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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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雨時々曇り! いったん出直そう!

 雨が止む。

 すると木の化け物――トレントも動きを止めた。


 裂けた口も閉じ、普通の木にしか見えない。


「雨が降っている間だけ活発になるようだな」

「しばらくは動かない……んですかね?」


 雨はどれくらいの周期で降るんだろう?

 雨が降ってないときは動かないという確証もないが……。


 ……情報が足りない。


 俺は首を振る。


「わからん。とりあえず外に出て御庭に連絡するぞ」

「やっと出られるんですねぇ!」


 ハルコさんが両手を上げて喜ぶ。

 異能者にとって、ダンジョンは居心地が悪いかな?


 ……バケモノのいる場所なんて、誰だって嫌か。



「で、サタケさんを呼んで、間に合うならポーションで治療する。その前にヤツがここまでたどり着くなら――倒す!」

「倒すって、どうやるんですかぁ?」


 火で焼くか、斧で切り倒すか……。

 デカい敵は戦いにくいんだよなぁ。


「方法はやってみて考える!」

「そんなぁ……」


 ハルコさんは肩を落とす。


「あ、ハルコさんに戦えとは言わないから安心してくれ。御庭に戦えるメンバーを集めてもらう」


 リンとトウコを呼ぼう。

 そろそろ学校も終わるだろうし、終わってなくても緊急招集だ。


 エドガワ君が言う。


「スナバさんが来てくれたら頼もしいですね」

「そうだな。多いほどいい。ここは住宅街のど真ん中だから、あんなデカブツ(トレント)が出てきたらマズイ!」


「あのぉー。やっぱり倒すしかないんですかぁ?」

「そうだな。帰りたいと言ってはいたが……あれは考えてしゃべってるのとは違うだろうしなぁ……」


 庭、と言っていた。これは住んでいた家の庭のことだろう。

 よく手入れされた素敵な庭だ。


 飾られた写真では、夫と仲良く映っていた。

 思い出の場所なんだろうな。



「もう駄目だと思います……。ダンジョンに取り込まれた変異者が対話に応じたケースは……聞いたことがありません」


 トウコはダンジョンに呑まれかけた。

 いわば変異者のなりかけ。ちゃんと意思疎通できる人間だ。

 まったく別物。特例だ。


 ショッピングセンターで出くわした暴食と呼ばれる男。

 あれは……どうなんだろう?

 変異者にしては人間的だったが……。

 人間にしては禍々(まがまが)しい気配をまとっていた。


 あの樹木モンスターは大鬼に近い雰囲気だと感じた。

 会話が成り立つかどうか――


「試してみたいと思うが……。それも出たとこ勝負だな!」

「そんなぁ……」


 簡単な答えなんてない。

 そもそも解決方法があるとも限らないからな。


「とにかく一度出よう! 御庭に連絡して人を呼ぶ! 対策はそれから考える!」

「はぁい」

「はい……急ぎましょう!」



 俺たちは転送門から外へ出る。



 ――視界が暗転する。


 再び室内。

 ダンジョン領域内である。


 俺たちの服は雨に濡れたままで、しずくが滴っている。

 俺たちのダンジョンなら、外に出たら水気や汚れは消えるんだが……。


 ここが悪性化したダンジョン領域だからか?

 転送門はモンスターも通り抜けられるし、ダンジョン内の雨水も外に出れるってことか……。


 俺はあたりを確認する。

 室内にモンスターの姿はない。


 やはり敵は湧かないようだな。



「着替えが欲しいところだな」

「領域の外に出れば水気も消えると思います」

「だったら、一回みんなで出ませんかぁ?」



 俺は口元に指をあてて小声で言う。


「しっ――しずかに!」


 なにか聞こえる。

 複数の気配!


 玄関のドアノブが回る音!



 エドガワ君とハルコさんも息を殺している。

 ハルコさんが何事かと目で訴えてくる。


 俺にもわからない。

 ダンジョン領域内に入り込んでくるってことは――普通の相手ではない。


「モンスターがいねぇな。すでに先客がいるかもしれねぇ!」

「例のダンジョン狩りかもしれないな。はあ、面倒だ……」


 声は玄関のほうから聞こえてくる。

 どちらも若い男性の声。聞き覚えはない。

 足音も二人分。


 まだ俺たちがいる部屋からは見えない。

 足音はこちらに近づいてきている。


 俺はちらりと窓に目を走らせる。

 壁から床まで続く掃き出し窓だ。すぐ外は庭になっている。


 窓から逃げるか……?

 その場合、窓を開ける音でバレる。

 なりふり構わず脱出するならそれでもいい。


 ダンジョンに戻る?

 これはない。外部に連絡ができなくなる。

 助けが呼べない。



 入ってきた連中が敵か味方かはわからない。

 だが――公儀隠密のメンバーでないことは確かだ。


 公儀隠密なら俺たちがここにいると知っている。

 知っていれば()()という言葉は使わない。


 この家に来るのが初めてで、公儀隠密ではない。

 ダンジョンやモンスターを恐れない相手……。


 味方だとは考えにくい!

 さて、どうしたものか!?

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