

 さっき斬りつけたダメージはもうないようだ。


 たしかに、シンプルなパワーとタフネスは厄介だ。

 だが、再生しようが限界はあるはず。

 無限の耐久力などありえない。


 男が再び突進の態勢を取る。


 このまま斬り合っていても長引きそうだ。

 人がやってくるかもしれない。

 自制心を失った吸血鬼が、おとなしく引き下がるとは思えない。


 どうする?

 人に見られるリスクがある街中ではあまり使いたくないが、【分身の術】を使うか?


 それともリンの魔法攻撃に賭けるか?



 車のエンジン音が聞こえる。

 タイヤを滑らせながら、こちらへ突っ込んでくる。


 公儀隠密の車だ!

 さらに加速して吸血鬼へと突っ込んでいく!



「なっ――!?」


 ヘッドライトに照らされた吸血鬼がとっさに振り返る。

 だが反応する余裕はない。


 どん――!


 鈍い音を立てて車が吸血鬼をはね飛ばす。

 勢いよく吹き飛ばされ、吸血鬼はアスファルトの上をごろごろと転がる。


 うわぁ……もろにはね飛ばしたな!



 ドヤ顔のトウコが車から降り立つ。

 サタケさんもいる。


「店長、お待たせっ! ヒーロー登場っス!」


 ヒーローは車ではねたりしないと思うよ!?

 えげつない攻撃……!


 しかし効果は抜群だ!

 倒れた吸血鬼は路上でびくびくと痙攣している。



 俺はやや驚きながらトウコとサタケさんに言う。


「お、おう。いいところに来てくれたな!」

「クロウさん! 奴を確保して移動するぞ!」


 サタケさんが吸血鬼へと走っていく。



 吸血鬼が起き上がろうと手をついている。

 だが立てない。口から血を吐いている。


「う……がはっ……!?」

「動くな! おとなしくしろ!」


 サタケさんが体重をかけて吸血鬼の動きを止める。


 あっというまに手錠で手を拘束。

 さらに足に紐をかけて手際よく縛り上げてしまう。


 男はもがいているが、拘束を外せない。


「確保! 車に乗せるぞ! 手伝ってくれ!」

「ああ!」


 俺とサタケさんは動けない吸血鬼を車に乗せる。

 リンはあっけにとられている。


 トウコが手招きする。


「リン姉! はやくー!」

「え? は、はい!」


 俺たちを乗せ、車はすぐに発車する。

 車はすぐに人気のない路上から走り去った。



 車中で暴れる吸血鬼をサタケさんが紐でさらに締め上げる。

 口に布を詰め、声も出せない状態だ。


 サタケさんが言う。


「お前に黙秘権(もくひけん)はない! 洗いざらい吐いてもらうぞ! げほっ!」


 あれ……?

 思ってた決着とは違うけど、吸血鬼を確保したぞ!

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― 新着の感想 ―
[一言] 仮面ライダーもバイクでよく使うひき逃げアタックだ!
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