リザルト! 事後処理は和気あいあいと!
俺はポーションを開栓してリンの腕に振りかける。
すぐに回復効果があらわれ、傷が小さくなっていく。
「ムリしすぎだ! 大丈夫か?」
「あ、ありがとうございます……あっ」
リンがよろける。俺は肩を支える。
「おっと」
「あ、その。ごめんなさい。また……」
リンが力なくうつむく。
前にもこんなことがあった。
力の制御を失ってケガをしたり、倒れたり……。
魔力を使いすぎたのだ。
普通ならこんなことはできない。
限界を超えてスキルを使うだけなら俺にもできる。
だけど、どこまでもできるわけじゃない。
限度がある。
これ以上はムリだと、自分自身で歯止めをかけてしまうのだ。
いわば安全装置。使い手の精神がリミッターをかける。
リンは類まれな集中力で、その制限を無視できる。
……できてしてしまう。
腕が燃えても魔法を放ち続ける。
頼りになるが……諸刃の剣である。
だがこれは悪いことじゃない。
恥じることではないはずだ!
「謝ることなんてない。よくやったよ、リン!」
「よかった、ですか……?」
リンは不安げに聞き返す。
もちろん心配だ。
ケガしたり、疲れ果てる姿を見たくはない。
だけど……心配だからと押さえつけ、やめさせるのは違う。
守ってやりたいと思う。無理をしてほしくないと願う。
だけど、それはただの過保護だ。
共に戦う戦友として……大切なパートナーとしてそばにいてほしい。
だから俺はあえて褒める。
ほめて伸ばす!
「ああ、ナイスだった! 次はケガしないようにな!」
「……はい!」
リンが安心したように笑う。
さじ加減さえ間違わなければいい!
使いこなせるようになればいいのだ!
トウコが汗をぬぐうような仕草をする。
「リン姉の大技はカッコいいけどヒヤヒヤするっス!」
「トウコはいつでもヒヤヒヤさせてくるけどな! 火傷してないか?」
トウコの服は焼け焦げてボロボロだ。
呪術師の火魔法をくらったからな。
見たところ傷は残っていない。
もうポーションを使ったんだろう。
「平気っス! リン姉が守ってくれたんで!」
「防火と消火の魔法か。それもナイスだったな、リン!」
今回、リンは大活躍だった!
リンがはにかむ。
「えへへ……ゼンジさんとトウコちゃんのおかげです。分身さんも、助けてくれてありがとうございますー!」
「おう。いつだって助けるつもりだよ!」と自律分身。
自律分身もファインプレイ連発だったな。
みんなそれぞれが役割を果たした!
俺もまあ、うまくやれたはずだ。
トウコがぴょんぴょん飛び跳ねている。
「あたしもあたしも! ほら、いろいろがんばったっス!」
「呪術師を倒してたよな! ナイスナイス!」
トウコがふくれる。
「うえぇ? なんか投げやりじゃないっスかー!? もっと気持ちを込めてほしいっス!」
「はいはい。よかったよかった!」
俺は雑にトウコの頭を撫でまわす。
トウコが顔をゆるめて笑う。
「うへへー」
索敵にしろ立ち回りにしろ、以前よりずっとよくなった。
ときおり不注意な場面もあるが……細かいことは後でいい。
今は勝利を味わうのだ!
ゴブリンがたくさん出ようが策を練ろうが、なんてことはない!
俺たちのチームワークはそれ以上に完璧だ!
トウコを撫でているとリンがチラチラ見てくる。
ああ、そうだよね。うん。
「あの……」
「はいはい!」と自律分身。
すかさず自律分身がリンの頭を撫でる。
よし! ナイスフォロー!
さすが俺、気が利くぜ!
リンは満足げに口元をゆるめる。
「えへへ……」
これで円満である!
ついに一千万PV突破! ありがとうございます!




