特異殲滅課のお手並み拝見!
御庭が言う。
「ちなみに僕らはサタケ君の病院で待機していたんだ。立ち会うつもりでね。こういう事態だから、サタケ君の治療は次の機会だね」
聞いてなくても知りたいことを教えてくれる御庭。
コミュ力!
さすが交渉人!
「サタケさんは連れてきてないわけだな。助かる」
今は重病人を連れてこれる状況じゃない。
「もう少しの辛抱ですね……」
「このあとお見舞い行きますぅ?」
「そうだな。さて、ダンジョンに入るか!」
放っておいてもトクメツの連中で対処できそうだが、あんまり待たせても悪いし。
俺たちは転送門へ飛び込んだ。
ダンジョン内――
大粒の雨が俺に降りかかる。
前も見えないほどのスコールだ!
ということは……。
うわ、やっぱりそうだ。植物モンスターが活発になっている!
「うわぁー! すごい雨ですぅー!」
「これ、モンスターが活発になる状況ですよね!?」
トレントが吠える。
「オォォォン!」
モンスターの群れも入口の近くまで来ている。
数もさっきより増えているし勢いもある。
キリト君は――
「おらぁあッー!」
「お、無事みたいだな! 元気いっぱいだ」
刀を一振りするごとに敵が吹き飛んでいく。
派手だな! 無双ゲーか?
ケガは増えているが致命的なケガはない様子。
「あの人すごいですねぇ?」
「敵の真ん中に切り込んでますよ……怖くないのかな……」
「――死ねえッ!」
「オォォォォン!」
トレントの枝にキリトの刀が食い込む。
めきめきと音を立てて太い枝が吹き飛ぶ。
「おお! 太い枝を一発でへし折ったぞ!?」
木を伐りまくった俺にはわかる!
奴はプロ木こりになれる逸材!
ハルコさんとエドガワ君が言う。
「すごい切れ味ですねぇ!?」
「切れ味……なんですか?」
刃物の切れ味とは思えない。
威力がありすぎるのだ。
斬ったり折ったりと違う。裂けてちぎれ飛ぶ感じだ。
反発力か……?
内側から破裂しているようにも見える。
ふうむ……。
御庭が補足する。
「あれは異能だね。刀の表面に作用しているんだろう」
刀の表面か……。
たしかに俺と打ち合ったときは刀に触れただけで弾き飛ばされた。
御庭はその戦いを見ていないのによくわかるもんだ。
「すごいな御庭。見ただけでわかるのか?」
「ハッキリわかるわけじゃなくて推測だけどね」
「へえ。そうなのか」
御庭の能力はいまだに謎である。
一発で能力を見抜けるわけじゃないようだ。
「キリト君と打ち合ったとき、剣に触れただけで弾き飛ばされたんだ。力じゃない。あれは【反発の術】に似てた。こんな感じで――」
俺は【反発の術】で小石をはじく。
御庭は目を輝かせる。
「おお、すごく忍者っぽい術だね!」
「この術を刀の表面……切断面に生じさせればマネできるかな?」
刀で斬って、その傷口に反発力を生み出す。
そうすれば内側から破裂するようなダメージを与えられる。
……凶悪だ。
俺と戦ったときは使っていなかった。
分身が斬られたが、うちから裂けるようなダメージはなかった。
狙いも肩だったし、急所ではない。
つまり手加減――殺す気はなかったんだろう。
斬ってから考える、と言うのは本気だったか。
いや、それでも刀で斬られたら大ケガするわ!
俺がフルスイング峰打ちしてたのと似ている。
「切断面に反発の術か! クロウ君、ぜひ見たい! 試してみてくれるかな!?」
御庭の食いつきが異常に良い。
忍術好きすぎる!
いや、これは忍術だろうか!?
「ああ。それは後で。その前に――」
キリトが俺たちを見つけて騒いでいる。
「おい忍者野郎! お前も手伝え!」
「おう! わかってるよ!」
といっても、戦うのは分身だけどね!




