防具は重い……? 工夫次第です! そう、ワイヤーならね! 【装備】【ワイヤー防具】
ダンジョン攻略するはずがひたすらクラフトしている件……!?
今回でクラフト回は終了です!
鎖をワイヤーに置き換えるアイデアは他にもある。
防具の鎖帷子だ。
これは史実でもゲームでもお馴染みの防具だ。
実際は結構重い。
軽くて数キログラム。重ければ10キログラムを超える。
俺にそんな重さは邪魔だ。
軽快な動きを損ねてしまう。
だがワイヤーは軽い。
1メートルで10グラムを切る。
編み込んだとしても、鎖に比べて軽量だ。
飛んだり跳ねたりする動きを邪魔しない!
「そう、ワイヤーならね!」
鎖帷子の場合、下に分厚い肌着を着込む。
打撃に弱いので、衝撃を吸収するためだ。
外側にも布が必要になる。髪の毛が絡んだりしては困るからだ。
でも大丈夫!
服の内側にカタビラ部分を仕込んでしまえばいい。
そうすれば、肌触りも見栄えもいい。
見た目上は防具に見えないのもポイントだな。
これで、ワイヤー帷子の原型ができた。
「だが、ただの鎖帷子だけじゃ終わらないぜ!」
編み方にも工夫をするのだ。
ワイヤーをより細く、しなやかに加工する。
極細のワイヤーを蜘蛛の巣状に編むイメージ。
蜘蛛の巣は細い糸だが柔軟だ。
昆虫が衝突しても、衝撃を吸収してしまう。
衝撃を受けると、クモの巣の一部は破壊される。
そうして、意図的に衝撃を逃がすのだ。
「やっぱり、虫や動物の能力ってすごいよなあ……」
よく考えられている。
何千年、何億年という進化のなかで磨かれてきた技だ。
この蜘蛛の巣構造で編んだ極細ワイヤーを、さらに何層にも重ねる。
重ねることでさらに強度が増し、クッション性も付与される。
切断に強く、刺突には弱い。
打撃には多少耐えられる。
万全な防御力とはいえないが、軽くて動きやすい。
俺は被弾しない前提のスタイルなので、これでいい。
当たらなければどうということはないのだ!
ということで、蜘蛛織ワイヤーを使って軽量な防具を作る。
「作るのはやっぱり……忍び装束だ!」
鎖帷子として着込むのではなく、服全体をワイヤーで補強する。
関節や可動部は薄く、攻撃を受けそうな部分は厚く。
そうすることで動きやすさも損なわれない。
これまで、俺は黒っぽい洋服で戦ってきた。
ついに、ユニフォームを作るのだ。
形状は和風の忍び装束に近くするつもりだ。
でも、完全な和風にすると使いにくいので、多少は洋風要素もある。
ポケットとかね。
漫画的な忍び装束は、忍者丸出しな服装だ。
一目でそれとわかるコスチュームだ。
例によって忍んでいない状態になってしまう。
現実的な忍者は、バレないよう変装する。
編み笠で顔を隠し、商人や農民に化ける。
動きやすいように配慮され、特殊な装備など身につけない。
現実の忍者もやっぱり地味。
バレないのが優先。
忍者の制服みたいな格好は創作のものだ。
俺が作る忍び装束はこっちでいい。
外では着ないから、怪しまれる心配はいらない。
どうせなら、ニンジャ感があるほうがいい。
もちろん、背中や胸にでかでかと「忍」とプリントしたりはしない。
無地で、地味。
目立たないことを第一にする。
ただのコスチュームではない。
実用性を求めていく。
頭部は頭巾でなく鉢金にする。
これは以前に作ったものを蜘蛛織ワイヤーで補強する。
服は忍び装束の上下だ。
上衣はポケットを多めにする。
ここに丸薬や投げモノを仕込んでおいて、とっさに取り出せるようにする。
懐から中身がこぼれないよう、ゴムのように伸び縮みするよう加工する。
手甲は金属で補強する。
ちょっとした攻撃を防げる程度の強度を持たせ、それでいて軽量に。
金属の構造を蜘蛛織ワイヤーに似たイメージにする。
いずれは、手甲もいろいろ加工していきたい。
ジャキンと伸びる爪、手首から刃物、グラップルワイヤーの射出……。
夢は広がるばかりだ。
「え? むずいから勘弁? ガンバレ。頼むぞ忍具作成君!」
複雑な加工をイメージすると、不満げな手ごたえを感じる。
スキルに意思があるわけではないだろうけど……俺がそう感じるのだ。
手袋も強化しておこう。
今はコウモリ素材の指先の出た手袋を使っている。
指先を出しているのは器用さを損なわないためだった。
もう、投擲にも武器にも慣れてきた。
手袋を指先まで覆っても大丈夫だろう。
ダメなら戻す。作ってから直すことも可能だ。
この手袋もワイヤーを埋め込んで強度を増す。
手の甲側を厚く、平側は器用さを損なわない薄さに。
指先を出さないのは、ワイヤー分銅の操作などで指先を傷つけないためだ。
自分の指を切ったりしては目も当てられないからな。
安全第一。
下半身は袴ではなく、ズボンに近い。
とび職が着ているニッカポッカに近いが、それほどダボつかない。
足の動きを妨げないように緩めに。
やわらかく、伸縮して、ダブつきすぎない。
ポケットを多めにしておく。
裾はすぼまっていて、足運びを邪魔しない。
靴も見直す。
いつも履いている「安全エアー地下足袋」の強度もさらにワイヤーで補強。
これで「安全エアーワイヤー地下足袋」だな。
長い、長すぎる。
忍者は足袋の底に厚い綿を入れて音を消していたらしいが、これはすでに空気のクッション入り。
加工するまでもなく完成している。
スゴイな現代の商品!
さらに脛を守る脚絆状のプロテクターを追加する。
これはコウモリ革を使う。
この頃は荷物が増えてきて、腰袋の収納に限界が近い。
棒手裏剣を取り出しやすいように、ポーチを追加する。
ベースは釘袋だ。
取り出しやすいように、何本かが抜き出せるように頭を出している状態。
アクロバットな動きをしたときに中身が出ないよう、取り出し口はある程度締め付ける。
サイズの違う五寸釘と三寸釘が混ざらないように二層構造。
これを銃のホルスターのように腰に吊る感じだ。
小さめにして、腰袋と干渉しないようにする。
「だいぶ欲張ったが……イメージはできた。一つずつ作成していこう! 頼むぜ忍具作成!」
俺は一つ一つ丁寧に、イメージした新装備を作っていく。
【忍具作成】の頑張りもあって、装備が完成する。
出来上がった装備を身に着け、動きを確認する。
邪魔をしたりサイズの問題はない。
出来上がった装備はすべて黒。
俺の装備はすべて黒一色に統一している。
現実では、夜でも真っ暗になることがないから黒では目立ってしまう。
そのため忍び装束は濃紺色が多かったらしい。
ダンジョンの中はかなり暗いので、色は黒でいい。
映えない? 目立たない?
それでいい。それがベスト。
それが俺の目指すスタイルだ。
漫画では忍者は忍ばないものだ。
しかし、俺はしっかりと忍ぶ地味な忍者を目指す!
「よし、完璧! これで五階層攻略へ乗り出せるぞ!」
次回、ダンジョン攻略再開!




