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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
一章 ステイホームはダンジョンで!

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VSボス戦! ダンジョンボスはコウモリで! その3

 突進の勢いを助走として、コウモリが飛び立とうとしている。


「まずい! そうはさせるか!」


 俺は手裏剣を抜き打ちで投擲する。

 助走するコウモリの背に、何本かの手裏剣が命中する。


 そのうち一本の手裏剣がコウモリの皮膜を貫通する。


「よし! 通る!」


 やはり、角度によって攻撃は通る。

 皮膜が弱点だ。普通の大コウモリと同じだ。


 まずは、翼を破壊する。飛ばせない。

 これが俺の勝ち筋だ。


 コイツには普通のコウモリと違い、歩行能力があるが――

 それでも、空を飛ばれるよりはましだ。


 地上での突進なら、俺は回避できる。

 コウモリがアクロバット飛行で回避するなら、俺は【軽業】(アクロバット)で回避する。


 地上のコウモリは攻撃能力も回避能力も大きく鈍る。

 そこに勝機がある。


 厄介なのは防御性能だ。

 その皮は厚く、浅い角度では手裏剣は刺さらない。

 分銅による打撃はある程度の効果がありそうだが、致命的ではない。


 おそらく、ファンタジー的な耐久力があるんだろう。

 ヒットポイントとか、防御力のような概念だ。


 俺にはそういう守りはない。

 くそ……ズル(チート)しやがって!



「ちっ! 飛ばれたか!」


 皮膜に命中した手裏剣は小さな穴をあけた。

 だが足りない。

 もっと大きな穴をあけなければ!


 飛び立ったコウモリは旋回を始める。

 加速をつけて戻ってくる前に、俺も動く。


 俺は一気に、巨石へと走る。


「分身の術! 行け、荷物を回収しろ!」


 走りながら、二体の分身を飛ばす。

 戦闘の邪魔になるから置いたリュックの回収に向かわせる。


 二体の分身はマフラーをたなびかせながらジグザグに走っていく。


 荷物を回収するために動きを緩めた分身へ向けて、コウモリが襲いかかる。


「キイイイッ!」


 狙いは先を行く分身だ。

 荷物をひっつかんで、こちらへと戻ろうとしている。


 分身へランダム回避を命じる。

 だが、コウモリは翼を広げて広範囲を薙ぎ払う。


 荷物をつかんだ分身は避けられない。


 ――倒される寸前、分身に荷物を投げさせる。

 荷物を投げ飛ばすと同時に、分身は塵と化す。


 残った分身が荷物をキャッチする。


「よし、戻れ!」


 戻る分身を追おうとするコウモリへ向け、俺は棒手裏剣を投擲。

 コウモリは飛行コースを変え、これを回避した。


 コウモリはそのまま、分身とは別の方向へ飛んでいく。

 これでひとまず、分身と荷物は危機を逃れた。


 ふたたびコウモリは上昇して、旋回を始める。


 俺は分銅を頭上で振り回しながら、コウモリの接近を待つ。

 飛び込んできたときが、攻撃のチャンスだ。


 狙うのは打撃でない。

 ワイヤーを絡めて動きを封じる。

 そうして地上に引きずりおろすのだ。


 コウモリは何度も旋回しながらスキをうかがっている。

 こちらへ近づくこともあるが、鎖分銅の射程距離には入らない。


「来ない……くそ、警戒されたか!」


 俺が攻撃しようと動くと、コースを変えてしまう。


 膠着状態だ。

 どちらも攻撃できない。



 分銅の距離には入ってこない。

 ならば武器を変える!


「ついに、使う時が来たな。こいつはお高いが……」


 腰袋から取り出したのは丸ノコギリの替え刃(ディスクブレード)だ。


 その前に、まずは棒裏剣を数本投擲する。

 コウモリはこれをやすやすと回避。


 だが、飛行コースを変えるときは減速せざるを得ない。

 そこがねらい目だ!


「いけっ!」


 俺が投擲したディスクブレードが空を裂いて飛ぶ。


 コウモリはこれを回避しようと身をよじる。

 だが、遅い。


 ディスクは手裏剣と違って直線的に飛ばない。

 飛行コースを読んで投げているのだ。


 ディスクはカーブして軌道を変え、コウモリの進行方向をふさぐ。

 命中し、ギザギザの刃が皮膜を大きく切り裂く。


「ギギィ!」


 コウモリが空中でバランスを崩す。

 だが、微妙に翼を動かし、持ち直した。


 完全破壊には至らなかった。それでもダメージは大きい。

 コウモリの動きはあきらかに鈍っている。


「もう一発ッ!」


 そこへ、さらに二投目。

 カーブを描いて飛んだディスクがコウモリへ向かう。


 コウモリは大きく回避する。

 これまでのような紙一重の回避ではなく、大きな旋回。


 ディスクは後方へ飛び去る。当たらない!

 これでディスクは弾切れだ。


「くそ、対応が早いな!」


 コウモリはエコーロケーションで飛来物すら探知する。

 障害物の多い洞窟や森林でもぶつかることはない。


 やはり、厄介な能力だ!



 コウモリが俺をめがけて突っ込んでくる――

 いや違う! 止まっている!


 羽ばたいて空中で止まったコウモリが大きく息を吸う。


 ……なんだ?


 分銅の射程距離よりぎりぎり外だ。


 俺は手裏剣を抜こうとする。

 コウモリが叫ぶ――


「――キイイイイイイィィィィィ…………」

「うっ! これは、咆哮(ほうこう)か!?」


 耳障りな叫び声が大気を震わせる。

 確かにうるさいが……耳をふさぐほどの迫力はない。


 はじめはうるさかったが、後半はほとんど聞こえない。

 口を開いて叫んでいるようには見えるが……。


 ……意味のない威嚇(いかく)なのか?


「なんだ? たいしたことないじゃ――」


 コウモリは叫ぶのをやめ、俺に肉薄する。

 その動きはこれまでのような滑空攻撃ではない。

 羽ばたきながら、足の爪で俺を狙っているようだ。


 避けられない速度じゃない。


 だが……。何かヤバい!


 俺は攻撃を中断して、大きく後ろへ飛ぼうとして――体勢を崩した。


「なっ!?」


 足に力が入らない。視界がまわる。吐き気もする。

 な、なんだ? どうしたんだ?


 ぐらぐらと揺れる視界のなか、なんとか地を蹴って跳ぶ。

 ほとんど後ろ向きに倒れるのが精いっぱいだ。


 俺の視界いっぱいに、掴みかからんとするコウモリの後ろ足が迫る。


 だめだ! 避けられない!?

 術を使う時間もない!


 精一杯の抵抗として、頭部をのけぞらせる。


「ぐっ! うああ!」


 ばっと、血の花が咲く。


 コウモリは俺をつかみ、さらにその一部を引きちぎる。


 コウモリの爪先にぶらりと垂れ下がったそれは――

 無残に引きちぎられたマフラーだ。


「キイッ!」


 コウモリは俺をしとめそこなったことにいら立ったように、マフラーを振り捨てる。



 マフラーがなければ、今の攻撃でやられていた!

 たなびくマフラーが攻撃を引き付けてくれたおかげで、直撃を免れたんだ。


 だが、かすっただけでも俺の体を傷つけるには充分だった。


「くうぅ!」


 俺は喉の傷を手で押さえる。


 鋭い爪は喉を切り裂き、出血させている。

 致命傷ではないが、治療しなければマズい!


 戦闘前に飲んだ薬草丸が、負傷をわずかに癒してくれる。

 だが、完治には時間がかかる。これだけでは足りない。


 鋭い痛みに、思考が乱れる。


 足に力が入らない。めまいが止まらない!


 これは……喉への攻撃のせいじゃあない。


 なんてことだ……咆哮だ。あのとき既に攻撃を受けていたんだ!


 コウモリが追撃しようと、こちらへ迫っている!


「……これはヤバいな」

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― 新着の感想 ―
[一言] いや、あれは低周波……………ww
[一言] 超音波で全身刺激?
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