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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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記憶のフィードバック! VS 浮遊剣の長髪男

「ああ。んじゃ解除!」


 俺は自律分身の記憶を読み取る。

 【自律分身の術】【意識共有】による意識のフィードバックだ。



 俺がキリトをダンジョンに蹴り込んで引き離している間の、自律分身の体験である――



 三本の浮遊剣が(本体)を襲う。

 避けきれないと判断して、転送門に飛び込む(本体)


 自分で自分を客観的に見るというのは不思議なものだ。

 回避のタイミングはかなりギリギリだったな。



 廊下から長髪の声が聞こえる。


「ちぃ……ダンジョンに逃げ込まれたか。追うのも面倒だ。ま、キリトに任せとけばいいか。そもそも、隊長を待てばよかったんだ。先走りやがって……」


 記憶を読みながら(本体)は考える。

 ――長髪はフルスイングで廊下に吹き飛ばしたんだったな。

 ――ダメージは与えられていないようだ。



 エドガワ君が(自律)を見る。


「ど、どうすれば……?」


 (自律)は指を唇に当てて首を振る。


 長髪は(自律)がここにいることを知らない。

 ダンジョンに入ったと思っているはず。



 長髪が部屋の入口前で立ち止まる気配。

 まだ部屋に入ってこない。

 警戒しているのか?


 長髪がエドガワ君に向けて言う。


「面倒だけどアンタを倒してキリトのアホを助けなきゃな。邪魔しないんなら見逃してやる。俺が部屋に入る前に、外へ出てくれないか?」


 エドガワ君がちらりと掃き出し窓を見る。

 そして首を振る。


「……それはできません!」


 エドガワ君の背後にはハルコさんが隠れている。

 離れるわけにはいかない。


 エドガワ君のすぐ前に剣が浮かんで突きつけられている。

 能力で接近を拒んでいるが、押し返せるわけではない。


 男が部屋を出ても剣は残っている。

 多少距離が離れても剣は浮いたまま維持できるってことだ。


 となれば、見えない位置からでも操作できる可能性が高い。



 エドガワ君は銃を抜いて構えている。

 練習したハイポジション(カーシステム)の構えだ。


「へえ? どうしても邪魔するのか? それならちょっと痛い目をみてもらうことになる――」


 長髪が部屋に入ってくる。


 自律分身()は死角から掴みかかる。


 長髪はやせ型で、力は強くない。

 さしたる抵抗もなく壁に押し付けることができた。


「うっ――アンタは!?」


 (自律)を見て、長髪が驚く。


「動くな! お前たちは何者だ? 俺たちはダンジョン狩りとやらじゃない! 公儀隠密の者だ!」


「公儀隠密だと? ――知らんな!」

「クロウさん! あぶないっ!」


 風を切る音。

 廊下から剣が飛んでくる!


「――っ!」


 (自律)は飛び退いてそれをかわす。

 剣が(自律)と長髪の間に浮かんで、こちらを向いて止まる。


「……アンタ、テレポーターか? いや、さっきの攻撃は別の能力だった。ダンジョン使い……だな?」


 ふむ。長髪は冷静なタイプだ。

 ダンジョンに消えたはずの()がここに居る。

 つまり瞬間移動したと考えたわけだ。


 しかし他の術――【分身の術】と【フルスイング】も見せている。

 これで異能者ではないと気付かれたか……?


 (自律)はとぼける。


「……さてな? そういうあんたは、念動力使い(サイコキネシスト)か?」

「自分の能力をペラペラしゃべる奴はいない」


「おたがいさまだな! それじゃあ、所属は? 吸血鬼か? 旧家(きゅうけ)の関係者か?」


 男の表情がピクリと動く。

 だがどういう思いがあるかは読めない。


「アンタは俺が言ったことを信じるのか? 俺なら信じない。アンタが何者かにも興味はない。任務をこなして終わり。そうすればシンプルで面倒はない」


「任務だと? 目的はなんだ?」

「ダンジョンを潰す以外に何がある? そっちは違うのか?」


「俺たちは調査に来た」

「調査だって? なにを企んでる……? いや、聞くのも面倒だな……」


 長髪から会話を打ち切る気配がただよう。



 記憶を読みながら(本体)は考える。


 ――これはキリトと似た反応だ。

 ――ダンジョン使いだとわかると敵と認定された。

 ――ダンジョンを潰すことを優先する勢力なのか……?


 ――公儀隠密を知らないようだが、目的は近い相手だと言える

 ――争う必要はないはずだ。とはいえ、すでにお互いが退けない状況にある。



 エドガワ君が震える手で長髪に銃を向ける。


「う、動くと撃ちますよ!?」


 ――構えがウィーバースタンスに変わっている。

 ――威嚇しようと思うと無意識に手が前に出るよな。


「お前は素人だ。人を撃ったことはないな? 黙っていろ」

「……うう!」


 エドガワ君の銃口がぶれる。銃を持つ手がふるえている。

 これでは撃っても当たらない。


 銃を撃つ練習をしても、人を殺す心構えは身につかない。

 モンスターと人間は違う。


 俺だって人間を斬る気にはなれない。

 それには相当の覚悟が必要だ。


 いまは武器もないし、なるべく話し合いで解決したいところだが――

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― 新着の感想 ―
[気になる点] エドガワ君の背後には背後にハルコさんが隠れている。
[一言] 別の組織ねぇ…他にも個人のダンジョン壊し屋とか会社とかあったりして
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