表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

773/1493

VSボス戦! 統率者はゴブリンリーダーで!

「ウゴォァー!」


 統率者(リーダー)ゴブリンが手斧を振り回しながら走り出す。


 狙いはリンとトウコだ!

 二人はまだ体勢が整っていない!


「来るぞ! 立て!」


 俺はすでに走り出している。

 リンとトウコの横を通り過ぎ、敵前へ!


 手斧が振り下ろされる。

 その手首へと狙いを定め――


「――ファストスラッシュ!」

「ウォァアッ――!」


 硬い手ごたえ。手斧と刀が打ち合って火花を散らせる。

 手首を切り裂くはずだった刀がはじかれる。


 防御しやがった……!


 弾かれた刀を引き戻しながら、さらに一撃――

 だが【危険察知】がぴりぴりと危機感を発している。


 目の端に赤く――炎が映る。

 魔法だ!


 とっさに地を蹴って跳躍。

 足元を炎が通り過ぎていく。


 空中を蹴って、きりもみ回転しながら刀を振る。


「フルスイングっ!」

「ウォァッ!」


 統率者は手斧で刀の峰を防ごうとする。

 再び武器が打ち合い、火花が散る。


 だが結果は違う!

 発生したノックバック効果が手斧を跳ね上げ、吹き飛ばす!


 統率者は後ろへバランスを崩す。

 それでも倒れずに踏みとどまる。


「くそ、倒れないか! もう一発だ!」


 俺は床に着地し、すぐさま足元に反発力を発生させて加速。

 スキだらけの喉元へ刀を狙う。


「ファスト――」

「――フゴアッ!」


 そこへ、盾を構えた戦士ゴブリンが割り込む。

 刀の切っ先は統率者に届かず、盾の表面を滑る。


「ちいっ!」


 俺は盾を蹴って距離を取り、さらにバック転。



 呪術師ゴブリンが俺に杖を向けている。

 口を開き、詠唱じみた言葉を発する。


「ゴブウェウェ――ウゲェ!?」


 その口の中にクナイが突き刺さる。

 魔法は不発!


「よし、命中!」と自律分身。

「ナイスっ!」と俺。



 リンが立ち上がり、統率者に手を向ける。


「ファイアボールっ!」


 大きな火球が放たれる。

 盾を構えたゴブリンが立ちふさがり、火球を受け止める。


 盾で止めても、炎の燃焼は防げない。

 当たりさえすれば燃やすことができる!


 しかし――火球はあらぬ方向へと弾かれてしまう。


 リンの火魔法を受けても盾は燃えていない。

 戦士ゴブリンが構えた盾の表面が、ぼんやりと発光している。



 リンが驚きの声をもらす。


「あ、あれっ? どうして……!?」

「なにかの防御スキルだ! 別の奴を狙え! リーダーだ!」


「はいっ!」


 リンは次の魔法の準備を始める。



 トウコがショットガンを呪術師ゴブリンへ向け、引き金を引く。


「うらあっ! ピアスショットォ!」


 呪術師が杖を掲げ、なにかを呟く。

 杖の先が発光する。


「ゴブ……ゲフッ!」


 しかし呪術師は血を吐いてむせる。


 言葉を発せず、詠唱が中断される。

 魔法はまたも不発!


 さっきの攻撃で口が傷ついていたようだな!


 散弾の雨が呪術師ゴブリンへと突き刺さる。

 貫通効果を帯びた散弾が呪術師を塵に変える。


「ナイス!」

「っしゃー! 燃やしてくれたお(れい)っス!」


 これで一匹減った!

 トウコがガッツポーズを決めて笑う。


 そこへ統率者ゴブリンが突撃する。

 その動きは予想外なほどに機敏!


「トウコちゃん!? あぶないっ!」

「あわっ!」


 トウコが背後へ跳ぶ。緊急回避だ。

 いつもなら、これで避けられていたはずだ。


 ――だが、統率者はそれを追ってさらに踏み込む。


「ウギッ!」


 統率者ゴブリンが、トウコをめがけて手斧が振りおろす。


「っとわぁっ!?」


 トウコはとっさに銃でその一撃を防ぐ。

 ショットガンがひしゃげて床に転がり、塵となって消える。


「ウゴアァ!」


 再び手斧が振り上げられる。

 手斧がうっすらと発光し、加速してトウコを襲う。


 まずい! 何かスキルが発動している!


 俺は【入れ替えの術】の狙いをつける――


 ――だがトウコは回避行動を取っている。


 ダメだ! 動いている相手に術はかけられない!



「や、やばっ――!」


 トウコが両手を上げて防御する。

 だが、生身で斧は防げない。


 振り下ろされた手斧が嫌な音を立てる。

 金属がこすれるような耳障りな音。


「うおっ……つぅ!?」と自律分身。


 トウコの前に自律分身が割り込み、盾トンファーで手斧を受け止めた。


 しかし防ぎきれず、盾トンファーがひしゃげてしまったようだ。


 自律分身が苦痛に顔をゆがめる。

 攻撃を受けた腕から血がしたたっている。


 それでも自律分身はひるまない。

 決死の表情で逆の腕で突きをくり出す。


「でやあーっ!」と自律分身。

「アガァッ!?」


 トンファーの突きが統率者の顔面に突き刺さる。

 前歯が砕けて吹き飛んでいく。


 統率者は顔面を手で押さえて後ろへ下がる。



 トウコが自律分身に向けて言う。


「助かったっス! 二号……腕が!」

「まだだ! 敵が残っている! 油断するな!」と自律分身。


 トウコはホルスターから拳銃を抜いて構える。


「りょ、リョーカイっス!」


 攻撃を受けた腕はだらりと下げられ、血が流れている。

 おそらく折れている。


 自律分身はポーションの栓を口で抜いて、一気に飲み下す。

 骨折程度なら治るはずだ!



 にしても、やってくれたな!

 ふつふつと怒りがこみ上げる。


 自律分身のケガは他人事ではない。

 まさしく自分事だ。


 意識共有するとき、あの痛みの一部を味わうことになる。

 こいつは許せん――!


 俺が刀を構えて斬りかかろうとしたところで、リンが言う。


「よくも……よくもゼンジさんにひどいことをっ! 燃えちゃえぇぇ!」


 リンが突き出した腕に炎が渦巻く。

 過度な魔力があふれ出して、腕を燃え上がらせる。


「ファイア……ラァァァンスっ!」


 リンの腕から極太の火の槍――いや、炎の濁流がほとばしる。



 盾ゴブリンがあわてて盾を構え、統率者ゴブリンの前に立ちふさがる。


「フゴォ!」


 その表面が発光し、何らかの防御スキルが発動する。

 先ほど火球を弾いたスキルだ!


 炎の槍が着弾し、その軌道がそらされる。

 盾の表面でそらされた炎の槍が、洞窟の壁面に赤々と線を描く。


「うぅ……! も、燃えちゃえぇーっ!」


 リンが叫ぶ。手からは炎がほとばしり続ける。

 炎は途切れない。


「フ、グググ……!」


 ゴブリンの盾が安定を失ってぶるぶると震える。

 力比べに負けたかのように、盾が跳ね上げられる。


 そこへ炎の濁流が襲いかかる。

 戦士ゴブリンと統率者ゴブリンは、あっというまに炎に呑まれて消える。


 炎はなおも止まらない。

 もう、二体のゴブリンの姿は視認できない。


 確認は後だ!


 それよりも――


「――リン、もういい! 腕が燃えるぞ!」


 俺は魔法を放ち続けているリンを制止する。


「は……はい」


 リンがぼんやりとした顔で腕をおろす。

 白い腕から、ぶすぶすと煙が上がっている。


 スーツが燃え尽きて、肩のあたりまで素肌が露出している。

 見れば、ところどころ火傷を負っているな……。



 自律分身が統率者ゴブリンが立っていたあたりを確認している。


「敵は倒した! 魔石を確認したぞ!」と自律分身。

「他に敵もいないっス! てか、リン姉。大丈夫っスか!?」


 トウコがリンに駆け寄る。


「うん……だいじょうぶ。ありがとー」

「よし、とりあえず全員無事だな! おつかれ!」


 戦闘終了!

 十五階層のボス、討伐(とうばつ)成功だ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] リーダーだったか… リンちゃんさん怒りのスーパーモードはすごいな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ