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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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ダンジョン領域の変化をはじめて体験してみた件!

 転送門を出るとダンジョン領域だ。


 ここは元の住人の家そのまま。

 二階建て住居の一階である。


「よし、全員無事だな!」

「はい……置いていかれないでよかったです……はあはあ」


 エドガワ君は息を切らしている。

 最後は全力疾走だったからな。


 あんなところに一人で置いていかれたら怖すぎる。



 ハルコさんが言う。


「あれぇ? こんな狭いところに、あんなのが出てくるんですかぁ?」

「あ、たしかに。考えてなかったわ!」


 御庭は以前、ダンジョン領域に誘い出してボスを討伐すると言っていた。

 これが普段の手順のはず。


 しかし俺は初めてだ。


 サイズ的に無理じゃね?


 トレントは大木だ。

 天井ぶち抜くんじゃね!?



 御庭が言う。


「大丈夫だよクロウ君。こういう場合はダンジョン領域が変化するんだ。空間が広がったり、天井が抜けたりする。モンスターが小さくなる場合もあるね」


「へえ。そういうものか」

「ボクも見たことありますよ。普通の家が迷路みたいになって……困ったなぁ」


 お、流石はエドガワ先輩!

 俺より公儀隠密歴が長いだけあるな。



 トクメツの連中は俺たちとは離れて傷の手当をしている。

 と言ってもケガしているのはキリトだけ。


 やたらと包帯を巻いている。

 不器用かよ、キリカ隊長さん。


 そしてぜんぜん手伝わないカトウ。



 転送門の前にナギさんがワイヤーを張っている。

 ふむ。転送門から少し離れた位置に仕掛けるんだな。


 ナギさんが言う。


「それでは、少し離れてください」

「クロウ君たちもこっちへ来たほうがいいよ」


 御庭とナギさんが窓際まで下がる。

 慣れた様子である。


 ハルコさんが不思議そうに尋ねる。


「なんで離れるんですかぁ?」

「あれだろ? 返り血っていうか……」


 返り草汁(くさじる)


「うわぁ……って、あの……ボクの後ろに隠れるのやめてくれません?」


 俺とハルコさんはエドガワ君の陰に隠れている。


「植物系だしグロくはないけどさ。枝とかぶつかったら痛そうだし」

「なかなか出てきませんねぇ?」


 なかなかモンスターは出てこない。

 まだダンジョンが変化していないからか?


「ダンジョンが変化するときってどうなるんだ?」

「どうって……ええと……難しいですね」


 口下手なエドガワ君に聞いても無理か。


 御庭が言う。


「そろそろ始まるよクロウ君!」

「おお、こういう感じか!」


 不思議な感覚だ。

 まっすぐ立っているのに足元が揺らぐ。


 波打ち際に裸足で立っている感じに近いかな。

 自分は動いていないのに、周囲が動くような感じ。


 いや、それどころじゃ無い!

 足元も動いているんだけど!?


「うわぁ……ぐらぐらして酔いそうですねぇ!?」

「なんか足元……緑色になってきました!」


 建物の床がまるで腐葉土のようにふかふかしてくる。

 天井がめきめきと伸びていく。


 さらに、吹き抜けのように天井が高くなる。

 二階があったはずだが……どうなってんだ!?



 キリトが呆れたように言う。


「なんかお前らって緊張感ないよなァ」

「そうか? 結構ドキドキしてるんだけどな!」


「そういうことじゃねェ……いや、そういうトコだよ!」

「私らは死ぬ気でダンジョンに潜ってんだ。貴様らはユルい!」


 キリカが指をびしっと突きつけてくる。

 近いよ! 指が刺さるわ!


「そういうことか。俺は生きて帰る気だからな」

「俺たちはそういう覚悟で来ている。忍者野郎と違って、俺は逃げねェ!」


 キリトは軽蔑したような眼で俺を見る。

 しかし勝手な理屈だな。


「なに言ってんだお前。死ぬのは偉くないぞ!」

「んだとォ!」


 前に出たから偉いわけじゃない。

 戦って死んだら偉いなんてことはない。


 ダサかろうが、後ろ指さされようが生きるのだ。

 死んでも生きて帰る!


「生きて帰れば次も戦える。そうすりゃもっと多くの人を救えるんだよ。そのほうがいいだろ!」


「いい!」


 キリトは勢いよくうなずく。


「いいのかよ!?」

「そりゃ、そのほうがいいだろ! でも選んでられねェからな!」


「まあそうだな。戦うしかないときもある。でも今日は違う。生きて帰るぞ!」


 キリトがうなずく。


「おう!」


 素直かよ!



 御庭が言う。


「クロウ君! そろそろだよ!」

「わかった! みんな、気をつけろ!」


 転送門が激しく波打っている。

 そして門が膨れ上がり――


 巨大な樹木が一気に膨れあがるように室内に広がっていく!

 変化した領域にトレントが姿を現すぞ!

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[一言] なんだ脳筋いいやつじゃないかw
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