実射! ポンプアクション・ショットガン!
トウコの手の中にショットガンが現れる。
いつものソードオフショットガンとは違う。
ストックがあり、銃身も長い。
両手で扱う銃だ。
リンが言う。
「あ、これ映画で見たことありますよ!」
「これがよく見るショットガンっスね! ちょっと撃ってみるっス!」
「おう」
トウコがショットガンを構える。
肩にストックを押し当ててしっかりと保持。
引き金を引く。
派手な銃声。
通路の奥に着弾する。
「いいっスね! デカいと反動を抑えやすいっス!」
「おお、いいな!」
がしゃっと銃身の下のパーツを前後に往復させる。
これでシェルが装填される。
つまり、いつものショットガンと違って連射できるのだ。
「どうせなら敵に撃ちたいっスね!」
「じゃあ移動しよう。敵はいくらでもいるからな!」
索敵しながら移動する。
すぐに敵は見つかった。
コウモリと蛾が飛び回っている。
これはいい的だな!
「んじゃさっそく! うらうら!」
トウコはショットガンを構えて発砲。
あまり狙っている様子はない。
それでも弾丸はコウモリと蛾を撃ち落とす。
フォアエンドを前後させてリロード。
この時に空のシェルも排出される。
そして発砲。
ガシャ、ドン、ガシャ、ドン。
連続した射撃もスムーズだ。
リンが耳を両手でふさぎながら言う。
「わあ、すごいねー!」
「リロードするっス!」
「全部で五発か」
「薬室に一発、チューブに四発入るっス!」
口を動かしていてもリロードは素早い。
指で一発ずつシェルを押し込んでいく。
銃の下部分にチューブマガジンがあり、ここに弾が入る。
ポンプ操作することでシェルが薬室に送り込まれるわけだ。
「敵の数が減ってきたからマシンピストルを試すっス!」
「おう」
「がんばってー」
俺とリンは少し下がって観戦モードだ。
前に立つと誤射や跳弾が怖い。
洞窟の壁はデコボコしているから、どう跳ねるかわからないし。
囮の分身を出してサポートしている。
トウコはマシンピストルを抜く。
そこで、手に持ったショットガンを持て余す。
マシンピストルは反動が強いので両手で構えたいが、これではできない。
「あー、ショットガンが邪魔っスねー」
トウコの銃は体から離すと消えてしまう。
俺が預かることはできない。
「なら、今度それ用のホルスターを作ろうか?」
「お願いするっス! それかスリングで!」
ソードオフショットガン用のホルスターなら今も身につけている。
これは、さすがにサイズが合わない。
そういう訳で、いまは長いショットガンを収められない。
トウコは迷った挙句、ショットガン片手に持ったまま、機関拳銃をもう一方の手で構える。
飛び回るコウモリに狙いをつけ、拳銃の引き金を引く。
だが銃は跳ね上がって暴れる。
外れた。
まさかの全弾ハズレ。
両手でもブレるのに、片手で構えた状態じゃムリだな。
「あー、ダメっスね! ……っと!」
トウコはコウモリのフン攻撃を飛び退いて避ける。
機関拳銃をホルスターに戻して、ポンプ式ショットガンに持ち変える。
「うらうらっ! ピアスショット!」
トウコはショットガンを連発して部屋の敵をすべて倒す。
うん、素晴らしい!
「ふー。終わったっス!」
「トウコちゃん、よかったよー!」
「使い心地はどうだった?」
「ショットガンはやっぱ強いっス! スキルもちゃんと乗るし、使い心地もいいっスね!」
「マシンピストルはブレすぎみたいだな」
「バラまき用っスね。これは近距離じゃないと使えないっス」
コウモリや蛾は動きが早い。
飛んでいるし、不規則な動きだ。
精度の悪いマシンピストルで狙うには不向きか。
「ショットガン用ホルスターは……俺の忍者刀ケースみたいな感じかな?」
俺は背負っているケースを見せる。
これはバットケースを流用したものだ。
木製の鞘ではなく、コウモリ革がメインの素材である。
同じ要領で、背中に背負う筒状にすればいいのかな?
刀と同じようにスリットをつけて抜きやすくするとか。
トウコが首を振る。
「すぐ使えないからホルスターはナシっスね。やっぱりスリングで吊るのがいいと思うっス!」
「ギターのストラップみたいな肩掛けするベルトだよな?」
「そうっス! あ、今すぐはいらないんで、今度!」
「おう。それまでに調べておくわ。正確なイメージがないと作れないからな」
銃のホルスターだし【忍具作成】君に丸投げはできない。
忍具っぽいイメージで誤魔化す……ごほん。説得が必要だ。
「あとはレバーアクションショットガンとリピーターライフルだったか?」
「そうっス! でももう持てないんで、今度にするっス!」
「トウコちゃん。スキルはもういいの?」
「もうちょっとシャッガンを試してから考えるっス!」
「お、トウコもちゃんと考えるようになったか!」
「そりゃそうっス!」
トウコだって考えなしじゃない。
新しい職業を取ると選択肢が増えて迷うものだ。
じっくり考えるべし!
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