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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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クローゼットダンジョン・十三階層!

 休憩を終えて十三階層へ踏み込んだ俺たち。


「やはり洞窟(どうくつ)か。少し様子が変わったな。狭い……」


 階段を出てすぐ長い通路だ。

 幅が狭い。


 その分、天井は充分に高い。

 頭をぶつけたりする心配はない。

 縦に細長い通路という感じ。



 リンが両手を水平に広げる。


「こうすると手がぎりぎり当たらないくらいですねー」

「動き回るにはちょっと狭いっス!」


 トウコがショットガンを両手で構えてその場で回転する。

 動きに制限がかかりそうだ。



「壁にぶつかりそうだな。今のうちに試しておこう」

「そっスね!」

「はーい」


 俺は背中から刀を抜いて構える。

 抜く動作は問題ない。


 トウコはショットガンを左右に向けながら左右に動いている。

 動きにくそうだ。


 リンは手持ち無沙汰に手をぶらぶらさせている。

 ちょっと微笑ましい。

 武器がないから試すこともないんだよな。



 ふーむ。

 軽く素振りしてみる。


(たて)には振れるが、横は(きび)しいなぁ」


 横振りの【フルスイング】は使いにくくなる。

 突きか縦振りがメインになるだろう。


 (ワイヤー)分銅も使いにくいな。


 【壁走りの術】も使いにくいか?


 両手を広げた長さはだいたい身長と同じ。

 壁に立つと頭をぶつけかねない。


 だが、垂直に立たなければいい。

 三角飛びをくり返せばどんどん上に行ける。

 天井近くに張り付けば、かなり見つかりにくいだろう。


 俺にとって壁が近くにあるのは頼もしいことだ。



 通路はグネグネと曲がっていて先を見通せない。

 壁からところどころ水滴が滴り落ちており、床に水たまりがある。

 湿っぽい空気が流れていて少し肌寒い。


「先が見えませんねー」

「そもそも暗くてよく見えないっス!」


「真っ暗じゃないからなんとかなるだろ?」


 発光キノコやヒカリゴケがあるので【暗視】がなくても気を付ければ進める。

 ときおり光る水晶もあるので、その周囲は明るい。


「店長は【暗視】があるからっスよ!」

「オフにしてもギリ見えるぞ。まあ、松明の明かりで充分だろ」



 リンが声を上げる。


「あっ! 来ました! ゴブリンさんです!」


 先行させたリンの【サポートシステム】(システムさん)が敵を発見したようだ。

 俺たちは声を落とさずに会話していたので、こちらの存在はバレているだろう。



「アギャっ!」

「お、さっそく来たな! 正面から突破するぞ!」


 通路の先にゴブリンが姿を現す。

 まだ遠い。


 狭い通路だから、やり過ごすことはできない。


「最初、あたしが撃っていいっスか?」

「撃ち切ったら交代だな。トウコ、リン、その後俺が前へ出る」


「りょ!」

「はーい!」



 盾に身を隠しながらゴブリンが走ってくる。


「ゴブッ!」


 勢いのままに俺たちを押し込む気だろう!



 トウコがショットガンを向ける。

 銃口に魔力が集まって発光している。


「チャージショットぉー!」


 事前にタメておいたチャージショットが放たれる。

 細かい散弾の一粒一粒が光の尾を引く。


 盾に着弾した光の粒が弾ける。

 まるで花火みたいに派手だな!


「ウギッ!」


 たまらずゴブリンは盾を跳ね上げてたたらを踏む。

 防がれたが、大きく体勢を崩した。


 トウコが銃口を下に向け、ポンプを動かす。


「さらにリコシェショット! うらうらっ!」


 下向きに二射目。

 これは跳弾(リコシェ)狙いだ。


 盾ゴブリンの足元で跳ねて、後続に散弾が襲いかかる。


 さらに発砲。スキだらけの盾ゴブリンにトドメを入れる。

 これで絶命。


 残りの弾丸を後続へ射撃。

 最後の弾丸はちゃんと【ラストショット】のエフェクトを発している。


 いいね!

 新ショットガンは連続で撃てるのが強い!



 入れ替わるようにリンが出る。

 すでに手の中には炎が渦巻いている。


「ファイアランスーっ!」


 突き出した手から炎の槍が放たれ、暗闇を切り裂いて飛ぶ。


 狭い通路に隠れる場所はない。

 頼りの盾ゴブリンも、すでに塵になっている。


「ギャー!」


 後続のゴブリンが逃れようと武器を投げ出して通路の奥へ走る。

 だが逃げ場はない。


 そのまま炎にあぶられて塵となっていく。



 俺は壁面に張りついて待ち構えていたが――


「おお全滅か! 俺の出番はなかったな!」


 後続もなし。

 見える範囲に敵はいない。


 俺は壁をすべり降りる。


「へへー。店長の分まで残らなかったっスね!」

「あ、残せばよかったですねー」


 リンが申し訳なさそうに言う。

 俺は手を振る。


「いやいや、倒せるならそのままやっちゃっていいぞ」


「バードショットだとチャージショットの威力もイマイチっス!」

「盾は貫通しなかったな。でも、そのあとの跳弾はナイスだった!」


 小粒のバードショット(鳥撃ち弾)では盾を抜けない。

 だが威力は充分。


 そのあとの跳弾(ちょうだん)はいい考えだ。


 跳弾なんて普通は運だ。

 狙って当たるものじゃないと聞いている。


 【リコシェショット】は反射する角度がイマイチで使いにくいスキルだった。

 だが、この狭い通路でなら命中が期待できる。

 それに跳弾の方向を制御すると誤射のリスクが減る。


 いいことずくめ!



「リンの火力もさすがだったな!」

「はい! 熱が逃げないので、こんがり焼けました!」


「こっちは熱くならなかったっスね!」

「奥に向かって抜けていくようにしたのー」


 二人の後、俺が攻める想定だった。

 だからリンは熱が奥へ抜けるようにイメージしたんだな。


 俺が突っ込んでも炎の巻き添えにならないってことだ。

 気が利いてるね。


 魔法はイメージの比重が大きいとはいえ、器用だよなぁ。



 戦闘はあっけないものだった。瞬殺だ。


 相手になにもさせずに倒したので、力量はつかめていない。

 だがこちらの攻撃は通じているし、問題なかろう。


 十三階層の攻略は順調な滑り出しだ!

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― 新着の感想 ―
[一言] そういやリンちゃんさんは魔法のサポートに杖とかいらんのですかね? 魔道具とかそういうのはないのかな…
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