特異殲滅課のお手並み拝見! その2
さて、観戦してるだけじゃトクメツ連中に悪い。
俺も参戦しよう。
といっても分身を向かわせるだけだけど!
「分身の術! 分身の術!」
判断分身を出してクナイを持たせる。
クナイは収納にたくさん入っている。
条件は植物モンスターを攻撃するように設定しておく。
この条件なら人間――キリトたちを攻撃する心配はない。
あとは分身が勝手に戦ってくれる。
ザコ植物モンスター相手ならこれで充分だ。
数が多いだけで強くはないからな。
こういう敵は分身に任せておけばよい。
分身ならやられても困らないし、また出せばいい。
俺の魔力量は昔より増えている。
今はダンジョンの中だし、スキル調整でコストも下げられる。
分身たちが混戦地帯へ進んでいく。
そうして次々と植物モンスターを刈り取っていく。
たまにやられるが、その都度補充する。
さて、観戦に戻ろう。
「んじゃ、あっちはどうだ御庭」
俺が指さしたのは隊長のキリカさんだ。
腰に差した刀で戦うようだが……刀は抜いていない。
「キリカ君の能力は難しいね。もう少し観察してみよう」
キリカさんは刀の柄に手をかけて居合抜きの構え。
目の前には植物モンスターの群れ。
そこへ楽し気に突っ込んでいく。
「そらそらそらーっ!」
周囲の植物モンスターが次々と斬り飛ばされていく。
ツタや花が舞い、塵へと変わる。
ハルコさんが目をこする。
「あれぇ? いつ斬ったんですかぁ!? 見えましたぁ?」
「早すぎる……んですか? ええと、居合抜き……ってこうなんですか?」
キリカさんが構えて敵に近寄っていく。
敵は死ぬ。
その間――刀を振った様子がない。
早すぎて見えないってやつか?
「居合だからって、こうはならないだろ? うーん。ほんとに抜いてるかコレ……?」
御庭が言う。
「刀を抜く姿は僕にも見えないね。手は柄に添えられたままだ。腕だけじゃなく体や服も揺れていない。でも敵には刀傷がついている」
「えぇ? ぜんぜんわかりませんよぉ?」
「よく見て分析するんだよ、ハルコ君。ほら、今は二体のモンスターを同時に倒した。連続で攻撃できるようだ。距離はそれほど離れていないから、刀の届く範囲までじゃないかな?」
「俺も同じ意見だ。長距離攻撃じゃなさそうだ。見えない近接攻撃……しかも予備動作がない」
すぐに発動して、クールダウン時間なし、威力も充分。
距離はそこそこ。コストは見てもわからない。
うーん。
スキルで考えたら相当に強い能力だぞ!
エドガワ君が言う。
「見えないのに斬れてるんですか……さっぱりわかりません……」
御庭が答える。
「つまり、そういう能力なんじゃないかな? 見えないことが能力なんだ。目にも止まらず、すぐに命中する斬撃。おそらく抜刀攻撃に限定される。それがキリカ君の異能と僕はみる!」
「瞬間抜刀攻撃か……。それって……絶対命中するってことか?」
「そうかもしれないね、クロウ君。ここまで空振りは一度もないようだし……ナギ君はどう見る?」
ナギさんが言う。
「あの攻撃は私でも防げるかどうか……。相手にしたくありませんね」
今もナギさんは御庭を守るためにそばに控えている。
自分の能力が通用するか気になるんだな。
俺も気になる。
この手の攻撃はニガテだ。
おそらく回避できないだろう。
御庭が言う。
「攻撃が瞬間的だとしても、斬る瞬間はナギ君に触れるはずだ。だとすればナギ君の停止で止めることができる。だけど、刀の届く範囲を必ず斬る効果だったら防げないかもしれない」
俺はうなずく。
「ふーむ。物理なら防げるけど概念攻撃は防げない可能性があるわけか……」
ナギさんの異能も無敵ではない。
ハルコさんが言う。
「えっとぉ……概念攻撃ってなんですかぁ?」
「今度詳しく説明するけど、結果を無視してそうなる能力って感じだな」
概念についてはリンとトウコとさんざん話した。
ハルコさんにもいずれ詳しく説明しよう。
「ボクの異能でも防げないかもしれない……んですね?」
「ああ。今は味方だから斬られる心配はないけど、そういう能力の敵がいるかもしれない。エドガワ君も異能に頼りすぎないようにしてくれ」
俺の【入れ替えの術】はエドガワ君の異能で防げない。
これはナギさんにも通用するかもしれない。
そういう能力はいくらでもあり得るってことだ。
「はい……ええと、どうすればいいかはわかりませんが……」
「俺もわからん! 距離を取って戦うか、逃げるかだな」
御庭がうなずく。
「うん。僕もそう思う。逃げるか、ナギ君の後ろに隠れるしかないね!」
「そもそも御庭さんは前線に来るべきじゃないと……」
あ、御庭がナギさんに怒られてる。
組織の長が危険なダンジョンに入ってきていいのかと。
まあ、そうだよな。
御庭自身が戦って強いわけではないから危ないよね。
とはいえ、俺たちの危険に駆けつけてくれたんだから文句はない。
いい上司だと思う。
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