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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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連続噛みつき事件発生!? 犯人はまさか!?

「クロウ君たちは()みつき魔の事件を知ってるかい?」

「いや、知らないな」


 最近はダンジョンに潜ってばかりでニュースを追えていないんだよな。


 リンも首を振っている。


「私も聞いたことありません」


 トウコがどや顔で言い放つ。


「ズバリ犯人は吸血鬼っス! 知らんけどー!」


 この流れだと犯人の目星はついてしまうな。

 吸血鬼は実在するし、実際に戦いもした。

 なら、犯人はどう考えても吸血鬼だろ!



 御庭が言う。


「関係している可能性は高い。まずは事件について説明させてもらえるかな?」

「ああ、頼む」


 聞こうじゃないか。

 話を聞く前に決めつけてもしょうがないからな。



 ナギさんがリモコンを操作して、プロジェクターを起動する。


 御庭が言う。


「これはテレビでも報道されているんだけどね。ごく普通の生活をしていた会社員が、突然暴れ出して同僚に噛みつく。そういう事件が起きている。一件じゃなくて複数。ごく短い期間にこれだけ集中することは不自然だ」


 スクリーンに様々な事件が映し出される。


 ――学生がクラスメイトに噛みつき、全治二週間のケガを負わせる。

 ――会社員が同僚の耳を噛みちぎる。


 そうした情報がずらずらと表示されていく。


「ずいぶん多いな……」

「これでも、テレビで流れているのはごく一部なんだよ。ただの暴力事件として扱われたものは表に出ていないからね」


 ちょっとした暴力事件はいちいちニュースにならない。


「事件を大きく取り上げてはいないんだな?」

「そうだね。ただ、一部のメディアでは連続噛みつき事件として注目し始めている」


「連続? 別の人物が起こした事件だろ?」

「うん。ただ、事件が立て続けに起こっているからね。話題性はある」


「全く関係のない人たちが、別々の場所で同じ様な事件を起こしているってことだな」

「そうなんだよ、クロウ君。しかも彼らは暴力的な人物ではないし、犯罪歴もないんだ」


 リンが眉をひそめる。


「こわいですね……」

「大人しいあの人が……ってやつっスね!」



 人が人に噛みつくなんてニュースはめったに見ない。

 めずらしい話だし、ニュースになるのはわかる。


 まてよ? テレビで放送された?


「なあ御庭。例の薬……吸血鬼の血液が関係しているんだろ? だとしたら認識阻害で事件にならないんじゃないか?」

「うん。ところがそうはならない。事件を起こしているのは人間だからだ。異能やダンジョンは関係ない」



「うぇ!? どういうことっスか!?」

「あれ? 吸血鬼さんが起こした事件ですよね?」


 異能やダンジョンの存在がバレると認識阻害が起きる。

 見間違いと思ったり、記憶が消えたりして事件は発覚しないはずだ。


 吸血鬼が事件を起こしたなら、そうなるはずだが……。


 ん……。

 そういうことか!


「つまり、事件を起こしているのは()()()()()なのか?」


 御庭が大きくうなずく。


「そうなんだよ、クロウ君! あくまでも普通の人間が起こした事件なんだ。異能や吸血鬼は表に出ていない。だから認識阻害は働かないんだ!」



 リンとトウコもうなずく。


「そうなんですねー!」

「へー!」


 例えば魔法で火事を起こしたとする。


 魔法を放つ姿を見られたら認識阻害の対象になる。

 しかし家が燃えるところを見られても、これはただの火事だ。


 赤いカプセルが原因だったとしても、起きた出来事は暴力事件にすぎない。

 キバオのようにムキムキに変身したのなら話は違ってくるが……。



 御庭が言う。


「これから事件の映像を流すよ。通行人が撮影した映像だ。刺激が強いから気を付けてほしい」

「ああ。わかった」


 まずは、スクリーンに生々しいケガの写真が映し出された。


 リンが小さく叫び声をあげる。


「きゃっ……!」


 ギュッと目をつぶってしまった。

 無理もない。


 こういうのは普通のニュースではボカされて見れないな……。

 お茶の間に流れたら大問題になる。


 ネット上の情報を集めたのか、個人の端末から手に入れたものか……。



 続いて動画が映し出される。


 暴れる会社員を周囲の人が止めようとしている。

 だが暴れて手が付けられない様子だ。


 襲われた人は耳を手で押さえてうずくまっている。

 流れた血が服を赤く染めていて、なかなか凄惨な映像だ。



 トウコが言う。


「うぇー! 痛そうっ! ちぎれてるっス!」


 俺は映像をじっくりと観察する。


 犯人はひどく興奮した状態だが見た目は普通だ。

 ショッピングセンター事件のキバオのように体が変化したわけじゃない。


 ふむ。

 たしかにこれなら、ただの暴力事件だな。



 リンはまだ目をぎゅっと閉じている。


「うう……。ま、まだ映ってますか!? 終わったら教えてください……!」



「御庭、生々しい映像は飛ばしてもらえるか?」

「そうしよう! すまないね、リン君!」


 リンは青ざめた顔で首を振っている。


「い、いえ……大丈夫です」



 スクリーンの映像を消し、御庭が続ける。


「さて、これらの事件は都市部に集中している。全国どこでも起きているわけじゃない」

「ふむ……」


「加害者の行動履歴を洗ってみた。その結果、何人かは同じ場所にいたことがわかっている」

「ハカセが調べたのか?」


「うん、そうだよ。彼らは何度か繁華街に出入りしていた。そこで調査チームに現地を調査してもらったんだ」


「お、サタケさんたちか?」

「うん。そこでサタケ君たちが見つけたのが、例の薬だったってわけさ!」


 なるほど。

 赤いカプセルが事件に関係しているってことだな!?

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― 新着の感想 ―
[一言] ふむふむ 吸血鬼の関わりが怪しい狂化の薬も普通の人が摂取しておかしくなるだけでは異能認定されない…? 微妙なボーダーというかグレーなラインを狙った手口という所だろうか、ふむむ
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