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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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ダンジョン攻略はやめられない!

 リヒトさんはもうすぐ大規模な攻略に出るらしい。


 その前に一つくらいは質問できる。

 なにを聞こうか。


 リンやトウコのことか?

 公儀隠密のことを聞いてみるか?


 まてよ……?

 みんなの名前を出して大丈夫なのか?


 いや、リヒトさんなら問題ないだろう。

 いまさら疑う気はない。



 すぐ出かけそうな文面だったので、あまり待たせられない。

 二人と相談する時間はなさそうだ。


「ゼンジさん、書いちゃってください!」

「店長! 早く早くっ!」


「急かすな! ええと……」


 あまり考えずに書いてしまおう!



 --------------------

 現在の名称:ブラッククロウ@オトナシリン、アソトウコ、シモダ、御庭、大河、犬塚。知っている名前ありますか?

 --------------------



 もう確定した。

 あとは返事を待つのみだ。


 トウコが俺が入力した内容をのぞき込む。


「シモダさんて! そんなん知るわけないっス!」

「まあ、とりあえず名前を挙げてみただけだからな」


「ゼンジさんは、リヒトさんがこのアパートを知っているか確かめたいんですね?」

「ああ。俺のアパートへ来たことがあれば、名前くらいは知っているかもしれない」


 もちろん、あちらの俺がブログ上で伝えた可能性は少ないだろう。

 普通に考えたらご近所さんの名前なんて出さないし。


 リヒトさんは俺を探せなかったと言っていた。

 おそらくアパートにも来てもいない。


 でも、もし俺を探しにアパートに来たことがあったとしたら?

 会えなかっただけかもしれない。


 それならシモダさんを知っている可能性はゼロじゃあないよな?


「そうですね。リヒトさんがゼンジさんを探しに来ていたら、シモダさんとお話したかもしれません」

「表札を見たかもな」


「うぇ? そんなんで名前覚えてるってことっスか?」

「本命はリンとトウコの名前を知っているかだ。他は反応があればラッキーって感じだな」


 他はオマケである。

 時間がなかったので思いついた名前を挙げてみた。

 苗字だけじゃ伝わらないかもしれないが……。



「お、返事が来たぞ!」



 --------------------

 差出人:リヒト

 件名:ご質問の答え

 本文:


 どのお名前も存じ上げません。

 ブラッククロウさんの友人でしょうか。


 少なくともクロウさんのお話に出たことはありません。


 あとで仲間にも確認してみます。

 では出発します。


 お互い攻略がんばりましょう!

 --------------------



 短い文面だ。


 どの名前にも反応なしか……。

 御庭のような珍しい苗字でも思い当たらなかったようだ。



「うーむ。誰も知らないのか……」

「トウコちゃんと私のこともご存じないんですねー?」


 さすがに二人のことは知っているんじゃないかと思っていた。


「向こうの俺は二人のことを話していないのかな?」


 リンがうなずく。


「そうかもしれませんね。ゼンジさんは慎重だから、名前を出さないんじゃないですか?」


「店長は、あたし達の話をしたんスか?」


 向こうの俺じゃなくて、俺自身が話したかどうか?


 話していない。

 なんなら自分の話すらあまりしていないくらいだ。


 鉄壁の情報リテラシー!

 忍んでいるぜ!


「自分のことしか話していない」

「じゃあ、あっちのあたし達のことはわかんないっスね!」


「残念だが、そうなるな」

「あちらのゼンジさんがどんな人かも、新しいことはわかりませんでしたね」


 俺と同じ印象ってことなら、そう違いはないんだろう。



「おっと、あとでもう一度名前を変えなきゃな! 個人情報の露出は短くしないと!」


「細かーっ! 誰も見てないっスよ!」

「さすがゼンジさん。マジメですね!」


 ちゃんとしておかないとね!



遠征(えんせー)って、ガッツリ攻略するんスかねー」


「俺たちは日帰りで攻略しているけど、いずれはダンジョンで寝泊まりする必要があるかもな」

「そうですねー。広いダンジョンだと途中で帰れないですよね」


 トウコがぐっと親指を立てる。


「いいっスね! ダンジョンお泊り会っ!」

「そんな軽いノリじゃねーだろ!」

「でも、きっと楽しいですよー」


 まあそうだ。楽しいだろうな!


「草原ならキャンプ感覚でいけそうだけど、洞窟だとガチの探検家みたいになってくるよな……」

「あたしのダンジョンで寝るのはおススメしないっス!」


 ゾンビダンジョンで寝るだなんて、とんでもない!


「お部屋は豪華ですが、ちょっとイヤですねー」

「すごくイヤだぞ! 目を閉じたら二度と起きられる気がしない!」


 部屋が豪華って……。

 まあ、貴族の館みたいだけど、それはプラス要素じゃないし!



 リンが小さなガッツポーズを作る。


「リヒトさんも攻略を頑張っているみたいです。私たちもがんばりましょう!」

「そうだな! 俺たちもこの調子で二十階層をクリアするぞ!」

「管理者権限ゲットっスね!」



 ダンジョン攻略に近道はない。

 コツコツと力をつけ、問題を乗り越えていくしかない。


 リヒトさんも今頃は遠征に出発しただろう。

 遠く離れていても、どこか心強い気持ちになれる。



 ――いつかお会いできる日を願っています!


 リヒトさんはそう言っていた。

 いずれは会えるということだ。



 その日に向けて、俺たちは力を蓄える。


 まずは管理者権限だ。


 リヒトさんはなにかを頼みたいと言っていた。

 メッセージ機能が正式に解禁されれば、詳しい話が聞けるだろう。


 危険を伴う依頼になりそうだ。

 だが頼まれなくてもダンジョン攻略は続けていく。


 損得や義務でやってるわけじゃあない。

 これは俺の趣味だからな!


 ダンジョン攻略は単純に楽しい。

 リンとトウコと一緒なら楽しさは三倍だ!


「なにニヤニヤしてんスか、店長ーっ!」

「いや、毎日が楽しいと思ってさ」

「私もゼンジさんとトウコちゃんと一緒に居るだけでしあわせです!」


 俺たちはわけもなく笑いあう。



 戦いはときに厳しいこともある。

 だけど嫌だとは思わない。


 ダンジョン攻略はやめられないね!

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― 新着の感想 ―
780話まで楽しく読ませて頂きました。 25階層クリア後の行動で、リヒトへのやり取りが複数回行われた後 やり取りの件名を変更している描写がありましたが 1日1度までしか件名を変更できない設定は変更され…
[気になる点] 気の所為だとは思うのですけれど…リネーム機能って一日の間に利用出来る回数って決まってなかったでしたっけ??
[一言] そういえばダンジョンでは普通な野営とかしてなかったね… 転移してから1日で行ける範囲で済ませればずっといらんけど将来はわからんなぁ
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