戦闘後の確認と、新たな課題!
やはりコウモリは強敵だった。
コウモリやゴブリンは低階層からずっといる。
ザコ敵代表みたいなモンスターだが、階層が深くなるごとに強化されている。
俺たちと同じように敵も成長するのだ。
楽に倒せるのは対策のおかげ。
攻略パターンができているってこと。
最近のパターンは、分身をオトリにして遠距離から攻撃すること。
リンとトウコの火力で撃ち落とす。
俺一人のときは投擲か、マフラーで幻惑して回避して斬っていた。
しかし狭い一本道だと、同じ作戦は通じない。
避けられない状況で爆撃とか、忍者絶対殺すマンかよ!
さすが、コウモリ!
我がライバルにふさわしいぜ!
「魔力がなくなっちゃいましたー。魔力ポーション飲みますー」
「おう! ケガしたなら回復丸かポーションを使えよー」
俺は口に回復丸を放り込んで飲み下す。
大したケガじゃないし、ポーションはもったいない。
とはいえ、ところどころ服は破れてしまった。
頑丈なボスコウモリ素材の部分はいいが、布部分は痛んでいる。
俺の装備はマシなほうだ。
トウコが腕を押さえて言う。
「いちちー。すりむいたっス!」
「おいおい、血が出てるぞ!」
手や腕から血が出ている。
狭い場所で無理やり銃を撃っていたためだ。
ミニスカ着物風の装備は袖なしだ。
この部分は頑丈に作ってある。
だが、腕部分は普通の素材。
蛾の対策として長袖を着込んだだけである。
袖はすり切れてボロボロ。
血もにじんでいる。
壁で擦れてもひるまずに攻撃を続けていたからな。
トウコ本人はけろっとしている。
「まー、こんなんツバつけとけば治るっス!」
「んなバカな! ちゃんとポーションを使え!」
回復丸でもほぼ治るだろうが、あとが残るといけない。
「応急処置スキルがあるし、あたしは傷の治りが早いんスよー」
「生命力のステータスでか?」
「そうみたいっス! バリアはないんスけどねー」
「にしてもムリはするなよ!」
「こんなんケガのうちに入らないっス!」
「でも、痛そうだから……もっと自分を大切にね、トウコちゃん!」
俺はうなずく。
「そういうことだ。で、リンはケガしなかったか?」
「はい! 私は大丈夫でしたー」
リンの装備は全身を覆うタイツタイプ。
それなりに強度がある。
それでも、ところどころ破れて伝線している。
露出した肌は……きれいなものだ。
血や傷は見当たらない。
「リン姉はヒットポイントあるんスかね?」
「あると思います。あと【モデル】の【美肌】で丈夫なんですよー。ケガしても傷あとは残りませんし!」
「普段は目立たないけど便利だよな、モデルって!」
攻撃はさておき、防御面では役に立つ。
俺たちの中で一番頑丈なのはリンだ。
魔法使いなのにな。
トウコもゾンビの回復力――死ににくさがある。
さらには、死んでも復活する。
実は一番ダメージを受けているのは俺だったりして!
魔力も使ったし、回復丸を飲んでおこう。
「それに分身さんが守ってくれたおかげで、そんなに痛い思いもしませんでしたー」
「そういえばー! ウンコ爆弾をモロに食らったのに消えなかったっスね!」
「盾にするために威力《耐久》を高めて出したからな」
分身の耐久力は人間に近いと思う。
ということは、俺たちにフン攻撃が直撃しても死ぬことはない。
とはいえ、ケガはするから食らうべきじゃないが。
分身の後ろに隠れる対策は、とっさにしてはよくできた。
だが、完全な対策じゃあない。
この狭さだと回避は不可能。
動くスペースがない。
隠れることもできない。
コウモリに【隠密】は通じないし、どのみち三人プレイでは無理だ。
防ぐにしても、タワーシールドは取り回しが悪い。
狭すぎて通路を持って運ぶだけでも大変だ。
うーむ。
新たな対策アイテムが必要になるな!




