正解ルートだとなぜかがっかりする現象!?
「今日はこっちの道を進むんですよね?」
リンが分岐の片方を指さす。
俺が偵察したのとは別のルートだ。
「うん。そうしよう」
俺はうなずく。
瞑想のおかげで魔力はかなり回復できた。
体調もいい。
探索続行である!
「水路ルートは準備しないと進めないから今度だな」と自律分身。
「リョーカイっス! お宝は今度っスねっ!」
「期待しすぎるなよ、トウコ! あるとは限らないからな」と自律分身。
まあ、俺もちょっと期待はしている。
「ま、こっちを進んでみようぜ。たぶん正解ルートだと思うけどな」と俺。
「んじゃ、どんどん行くっス!」
トウコの言葉通り、俺たちはどんどん先へ進む。
現れるのはコウモリと蛾が多い。
ゴブリンもたまに現れる。
道幅はずっと狭いばかりではなく、広がったり狭まったりする。
十三階層よりは戦いやすい。
先頭を進む自律分身が言う。
「天井が低いから頭に気をつけろよ」
「リョーカイっス!」
「はーい」
身をかがめながら一列になって進む。
俺は最後尾なので、前を進むリンの尻しか見えない。
いや、あまり前は見ないようにしよう。
紳士のたしなみだ。
後方を警戒しながら進もう!
前方で自律分身が言う。
「お、開けた場所に出たぞ!」
「やっとっスね! せまいと肩がこるっス!」
「あっ……!?」
リンが驚いた声を出して急に動きを止める。
すぐ後ろを進んでいた俺はリンの尻にぶつかりそうになる。
だが、ちゃんと止まる。
セーフ!
じっくり見ていたから……いやいや!
前方に注意していたから大丈夫だったぜ!
紳士にラッキースケベなどないのだ!
リンが前に進んだので、俺も狭い場所を抜ける。
「どうした? 頭をぶつけたのか?」と俺。
リンが頭に手をやりながら言う。
「はい。ケガはありません。だけど……」
リンは悲しげな声色だ。
「ん、どうかしたのか?」
「いえ、その。ヘルメットに傷がついちゃったかなぁって……」
なんだ、そんなことか。
ヘルメットの表面には小さな傷がついている。
「ケガがなくてよかったよ。ヘルメットしててよかった。壊れてもあとで直すから気にしないでくれ!」
「はい! ありがとうございますー!」
「あたしのもお願いするっス!」
トウコが頭を差し出してくる。
ヘルメットは傷だらけだ。
「ガリガリじゃねーか。どうやったらこんなにぶつけれるんだよ……」
「狭いとこはニガテっス!」
落ち着きないからね。しかたないね。
今いるのは広い空間だ。広めの通路という感じ。
天井も高いし、二人並んで歩けるだけの余裕もある。
リンが上を指さす。
「あ、天井にクモさんがいます!」
「ナイス索敵だ、リン!」
発光キノコが生えているのでぼんやりと明るい。
天井付近は薄暗くなっているが【暗視】があるので問題ない。
いるいる。
天井付近に張られた巣のうえにクモがいる。
さっきのクモよりは小柄だ。
「トウコ、撃てるか?」
トウコは顔の横でピースサインを作って、その間から覗いている。
「バッチリ見えてるっスよー! チャージ……発射ーっ!」
俺は【暗視】を切って目を保護する。
まばゆい光が走り、天井のクモに突き刺さる。
「ナイスショット!」と俺。
「余裕っスね!」
一撃!
やはり銃は強い!
落ちてきた魔石を【引き寄せの術】で回収する。
「索敵のおかげだな!」と自律分身。
「えへへ。ここは狭いから見つけやすいんです!」
広い草原に比べて、俺のダンジョンはルートが限られる。
一本道なら敵を見つけやすい。
「四人だと楽だなぁ」と俺。
「そりゃそーっス!」
いくつかの分岐を進み、くだり階段を発見した。
十四階層終わっちゃったね!
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