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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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VSボス戦! ゴブリンは集団戦で!

 通路の先からゴブリンたちのわめき声が聞こえる。


「ブアォ!」


 ひときわ大きな声が響くと、ぴたりと声が止む。


「急に静かになったっス!」

「妙だな……?」

「なんか、足音がするっス! あのへん!」


 トウコが指さしたあたりを見る。

 誰もいない。

 いや――意識を集中してみると、ぼんやりと人型の姿が見える。


「リン! あのあたりをシステムさんで索敵してくれ!」

「はい! ……いました。ゴブリンさんです!」


 俺はトビクナイを放つ。


「うりゃっ!」

「ギヤッ!」


 胸元にクナイが突き立ったゴブリンが倒れる。

 斥候だ。【隠密】で隠れていたんだ!


「他にもいないか索敵してくれ!」


「はいっ!」

「りょ!」


 斥候が隠れていたあたりに目を走らせる。

 【隠密】を使っている前提で探せば……いるいる!


 岩陰に、壁のくぼみの暗がりに……ゴブリン達がひそんでいる!


「上にもいたっス!」

「あんなところに横穴があったのか!」


 トウコが天井付近にショットガンを向ける。


 こちらに向けてなにかを投げようと振りかぶっている!


 ゴブリンが手を振りおろすより前に、トウコが引き金を引く。

 銃口が火を噴き、散弾をまき散らす。


 散弾が岩壁にあたって派手な音を立てる。

 穴だらけになったゴブリンがぐらりと倒れる。


「ファイアボールっ!」


 リンが放った火球が隠れていたゴブリンに着弾する。


「ギャァァ!」


 ゴブリンが燃え上がる。その炎が暗がりを明るく照らす。

 そこには――


「うげーっ! うようよいるっス!」


 武器を構えたゴブリンがこちらの様子をうかがっている。


「気をつけろ! いつものゴブリンと違う!」

「――ブオァアッ!」


 俺の声をかき消すように、さっきの声が叫ぶ。

 この声――ゴブリンのボスか!?


 まるで呼応するかのように、ゴブリン達が(とき)の声を上げる。


「アギャァー!」

「ゴブァァー!」


 まさか、ゴブリン達に指示を出している……?

 ゴブリンの統率者(リーダー)のような個体がいるのか!?


「来るぞ! 迎え撃て!」


 叫び声をあげて、無数のゴブリンがやってくる。

 今度は姿を隠していない。


 粗末な武器を構えて、一直線にやってくる!



 俺は分身を展開して守りを固める。

 リンとトウコがそれぞれに応戦する。


「止まってくださいっ! ファイアウォールっ!」

「チャージショットーっ! うらうらっ! ピアスショットっ!」


 燃え盛る炎の壁が現れて、ゴブリンの足を止めさせる。


 炎越しに光をまとったチャージショットが敵を薙ぎ払う。

 続けて連射された散弾が雨のように降り注ぎ、ゴブリンを撃ち抜いていく。



「ウギッ……!」


 後続のゴブリンたちがひるんで立ち止まる。

 だが、次々と後続が押しよせてくる。


 後ろから押されて先頭のゴブリンが炎に突っ込む。


「ギャァァ!」


 焼かれる仲間を見て、さすがにゴブリン達の動きが止まる。


 そこへ再び、奥から統率ゴブリンの怒声が響く。

 有無を言わさぬ迫力だ。


「ウゴァァー!」


「アギギッ!」

「アギャァァ!」


 ゴブリン達が前に進む。

 死に物狂いで炎を突っ切ってやってくる!


「分身! 腰だめ突撃!」


 分身の一団がクナイを構えて突撃する。

 相手が数で来るなら、俺も数で押す!


 愚直に走ってきたゴブリンと分身がぶつかり合う。

 ゴブリンが倒れ、何体かの分身も塵となって消える。


 次々とゴブリンが走り込んでくる。

 強さはたいしたことはない。だが、とんでもない数だ!



 ならば――


「分身の術ッ! いけいけっ!」


 俺はさらに分身を出し続ける。

 強度よりも数を優先!


 ありったけのクナイを持たせ、足りなくなったら倒された分身が落としたクナイを拾わせる。

 間に合わなければ素手で突っ込ませる。


 とにかくぶつかっていけ!


 争いが激しくなってきた。

 混戦の様相。

 ゴブリンは雑に振り回した武器で同士討ちをしている。


 だが分身は――判断分身は間違わない。

 ゴブリンだけを狙って確実にしとめていく。


 分身が肉の壁となって前線を支える。

 炎が、銃弾が敵の数をけずっていく。


 あっというまにゴブリンが数を減らしていく。



 トウコがショットガンを装填しながら言う。


「ははっ! ちょっと数が多かったけど、やっぱり余裕(よゆー)っスね!」


 リンが通路の先を確認しながら言う。


「もう来ないみたいですねー?」


 この先には指示を出していたゴブリンがいるはずだ。

 それらしき姿は確認できていない。


「油断するなよ……ん?」


 背後に違和感。なにか聞こえたか……?



 自律分身が叫んでいる。


「おーい! 後ろだ! ゴブリンがいるぞっ!」

「アギャギャッ!」


 自律分身がクナイを投擲する。

 俺たちの背後に忍び寄っていたゴブリンの背中に突き立ち、塵に変える。


 だが一匹だけではない。

 隠密状態のゴブリンたちが姿を現す。


 俺たちの背後……通路の後方にゴブリンの一団が回り込んでいたんだ!


 くそ挟まれた!

 挟撃(バックアタック)だ!


「こいつら、どこから来たんスか!?」

「横道があったのか!?」


 来るときには気づかなかったが、別の通路があったのか……。


 まさか……さっきの混戦は、別動隊が背後に回り込む時間をかせぐためか?

 俺たちの注意を引きつけるために、わざと正面から戦いをしかけてきた……?


 偶然だろうか……?

 いや、戦いに偶然なんてない!


 運なんて不確かな要素を計算に入れるな。

 ゴブリンに戦略を立てる知能があるとは驚きだが……あるものと考える!


 統率の取れたゴブリンの集団……あなどれん!

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― 新着の感想 ―
[一言] さて統率者はホブゴブリンかゴブリンキングか… とにかくいるなこれは
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