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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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探索! 緑のダンジョン!

 ふわりとした感覚。

 視界が切り替わる。

 暗い室内に慣れた目を光が射る。


 エドガワ君が目を細めながら言う。


「ま、まぶしいですね」

「ここは……公園? ……植物園ですかぁ?」


 屋外だ。

 日が差していて暖かい。


 背の高い植物が多く、遠くは見えない。

 見える範囲にモンスターの姿はない。


 俺たちが立っているのは遺跡風の石畳の上だ。

 建物はなくて土台だけ。

 地面より一段高くなっている。


 四隅に柱があるが、天井はない。


 この土台の外は植物がもさもさと生えている。


「ジャングルみたいなだな。さて――とりあえず分身の術!」


 二体の分身を出し、二人の護衛を命じる。

 エドガワ君はほっと息を吐く。


「あ、ありがとうございます。これで安心ですね」

「エドガワ君は自分で身を守れるだろ? あ、ここだと異能が弱まるのか?」


 スキルはダンジョン外だと弱まる。

 異能はダンジョン内だと弱まる。


 エドガワ君の異能はどの程度機能するんだ?


「あ、試すのは初めてで……どうなんでしょう?」

「んじゃ、試してみるか!」


 俺はエドガワ君に触れようと手を伸ばす。


「およそ三十センチか」

「けっこう弱くなっちゃいますね……」


 強度や持続力も気になるが、それはあと。


「ハルコさんはどうだ?」

「私もですかぁ?」


 そりゃ、ハルコさんも異能者なんだから、同じだぞ。


「試してみてくれ。柱と柱の間に壁を出せるか?」


 ハルコさんは柱に手を向ける。

 すぐにあきらめた。


「うーん! ムリムリ! できないですぅ」

「壁は無理か。どこまでできるか試してみてくれ」


「えーと……じゃあ、トオル君に帽子をかぶせて……」

「ええっ!?」


 なぜかイヤそうにするエドガワ君。

 かなり時間がかかったものの、帽子が完成した。


 やたらとオシャレなハイブランド品である。

 ハルコさんは満足げにうなずく。


「似合いますよぉ。トオル君は磨けば光るタイプだと思うんですぅ」

「そ、そうですか。あれ、これ、取れないんですね」


 エドガワ君は頭に手をやるが、帽子を外せない。


「幻だから触れないのか。そもそもエドガワ君の能力で防げないのか?」

「えぇー? なんで防ごうとするんですかぁ?」


 ハルコさんが心外そうに言う。


「いや、ただの興味だよ」

「防ごうと思ってませんでしたが……試しますか?」


「ああ、やってくれ」


 エドガワ君がやや神妙な顔で言う。


「どうぞ。ハルコさん」

「じゃあ、やりますよぉー」


 エドガワ君にオシャレなサングラスがかけられる。


「あれ、防げませんね」

「実在しない幻だから、近づいていることにならないのか?」


 物理じゃない。魔法に近い。

 でも火魔法の炎は防げてたんだよなぁ。

 難しい能力だ。


「でも似合ってますよぉー」

「たしかに似合うな」

「あ、このサングラス、ちゃんと見えるんですね」


 エドガワ君が顔を動かしてもサングラスはズレない。

 帽子もズレない。

 風の強い日も安心!


 あれ? 能力の限界か?

 ハルコさんのブランドカバンの様子がおかしいぞ。


 幻が薄くなって、安物のカバンがのぞいている。

 自分の(デコ)りを維持する能力が弱まってるみたいだ。


 新しい幻を出すと古いものから消えていくのかな?


「ハルコさん。そのへんで……」


 しかしハルコさんはエドガワ君を飾り立てるので夢中だ。


「あと、洋服も今シーズンの――」

「あの……ハルコさん? 服が……」


 服が……消えるのか!?

 いやいや、さすがにそんなわけない。



 服を着て、その上に幻を(デコ)っているはず……だよな?


 よかった。服は着ている!


 だが少しずつ(がら)や質感が消えている。

 さらにメッキがはがれるように、ブランド服が安物に変わっていく。


 ハルコさんは気づかない。


「いいですねぇ! あと靴を変えれば完成です!」

「あ、もう大丈夫です……ハルコさん!?」


 エドガワ君の靴が高級品に変わる。


 なんということでしょう!

 草食男子大学生みたいなエドガワ君が、ファッション誌に載っていそうなイケメンファッションに!?


 そしてその分、ハルコさんのまとう幻が減る。

 俺は後ろを向きながら言う。


「ハルコさん中止! 自分の幻が解けてるぞ!」

「え? えぇえ!? ちょ、見ないでぇー!」


 ハルコさんが顔を隠してその場にかがみこむような気配。


 エドガワ君が小声で言う。


「あれ? ハルコさん……こっちのほうが……」

「な、なに見てるんですかぁー!?」


 俺は見てないよ!

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― 新着の感想 ―
[一言] 女はね…化けるんですよ(どこかで聞いた名言 ハルコさんみたいな化け方は稀ですがw
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