釣り忍者参上! 【装備】【ワイヤー】【リール】
クラフトが……続く!
ダンジョンに持ち込める装備には限界がある。
懐から鉤縄や、投網や、鎖分銅を次々と取り出すことはできない。
俺は四次元懐は持っていないからな。
だが、パーツを付け替えることで臨機応変に対応できる。
現代忍者の知恵だ。
それに、パーツの付け替えは楽しい。
「単体でもロマンあふれる忍具が、合体してしまうんだぜ!」
無限の組み合わせだ。
ロマン爆発だぜ!
ワイヤーはクナイの投擲用のヒモにもなる。
クナイは気に入っているので、失くさないようにしたい。
柄頭の輪にワイヤーを通し、着脱をワンタッチでできるようにしておく。
これで安心。
これには武器用より細いワイヤーを使う。
最初は釣り糸のテグスを使おうと考えていた。
でも、他の装備と同じワイヤーに統一することにした。
規格を合わせておけば、アタッチメントを使いまわせる。
ワイヤーが細い分、強度は劣る。
だけど問題ない。ぶら下がったりしないので、強度は要らないんだ。
あくまでも、投げたクナイを引き戻すことに使うつもりだ。
投げるからには、ワイヤーには長さが必要だ。
クナイを投げる距離は鎖分銅より遠い。
ワイヤーが長いほど、絡まりやすくなる。
いざという時に使えないのでは意味がない。
これにも対策は考えてある。
釣りのリールである。
釣りで使う、糸を巻き取る道具だ。
長い糸を遠くへ飛ばしてもスルスルと糸を繰りだしてくれる。
使わないときには巻き取っておく。
まさに、うってつけのアイテムだ。
分銅のオモリも釣り具がベースだ。
オモリだけでは送料が割高になるので他に買うものを探していた。
そして、これを見つけたのだ。
「釣り具で戦う忍者……かつて存在しただろうか!?」
釣り忍者、誕生だぜ!
さすがに釣り忍者の先輩はいないはずだ……!
……居ないと言い切れないのが、忍者の凄さだな。
どこにでも忍び込んでやがる。さすがだ。
「さて、これも自動で巻き取ってくれるといいんだが……無理か」
自動で巻き取る装置はワイヤーガンと同様、作れない手ごたえ。
自動でクルクル巻く機械は無理か……。
まあ、機械っぽくなるしな。
しょうがない――
「――いや? バネ仕掛け、からくり仕掛けなら……どうよ?」
なんとなく【忍具作成】にイメージを伝える。
イケる?
お、いけそうか!
できそうな手ごたえが返ってくる。
機械は明確にダメ。
バネやからくり程度なら許されるらしい。
からくり忍者はアリだもんな。
「よし、さっそく作ろう!」
ベースは釣りのリール。
イメージは巻き尺や、巻取り式の犬の散歩用リードだ。
どちらも同じ仕組みだ。ゼンマイバネ仕掛け。
サイズは小さく、コンパクトに。
簡単な操作で巻き取ってくれる。
クナイを投げるとき、ワイヤーがスムーズに繰り出されるイメージ。
巻き取るとき、ワンタッチ操作でクナイを引き寄せられるだけの強さ。
強く、イメージを頭に描く。
それをスキルに引き渡す――
「――忍具作成っ! よし! 自動巻取りワイヤーリールの完成だ!」
クラフトが成功する。
細いワイヤーを繰り出し、自動で巻き取ることのできるリールが完成した。
これで、クナイは投げ放題だ!
「さて、次は防具へのワイヤー利用だ! どんどん作ろう!」
調べたら、存在していた……!
戦う忍者ではないけど、釣りニンジャさんが存在する!
うーん、忍者は何とでも掛け合わせられるんだなあ。




